StudyNurse

コルチ器はどこにある?耳の解剖から聴覚のしくみを解き明かす

看護師国家試験 第112回 午前 第75問 / 人体の構造・機能 / 感覚器系

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第75問

音を感知するラセン器<Corti<コルチ>器>があるのはどれか。

  1. 1.蝸牛管
  2. 2.半規管
  3. 3.鼓室
  4. 4.鼓膜
  5. 5.前庭

対話形式の解説

博士 博士

今回は耳の解剖、特にコルチ器(ラセン器)の所在を問う問題じゃ。名前からして渦巻き状のイメージじゃろう?

サクラ サクラ

はい、ラセン=螺旋ですもんね。蝸牛のあのぐるぐるした形を連想します。

博士 博士

その直感が正しい!コルチ器は内耳の「蝸牛管」内、基底板という薄い膜の上に並んでおる。音を電気信号に変える最終ステージじゃ。

サクラ サクラ

耳って外耳・中耳・内耳に分かれるんですよね。それぞれ何がありましたっけ?

博士 博士

整理しよう。外耳は耳介と外耳道。中耳は鼓膜と鼓室、そして耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)。内耳は蝸牛、前庭、半規管じゃ。

サクラ サクラ

内耳に3つの構造があって、そのうち聴覚を担うのは蝸牛だけってことですね。

博士 博士

その通り。前庭と半規管は平衡覚じゃ。前庭は耳石器で直線加速度と重力を、半規管は3本の管で頭部の回転加速度を感知しておる。

サクラ サクラ

じゃあ音が伝わる経路を追ってみると…音波が外耳道→鼓膜で振動→耳小骨で増幅→内耳の蝸牛に伝わる。そこでコルチ器が電気信号に変える、という流れですね!

博士 博士

素晴らしい!耳小骨は体内で最も小さな骨で、梃子の原理で振動を約20倍に増幅するのじゃ。そしてアブミ骨底板が蝸牛の卵円窓を叩くことでリンパ液に波が広がる。

サクラ サクラ

その波がコルチ器の有毛細胞を刺激するんですね。

博士 博士

うむ。有毛細胞の感覚毛が基底板の動きで曲がると、イオンチャネルが開いて電気信号が発生する。これが蝸牛神経(第Ⅷ脳神経の一部)を介して大脳の聴覚野に伝わるのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢3の鼓室や選択肢4の鼓膜はコルチ器の場所ではないんですね。

博士 博士

そうじゃ。鼓室は中耳の空洞、鼓膜は外耳と中耳の境目の膜で、どちらも受容器ではなく振動を伝える構造物じゃ。

サクラ サクラ

選択肢5の前庭は平衡覚だから違うし、選択肢2の半規管も平衡覚。正解は選択肢1の蝸牛管、と確信できました!

博士 博士

ついでに覚えておきたいのは、コルチ器の有毛細胞は音の高さを「場所」で区別しているという点じゃ。蝸牛の基部は高音、頂部は低音を担当しておる。

サクラ サクラ

加齢性難聴が高音から始まるのはそのためですね。

博士 博士

その通り!高音を担当する基部の有毛細胞がまず障害されるのじゃ。日常騒音や薬剤性難聴(アミノグリコシド系抗菌薬など)も有毛細胞を傷害する。

サクラ サクラ

有毛細胞は再生しないんでしたっけ?

博士 博士

哺乳類ではほぼ再生しない。だから一度失われた聴力は戻らない。人工内耳は電極で直接蝸牛神経を刺激する仕組みじゃ。

サクラ サクラ

解剖と臨床がつながると覚えやすいですね!

POINT

コルチ器(ラセン器)は内耳の蝸牛管内、基底板の上に存在する聴覚の受容器です。鼓膜で振動に変換された音波は耳小骨で増幅され、蝸牛内リンパ液の波動を介してコルチ器の有毛細胞を刺激し、電気信号として蝸牛神経から大脳聴覚野に伝達されます。内耳のうち蝸牛は聴覚、前庭と半規管は平衡覚を担い、コルチ器は蝸牛にしか存在しません。コルチ器の有毛細胞は音の高さを「場所符号化」で識別し、加齢性難聴が高音域から始まるのはこの構造に起因します。耳の解剖構造と各部位の機能分担を理解することは、難聴の病態や聴覚検査の結果解釈、補聴器・人工内耳の適応判断など、臨床看護の幅広い場面で役立つ基礎知識です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:音を感知するラセン器<Corti<コルチ>器>があるのはどれか。

解説:正解は 1 です。コルチ器(ラセン器)は内耳の蝸牛管内、基底板上に存在する聴覚の受容器です。鼓膜から耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)を経て内耳に伝えられた音の振動は、蝸牛内のリンパ液を揺らし、基底板を振動させます。この動きをコルチ器の有毛細胞が感知し、機械的振動を電気信号に変換して蝸牛神経を介して大脳聴覚野に伝えます。

選択肢考察

  1. 1.  蝸牛管

    内耳にある渦巻き状の管で、内部にコルチ器が存在する。音の周波数に応じて基底板の異なる部位が振動し、有毛細胞で電気信号に変換されて蝸牛神経に伝わる聴覚の中枢装置である。

  2. × 2.  半規管

    内耳にある3本のループ状の管で、頭部の回転運動(角加速度)を感知する。平衡覚の器官であり聴覚には関与しない。

  3. × 3.  鼓室

    中耳の空洞部分で、内部に耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)があり、鼓膜の振動を増幅して内耳に伝える役割を持つ。受容器そのものではない。

  4. × 4.  鼓膜

    外耳道と中耳を隔てる薄い膜で、空気の振動(音波)を機械的振動に変換して耳小骨に伝える。振動を伝達する構造物であり感覚細胞はない。

  5. × 5.  前庭

    内耳にあり、卵形嚢と球形嚢を含む。耳石器と呼ばれる平衡斑があり、頭部の直線加速度と重力方向を感知する。平衡覚の受容器である。

耳は外耳(耳介・外耳道)、中耳(鼓膜・鼓室・耳小骨・耳管)、内耳(蝸牛・前庭・半規管)に分けられる。内耳のうち聴覚を担うのは蝸牛のみで、前庭と半規管は平衡覚を担う。コルチ器の有毛細胞は高音を感知する細胞が蝸牛の基部に、低音を感知する細胞が頂部に並ぶ「場所符号化」により音程を識別する。加齢性難聴は高音域から始まるのは、基部の有毛細胞が早期に障害されるためである。

聴覚受容器であるコルチ器の所在を問う解剖問題。耳の3部位と各構造物の機能(聴覚と平衡覚の分担)を理解しているかがポイント。