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眼の遠近調節〜毛様体筋が水晶体を変形させる〜

看護師国家試験 第111回 午前 第78問 / 人体の構造・機能 / 感覚器系

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第78問

眼の遠近調節を行う筋はどれか。

  1. 1.下斜筋
  2. 2.下直筋
  3. 3.毛様体筋
  4. 4.上眼瞼挙筋
  5. 5.瞳孔括約筋

対話形式の解説

博士 博士

今日は眼の構造と機能、特に遠近調節のメカニズムについてじゃ。

アユム アユム

カメラのピント合わせみたいなものですよね。

博士 博士

そうじゃ。カメラはレンズを前後に動かすが、眼は水晶体の厚みそのものを変えてピントを合わせるんじゃ。

アユム アユム

水晶体を変形させるのは何の筋肉ですか?

博士 博士

そこが問題じゃ。選択肢には下斜筋、下直筋、毛様体筋、上眼瞼挙筋、瞳孔括約筋がある。どれじゃろう?

アユム アユム

毛様体筋ですか?

博士 博士

正解じゃ。3の毛様体筋が遠近調節を担う内眼筋じゃ。水晶体は毛様小帯、別名チン小帯で吊るされておっての、毛様体筋の収縮で小帯が緩むと水晶体は自分の弾性で厚くなる。

アユム アユム

近くを見るときに水晶体が厚くなるんですね。

博士 博士

そうじゃ。近くを見るときは毛様体筋が収縮→小帯が緩む→水晶体が厚くなる→屈折力が増して近くにピントが合う。遠くを見るときは逆で、毛様体筋が弛緩→小帯が張る→水晶体が薄くなる、という仕組みじゃ。

アユム アユム

選択肢1の下斜筋と2の下直筋は?

博士 博士

これらは外眼筋、つまり眼球を動かす筋じゃ。外眼筋は上直筋・下直筋・内直筋・外直筋の4つの直筋と、上斜筋・下斜筋の2つの斜筋で合計6つある。これで眼球をあらゆる方向へ動かす。

アユム アユム

下斜筋の働きは?

博士 博士

眼球の上転・外転・外旋じゃ。下直筋は下転・内転・外旋じゃな。どちらも動眼神経支配じゃ。上斜筋だけは滑車神経、外直筋だけは外転神経支配と覚えよう。

アユム アユム

選択肢4の上眼瞼挙筋は?

博士 博士

上まぶたを挙げる筋じゃ。これが障害されると眼瞼下垂、まぶたが垂れ下がる状態になる。動眼神経支配じゃ。

アユム アユム

選択肢5の瞳孔括約筋は?

博士 博士

瞳孔を縮小させる筋、つまり縮瞳の筋じゃな。動眼神経副交感線維支配で、対光反射にも関わる。瞳孔散大筋は散瞳させる筋で、交感神経支配じゃ。

アユム アユム

近くを見るときって、目が寄りますよね。

博士 博士

おお、良いところに気付いた。それが近見反射じゃ。近くを見るとき、(1)毛様体筋収縮で水晶体が厚くなる、(2)瞳孔括約筋収縮で縮瞳、(3)両眼の内直筋収縮で内転(輻輳)、この3つが同時に起こる。輻輳反射とも呼ぶんじゃ。

アユム アユム

老眼は毛様体筋が弱るんですか?

博士 博士

実は違うんじゃ。主因は水晶体の弾性低下じゃ。毛様体筋が収縮しても水晶体が硬くなって厚くなれんから近くが見えにくくなる。これが老視(老眼)じゃ。

アユム アユム

白内障手術で眼内レンズを入れると調節ができなくなるというのも水晶体の話ですね。

博士 博士

その通り。単焦点の眼内レンズでは調節機能はない。最近は多焦点レンズもあるんじゃがな。

POINT

眼の遠近調節は毛様体筋の収縮・弛緩によって水晶体の厚みが変化することで行われます。近見時は毛様体筋収縮→毛様小帯弛緩→水晶体が厚くなります。下斜筋・下直筋は外眼筋で眼球運動を担い、上眼瞼挙筋は開眼、瞳孔括約筋は縮瞳を担当し、いずれも遠近調節ではありません。近見時には調節・縮瞳・輻輳の近見反射が同時に起こります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:眼の遠近調節を行う筋はどれか。

解説:正解は 3 です。眼の遠近調節は、水晶体の厚みを変えることでピントを合わせる仕組みです。水晶体は毛様体筋に接続した毛様小帯(チン小帯)によって吊るされており、毛様体筋の収縮・弛緩が水晶体の屈折力を変化させます。近くを見るときは毛様体筋が収縮して毛様小帯が緩み、水晶体は自らの弾性で厚くなります。遠くを見るときは毛様体筋が弛緩して毛様小帯が張り、水晶体は薄くなります。毛様体筋は動眼神経の副交感神経支配を受けます。

選択肢考察

  1. × 1.  下斜筋

    外眼筋の一つで、眼球の上転・外転・外旋に働きます。動眼神経に支配され、眼球運動を行う筋肉で遠近調節には関与しません。

  2. × 2.  下直筋

    外眼筋の一つで、眼球の下転・内転・外旋に働きます。動眼神経に支配される眼球運動筋で、遠近調節機能はありません。

  3. 3.  毛様体筋

    内眼筋の一つで、収縮・弛緩により毛様小帯を介して水晶体の厚みを変え、遠近調節を行います。動眼神経副交感線維の支配を受けます。

  4. × 4.  上眼瞼挙筋

    上眼瞼を挙上する筋で、開眼機能を担います。動眼神経支配で、眼球の遠近調節とは無関係です。障害で眼瞼下垂が生じます。

  5. × 5.  瞳孔括約筋

    内眼筋の一つで、瞳孔を縮小させる(縮瞳)ことで眼内に入る光量を調節します。動眼神経副交感線維支配ですが、遠近調節そのものは行いません。

加齢により水晶体の弾力性が低下し、毛様体筋の働きが十分でも水晶体が厚くならなくなるのが老視(老眼)です。白内障手術で眼内レンズ(IOL)を挿入すると、単焦点レンズでは遠近調節ができなくなります。また近見時には毛様体筋の収縮、瞳孔括約筋の収縮(縮瞳)、両眼の内転(輻輳)の3つが同時に起こり、これを「近見反射(輻輳反射)」と呼びます。

眼の遠近調節の仕組みと、その中心となる毛様体筋の役割を理解しているかを問う問題です。外眼筋・内眼筋の機能区別が鍵です。