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咀嚼運動と三叉神経〜脳神経の機能を整理する〜

看護師国家試験 第111回 午前 第79問 / 人体の構造・機能 / 神経系

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第79問

咀嚼運動にかかわる脳神経はどれか。

  1. 1.嗅神経
  2. 2.滑車神経
  3. 3.三叉神経
  4. 4.動眼神経
  5. 5.内耳神経

対話形式の解説

博士 博士

今日は脳神経の中でも咀嚼を担当する神経についてじゃ。

サクラ サクラ

脳神経は12対ありますよね。覚え方ってありますか?

博士 博士

有名なのは「嗅いで視る動く車の三つの外、顔聴く舌は迷う副舌」じゃ。Ⅰ嗅、Ⅱ視、Ⅲ動眼、Ⅳ滑車、Ⅴ三叉、Ⅵ外転、Ⅶ顔面、Ⅷ内耳、Ⅸ舌咽、Ⅹ迷走、Ⅺ副、Ⅻ舌下、の12本じゃな。

サクラ サクラ

問題では咀嚼運動を担う脳神経を問われています。

博士 博士

咀嚼筋は何があるかわかるか?

サクラ サクラ

咬筋と側頭筋ぐらいしか…。

博士 博士

主要な咀嚼筋は4つじゃ。咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋じゃな。これら全てを支配するのが三叉神経の下顎神経枝じゃ。

サクラ サクラ

正解は3の三叉神経ですね。

博士 博士

その通り。三叉神経は第Ⅴ脳神経で、12対の中で最大の神経じゃ。3つの枝、V1眼神経・V2上顎神経・V3下顎神経に分かれて顔面全体の感覚を担うのと、V3に含まれる運動線維で咀嚼筋を支配する混合神経じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の嗅神経は?

博士 博士

第Ⅰ脳神経で、嗅覚のみを伝える純粋感覚神経じゃ。嗅上皮から発して嗅球へ伝える。運動機能はない。

サクラ サクラ

選択肢2の滑車神経は?

博士 博士

第Ⅳ脳神経で、上斜筋1つだけを支配する運動神経じゃ。眼球を内下方に動かす、つまり鼻先を見るような方向への動きを担う。

サクラ サクラ

選択肢4の動眼神経は?

博士 博士

第Ⅲ脳神経で、眼球を動かす主要な神経じゃ。上直筋、下直筋、内直筋、下斜筋、上眼瞼挙筋、さらに副交感線維で毛様体筋と瞳孔括約筋を支配する。多機能神経じゃな。

サクラ サクラ

選択肢5の内耳神経は?

博士 博士

第Ⅷ脳神経で、蝸牛神経(聴覚)と前庭神経(平衡感覚)からなる感覚神経じゃ。障害されるとめまいや難聴が生じる。

サクラ サクラ

三叉神経の障害ではどんな症状が出るんですか?

博士 博士

咀嚼筋の筋力低下、下顎の偏位、顔面の感覚低下などじゃ。また三叉神経痛は顔面に電撃様の激痛をきたす疾患で、カルバマゼピンによる薬物療法や神経ブロックが行われるんじゃ。

サクラ サクラ

顔面神経と混同しやすいですが、顔面神経は何を担当するんですか?

博士 博士

第Ⅶ脳神経、顔面神経は表情筋の運動、舌前2/3の味覚、涙腺・唾液腺の分泌を担う混合神経じゃ。咀嚼の三叉神経、表情の顔面神経、と区別じゃな。

サクラ サクラ

感覚は三叉神経、味覚は顔面神経という違いもあるんですね。

博士 博士

その通り。舌前2/3の一般感覚(触覚・温痛覚)は三叉神経、味覚は顔面神経の鼓索神経じゃ。混同しやすい所じゃから整理じゃ。

サクラ サクラ

脳神経は機能・支配領域・感覚か運動か混合か、この3点で整理すると覚えやすいですね。

POINT

咀嚼運動は第Ⅴ脳神経である三叉神経の下顎神経枝が担い、咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋を支配します。三叉神経は最大の脳神経で感覚と運動の混合神経です。嗅神経、滑車神経、動眼神経、内耳神経は咀嚼に関与しません。脳神経は機能と支配領域、感覚・運動・混合の別を整理して覚えることが大切です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:咀嚼運動にかかわる脳神経はどれか。

解説:正解は 3 です。咀嚼運動に関わる脳神経は三叉神経(第Ⅴ脳神経)です。三叉神経は最大の脳神経で、眼神経(V1)・上顎神経(V2)・下顎神経(V3)の3枝からなり、感覚線維と運動線維の両方を持つ混合神経です。運動線維は下顎神経に含まれ、咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)を支配します。感覚線維は顔面・前頭部・鼻腔・口腔・舌前2/3の一般感覚を伝えます。

選択肢考察

  1. × 1.  嗅神経

    第Ⅰ脳神経で、嗅覚のみを伝える純粋な感覚神経です。咀嚼運動の支配は行いません。

  2. × 2.  滑車神経

    第Ⅳ脳神経で、上斜筋を支配する運動神経です。眼球を内下方へ動かす役割を担い、咀嚼とは無関係です。

  3. 3.  三叉神経

    第Ⅴ脳神経で、下顎神経を介して咀嚼筋(咬筋・側頭筋・翼突筋)を支配し、咀嚼運動を司る混合神経です。顔面感覚も担います。

  4. × 4.  動眼神経

    第Ⅲ脳神経で、上直筋・下直筋・内直筋・下斜筋・上眼瞼挙筋・毛様体筋・瞳孔括約筋を支配します。咀嚼運動には関与しません。

  5. × 5.  内耳神経

    第Ⅷ脳神経で、蝸牛神経(聴覚)と前庭神経(平衡感覚)からなる感覚神経です。咀嚼運動は支配しません。

脳神経12対の覚え方は「嗅いで視る動く車の三つの外、顔聴く舌は迷う副舌」が有名です。Ⅰ嗅・Ⅱ視・Ⅲ動眼・Ⅳ滑車・Ⅴ三叉・Ⅵ外転・Ⅶ顔面・Ⅷ内耳・Ⅸ舌咽・Ⅹ迷走・Ⅺ副・Ⅻ舌下。三叉神経痛は顔面に激痛をきたす疾患で、カルバマゼピンによる薬物療法や神経ブロックが行われます。また帯状疱疹が三叉神経第1枝領域に出るとラムゼイ・ハント症候群や角膜炎のリスクがあります。

脳神経12対のうち、咀嚼運動を司る三叉神経を選べるか、また各脳神経の機能(感覚/運動/混合)を整理できているかを問う問題です。