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肝臓を必ず通る血液――門脈系の臓器はどれ?

看護師国家試験 第109回 午後 第79問 / 人体の構造・機能 / 循環器系

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第79問

( )の組織を還流した血液は心臓に戻る前に肝臓を通過する。 ( )に入るのはどれか。

  1. 1.
  2. 2.食道
  3. 3.小腸
  4. 4.腎臓
  5. 5.下肢

対話形式の解説

博士 博士

今回は解剖学の基本、門脈系の問題じゃ。『還流後に心臓に戻る前に肝臓を通過する』組織は?

サクラ サクラ

肝臓を通過するのが特徴的ですね。通常の血液は全身→心臓→肺→心臓ですが…

博士 博士

その通り!ほとんどの静脈血は直接大静脈に戻って心臓に達する。でも消化管からの血液は別ルートを通るのじゃ。

サクラ サクラ

それが門脈系ですね。門脈って具体的にはどこから集まってくるんですか?

博士 博士

上腸間膜静脈(小腸・右半結腸)、下腸間膜静脈(左半結腸・直腸上部)、脾静脈(脾臓、ここに胃からの静脈も合流)が集まって門脈を形成する。膵臓や胆嚢からの血液も門脈に合流するぞ。

サクラ サクラ

つまり消化管、脾臓、膵臓、胆嚢が門脈系ですね。選択肢では『小腸』が該当しますね。

博士 博士

その通り、選択肢3が正解じゃ。他の選択肢を確認しよう。舌は内頸静脈、食道は主に奇静脈、腎臓は腎静脈から直接下大静脈、下肢は下大静脈――どれも肝臓を通らん。

サクラ サクラ

なぜ門脈系だけ肝臓を通る仕組みになっているんですか?

博士 博士

消化管で吸収された栄養素や薬物、毒素を、全身に送る前に肝臓で代謝・解毒・貯蔵するためじゃ。これを『ファーストパス効果』という。

サクラ サクラ

薬の飲み薬と注射で効果が違うのは、それが理由ですか?

博士 博士

まさにそう。経口薬は消化管で吸収された後、全身循環に出る前に肝臓で代謝を受けるから、有効成分が減ることがある。静注薬は直接循環に入るからファーストパス効果を受けん。

サクラ サクラ

肝臓は動脈からも血液を受けるんですよね。

博士 博士

そうじゃ。肝臓は二重血流支配で、肝動脈(酸素豊富、約30%)と門脈(栄養豊富、約70%)の両方から血液を受ける特殊な臓器じゃ。

サクラ サクラ

門脈の血液は酸素が少ないんですよね?

博士 博士

静脈血じゃから動脈血より酸素は少ないが、消化管での吸収前より若干酸素が残っておる。肝臓の酸素供給は主に肝動脈が担う。

サクラ サクラ

食道が選択肢2にありますが、食道下部は門脈と関係あるって聞きました。

博士 博士

良い視点じゃ。食道下部の静脈は左胃静脈を介して門脈系と連絡がある。通常は奇静脈に流れるが、肝硬変で門脈圧亢進症が起こると、血液が逆流して食道静脈瘤を形成する。これが破裂すると大出血じゃ。

サクラ サクラ

側副血行路ってやつですね。他にも?

博士 博士

胃静脈瘤、腹壁皮下静脈怒張(メドゥーサの頭)、痔静脈叢の拡張などじゃ。門脈圧亢進のサインとして臨床で重要じゃな。

サクラ サクラ

解剖学の知識が病態理解に直結するんですね。勉強のモチベーションが上がります。

POINT

本問は門脈系を構成する臓器を問う解剖生理学の基本問題です。門脈は胃・小腸・大腸・膵臓・脾臓・胆嚢などの消化管および関連臓器から静脈血を集め、肝臓を経由してから下大静脈に注ぐ特殊な血管系です。選択肢の中で門脈系に属するのは小腸のみで、舌・食道(主経路)・腎臓・下肢はいずれも直接大静脈系に戻ります。肝臓は二重血流支配(肝動脈30%+門脈70%)を受け、門脈血に含まれる栄養素・薬物・毒素はファーストパス効果で処理されます。門脈圧亢進症では食道静脈瘤など側副血行路が形成され、解剖学知識は病態生理学と臨床観察の基盤となる重要な学習項目です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:( )の組織を還流した血液は心臓に戻る前に肝臓を通過する。 ( )に入るのはどれか。

解説:正解は 3 です。問われているのは『還流後に心臓に戻る前に肝臓を通過する』組織で、これは門脈系を構成する臓器を指します。門脈は、胃、小腸、大腸、膵臓、脾臓、胆嚢から集まった静脈血を肝臓に運ぶ特殊な静脈系で、通常の静脈のように直接大静脈に戻らず、いったん肝臓に入って肝類洞で処理された後、肝静脈から下大静脈へ抜けて心臓に戻ります。選択肢の中で門脈系に属するのは『小腸』のみです。

選択肢考察

  1. × 1.  舌

    舌の静脈血は舌静脈から内頸静脈・腕頭静脈・上大静脈を経て右心房に戻る。肝臓は経由しない。

  2. × 2.  食道

    食道の静脈血は主に奇静脈・半奇静脈から上大静脈を経由して心臓へ戻る。ただし食道下部は左胃静脈を介して門脈に流入する経路もあり、門脈圧亢進症では食道静脈瘤の側副路となる。主経路では肝臓を通らない。

  3. 3.  小腸

    小腸で吸収された栄養素を含む静脈血は、上腸間膜静脈(小腸)+脾静脈+下腸間膜静脈(大腸)が合流して門脈となり、肝臓に入って代謝処理を受けた後に下大静脈経由で心臓に戻る。門脈系の代表臓器。

  4. × 4.  腎臓

    腎臓の静脈血は腎静脈から直接下大静脈に注ぎ、右心房に戻る。肝臓は経由しない。

  5. × 5.  下肢

    下肢の静脈血は大腿静脈・外腸骨静脈・総腸骨静脈・下大静脈を経て右心房に戻る。肝臓は経由しない。

肝臓は二重血流支配を受ける特殊な臓器。肝動脈(腹腔動脈から分岐、酸素豊富な動脈血を供給、流入量の約30%)と門脈(消化管・脾臓等からの栄養豊富な静脈血を供給、流入量の約70%)の両方から血液を受ける。門脈血に含まれる栄養素・吸収された薬剤・毒素は肝類洞でクッパー細胞や肝細胞に処理され、全身循環に出る前に『ファーストパス効果』を受ける。これが経口薬と静注薬で効果が異なる理由でもある。門脈圧亢進症(肝硬変などで発生)では、食道静脈瘤・胃静脈瘤・腹壁静脈怒張(メドゥーサの頭)・痔静脈叢拡張など側副血行路が形成される。

門脈系を構成する臓器を問う基本問題。消化管・脾臓・膵臓からの静脈血はいったん肝臓に入ってから心臓に戻ることを押さえる。