昇圧物質と降圧物質を見極めよう
看護師国家試験 第110回 午後 第83問 / 人体の構造・機能 / 内分泌系
国試問題にチャレンジ
血圧を上昇させるのはどれか。2つ選べ。
- 1.セロトニン
- 2.ヒスタミン
- 3.バソプレシン
- 4.ブラジキニン
- 5.心房性ナトリウムペプチド
対話形式の解説
博士
今日は血圧調節に関わる物質について整理するぞ。昇圧と降圧どちらが多いか分かるかの?
サクラ
どちらも重要ですが、人体には血圧を上げる物質も下げる物質もバランスよく存在しますね。
博士
その通り。選択肢を1つずつ見ていこう。セロトニンはどう作用する?
サクラ
血管を収縮させて血圧を上げます。血小板から放出されるのが特徴です。
博士
うむ。脳内では気分調節に関わり、セロトニン製剤は抗うつ薬として使われるな。
サクラ
バソプレシンは抗利尿ホルモンとして有名ですが、血圧も上げるのですね。
博士
そうじゃ。V1受容体を介して血管収縮を起こすため、循環血漿量が減った時の重要な昇圧ホルモンじゃ。
サクラ
ヒスタミンはアレルギー反応で血管拡張するから降圧側ですね。
博士
正解じゃ。アナフィラキシーショックではヒスタミン大量放出で血圧が急降下する。
サクラ
ブラジキニンはどうでしたっけ?
博士
血管拡張と痛みに関わるペプチドで、降圧作用じゃ。ACE阻害薬の副作用で出る咳はブラジキニン蓄積が原因じゃな。
サクラ
心房性ナトリウムペプチドは心不全のマーカーにもなりますね。
博士
その通り。心房が伸展すると分泌され、利尿と血管拡張で心負荷を軽減する。
サクラ
降圧物質として覚えると整理しやすいです。
博士
しっかり対比表で覚えておくのじゃぞ。
POINT
セロトニンは血管収縮、バソプレシンは血管収縮と水再吸収促進によりいずれも血圧を上昇させます。一方ヒスタミン、ブラジキニン、心房性ナトリウムペプチドはいずれも血管拡張あるいは利尿により血圧を低下させます。昇圧・降圧物質をセットで覚えると混乱しません。循環動態管理を要する臨床場面では、これらの物質の作用理解がアセスメントの基礎となります。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:血圧を上昇させるのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 のセロトニンと 3 のバソプレシンです。どちらも血管平滑筋を収縮させる作用を持ち、血圧を上昇させます。
選択肢考察
-
○ 1. セロトニン
血小板から放出されるモノアミンで、血管平滑筋を収縮させ血圧を上げます。中枢では神経伝達物質として気分調節にも関わります。
-
× 2. ヒスタミン
肥満細胞から放出され、血管拡張と血管透過性亢進を引き起こすため、アナフィラキシーで血圧は低下します。
-
○ 3. バソプレシン
下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン(ADH)で、腎集合管で水再吸収を促すとともにV1受容体を介して血管を収縮させ血圧を上げます。
-
× 4. ブラジキニン
キニン系のペプチドで、NO産生を介して血管を拡張し血圧を下げます。痛みや炎症の誘発にも関与します。
-
× 5. 心房性ナトリウムペプチド
心房の伸展刺激で分泌されるホルモンで、利尿作用と血管拡張を通じて血圧を低下させます。心不全の診断指標にもなります。
昇圧物質にはアドレナリン、ノルアドレナリン、アンジオテンシンⅡ、バソプレシン、セロトニンなどがあります。降圧物質にはブラジキニン、ANP、BNP、ヒスタミン、NO、アセチルコリン(末梢)などがあります。臨床ではADH不適合分泌症候群(SIADH)や尿崩症の理解にもバソプレシンの作用が役立ちます。
体内の生理活性物質のうち、血管収縮作用により血圧を上昇させるものを選択する問題です。
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