StudyNurse

医療法が定める4つの安全義務 ― 指針・委員会・研修・報告体制

看護師国家試験 第112回 午後 第70問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第70問

医療法に基づき医療機関が医療の安全を確保する目的で行うのはどれか。

  1. 1.医療安全支援センターを設置する。
  2. 2.医療安全管理者養成研修を実施する。
  3. 3.医療の安全を確保するための指針を策定する。
  4. 4.医療安全管理のために必要な研修を2年に1回実施する。

対話形式の解説

博士 博士

医療法に基づいて医療機関が行う医療安全確保、正解は3番『医療の安全を確保するための指針を策定する』じゃ。

アユム アユム

医療安全って法律で具体的に決まっているんですね。

博士 博士

うむ、医療法第6条の12と施行規則に4つの義務がある。①指針整備、②医療安全管理委員会設置、③職員研修(年2回程度)、④事故等の院内報告体制じゃ。

アユム アユム

1番の医療安全支援センターは医療機関が作るんじゃないんですか?

博士 博士

違うぞ。医療安全支援センターは医療法第6条の13に基づき、都道府県・保健所設置市・特別区が設置する公的機関じゃ。患者・住民からの苦情相談を受け付け、医療機関に情報提供する立場じゃ。

アユム アユム

医療機関側ではなく、住民側の支援機関なんですね。

博士 博士

そう。役割分担をきちんと整理することが大事じゃ。

アユム アユム

2番の医療安全管理者養成研修は?

博士 博士

これは日本看護協会や医師会、学会などが主催する研修事業じゃ。医療法で各医療機関に実施義務があるわけではない。

アユム アユム

4番の『2年に1回』は頻度が足りないんですね。

博士 博士

その通り。厚労省通知では『年2回程度、おおむね半年に1回』定期開催し、必要時に追加するとされておる。2年に1回じゃ全然足りないのじゃ。

アユム アユム

医療安全管理委員会ってどんな組織ですか?

博士 博士

医師・看護師・薬剤師・事務など多職種で構成され、インシデント・アクシデント報告の分析、再発防止策の検討、指針や手順書の見直しを行う。月1回以上開催が一般的じゃ。

アユム アユム

2015年に医療事故調査制度が始まりましたよね。

博士 博士

うむ。医療法改正により、予期せぬ死亡事故が発生した場合は医療事故調査・支援センターへの報告と院内調査が義務化された。重要な制度じゃ。

アユム アユム

特定機能病院では専従の医療安全管理者が必要ですよね。

博士 博士

その通り。特定機能病院や臨床研修病院では医療安全管理部門の独立配置と専従管理者の設置が義務付けられておる。2014年の群馬大学医学部附属病院の事例などを契機に強化されたのじゃ。

アユム アユム

制度が段階的に充実してきたんですね。

博士 博士

医療は不可避的にリスクを伴う。『誰でも間違える』を前提にシステムで事故を防ぐのが現代の医療安全じゃ。

アユム アユム

個人の責任追及より、仕組みで守る視点ですね。

POINT

医療法第6条の12に基づき、全ての医療機関は①医療安全のための指針整備、②医療安全管理委員会の設置、③職員研修の年2回程度の実施、④院内報告体制の確立、という4つの安全確保義務を負っています。医療安全支援センターは医療機関ではなく都道府県等の公的機関が設置し、患者・住民からの苦情相談を担います。2015年施行の医療事故調査制度により、予期せぬ死亡事故時は医療事故調査・支援センターへの報告と院内調査が義務化されました。看護師は現場のリスク察知とインシデント報告を通じて、システムで安全を守る医療安全文化の中核を担います。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:医療法に基づき医療機関が医療の安全を確保する目的で行うのはどれか。

解説:正解は 3 です。医療法第6条の12および関連施行規則により、病院等の管理者は『医療に係る安全管理のための指針の整備』『医療安全管理委員会の設置』『職員研修の実施(年2回程度、必要に応じて追加)』『医療事故等の報告体制の整備』を義務付けられている。したがって、医療機関が行う医療安全確保の目的の行為として『医療の安全を確保するための指針を策定する』が正しい。

選択肢考察

  1. × 1.  医療安全支援センターを設置する。

    医療安全支援センターは医療法第6条の13に基づき、都道府県・保健所設置市・特別区が設置する機関。患者・住民からの苦情相談や医療機関への情報提供を担うもので、個々の医療機関が設置するものではない。

  2. × 2.  医療安全管理者養成研修を実施する。

    医療安全管理者養成研修は日本看護協会や医師会などの職能団体・学会が実施する研修事業。医療法で各医療機関に実施義務はない。

  3. 3.  医療の安全を確保するための指針を策定する。

    医療法施行規則第1条の11により、病院・診療所・助産所の管理者は医療安全のための指針の整備、委員会の設置、職員研修の実施、事故報告等の体制整備を行うことが義務付けられている。

  4. × 4.  医療安全管理のために必要な研修を2年に1回実施する。

    医療安全管理のための職員研修は『年2回程度(おおむね半年に1回)』定期的に実施し、必要に応じて適宜追加することが厚生労働省通知で示されている。『2年に1回』では頻度が足りない。

医療法第6条の12に基づく医療機関の医療安全確保義務は4本柱:①医療安全のための指針整備、②医療安全管理委員会の設置(有床医療機関)、③職員研修の実施(年2回+必要時)、④事故等の院内報告体制の確立。さらに医療事故調査制度(2015年施行、医療法改正)により、医療事故発生時は医療事故調査・支援センターへの報告と院内調査が義務化された。特定機能病院・臨床研修病院では専従の医療安全管理者配置が求められる。医療安全支援センターは都道府県等の公的機関で、医療法第6条の13に規定される。

医療法に基づき医療機関(管理者)が直接行うべき医療安全確保の義務を問う問題。設置主体と規定頻度を正確に押さえる。