ブローカ野の位置〜右利きなら左半球の前頭葉〜
看護師国家試験 第111回 午前 第77問 / 人体の構造・機能 / 神経系
国試問題にチャレンジ
脳の外側面を左右から見た模式図を示す。 右利きの健常成人のBroca〈ブローカ〉の運動性言語中枢はどれか。
- 1.①
- 2.②
- 3.③
- 4.④
- 5.⑤
対話形式の解説
博士
今日は大脳の言語野についてじゃ。神経解剖の重要テーマで、失語症の理解にも直結する。
サクラ
ブローカ野は運動性言語中枢、ウェルニッケ野は感覚性言語中枢ですよね。
博士
そうじゃ。ブローカ野は「話す・書く」を司り、ウェルニッケ野は「聞いて理解する」を司る。発見者の名前に由来する呼称じゃな。
サクラ
右利きの人の言語野はどこにあるんですか?
博士
右利きの健常成人では、約99%が左半球に言語野がある。左利きでも70%ほどは左半球にあって、完全に右半球というのは少数派じゃ。
サクラ
問題では右利きの健常成人のブローカ野を選ぶんですね。
博士
そうじゃ。解剖学的にはブローカ野は左前頭葉の下前頭回、ブロードマン地図でいう44野・45野に位置する。正解は4の④じゃ。
サクラ
選択肢1の①はどこですか?
博士
①は右半球の側頭葉、位置的にはウェルニッケ野に対応するが、右利きの言語野は左半球じゃから該当せん。
サクラ
選択肢2の②は?
博士
②は右半球の前頭葉、ブローカ野の位置じゃが、やはり右利きだと左半球が正解じゃから不適切じゃ。
サクラ
選択肢3の③は?
博士
③は前頭葉の一番前にある前頭前野、前頭連合野ともいう領域じゃ。思考、判断、感情制御、ワーキングメモリなどの高次脳機能を担う。言語中枢ではないんじゃ。
サクラ
選択肢5の⑤は?
博士
⑤は左半球の側頭葉上側頭回、まさにウェルニッケ野じゃ。言葉の理解を司る感覚性言語中枢じゃ。運動性言語中枢ではないから今回は不正解。
サクラ
ブローカ野が損傷されるとどんな症状が出るんですか?
博士
ブローカ失語、運動性失語じゃな。発語が非流暢で努力的、復唱や書字も困難じゃ。ただ聴覚的理解は比較的保たれるのが特徴じゃ。
サクラ
ウェルニッケ野が損傷されるとどうなりますか?
博士
ウェルニッケ失語、感覚性失語じゃ。流暢に話せるが意味不明の言葉(錯語、ジャーゴン)が出る。理解も障害される。話の内容が通じんのが特徴じゃ。
サクラ
他にも失語症はありますか?
博士
ブローカ野とウェルニッケ野をつなぐ弓状束が損傷されると伝導失語、両方の広範な損傷では全失語になる。
サクラ
脳卒中患者さんのリハビリでは、失語症の種類を理解することが看護にも大切ですね。
博士
その通り。失語症の種類で関わり方を変える必要がある。ブローカ失語では書字や絵カードで対応、ウェルニッケ失語ではジェスチャーや短く明確な指示が有効じゃ。
POINT
ブローカ野は運動性言語中枢で、右利きの健常成人では約99%が左半球の前頭葉下前頭回(44野・45野)に位置します。ブローカ野損傷では非流暢性のブローカ失語、ウェルニッケ野損傷では流暢性のウェルニッケ失語が生じます。言語野の半球優位性(利き手との関連)と解剖学的位置を結びつけて理解することが重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:脳の外側面を左右から見た模式図を示す。 右利きの健常成人のBroca〈ブローカ〉の運動性言語中枢はどれか。
解説:正解は 4 です。ブローカ野(運動性言語中枢)は、前頭葉の下前頭回(下前頭回弁蓋部・三角部、ブロードマン脳地図の44野・45野)に存在し、発語や書字などの「言葉を発する」機能を担います。右利きの健常成人では、言語野は約99%が左半球に存在するため、ブローカ野は左前頭葉に位置する④が正解となります。1861年、フランスの医師ポール・ブローカが発見した領域です。
選択肢考察
-
× 1. ①
右半球の側頭葉部位を指しており、位置的にはウェルニッケ野に相当しますが、右利きでは言語野は左半球にあるため該当しません。
-
× 2. ②
右半球の前頭葉部位を指しており、位置的にはブローカ野に対応しますが、右利きでは言語野は左半球にあるため該当しません。
-
× 3. ③
前頭葉前端部に位置し、前頭前野(前頭連合野)に相当します。思考・判断・感情制御などの高次脳機能を担う領域で、言語中枢ではありません。
-
○ 4. ④
左半球の前頭葉下前頭回に位置し、ブローカ野(運動性言語中枢)に該当します。右利きの健常成人の運動性言語中枢として適切です。
-
× 5. ⑤
左半球の側頭葉上側頭回に位置し、ウェルニッケ野(感覚性言語中枢)に相当します。言葉の理解を司る領域で、運動性言語中枢ではありません。
ブローカ野損傷で起こる失語は「ブローカ失語(運動性失語)」で、発語が非流暢・努力的、復唱や書字も障害されますが、聴覚的理解は比較的保たれます。一方ウェルニッケ野損傷では「ウェルニッケ失語(感覚性失語)」となり、流暢に話せるが意味不明の言葉(錯語・ジャーゴン)が出て、理解も障害されます。弓状束損傷では伝導失語、全体損傷では全失語となります。
言語中枢の半球優位性(右利きでは左半球)と、ブローカ野の解剖学的位置(左前頭葉下前頭回)を理解しているかを問う問題です。
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