StudyNurse

パートナーへの告知を支援する看護

看護師国家試験 第105回 午前 第106問 / 母性看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第106問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず搔痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症〈STD〉(sexually transmitted disease)を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、脈拍62/分であった。 Aさんは「彼とは交際を続けたいので、性感染症〈STD〉(sexually transmitted disease)のことは黙っていてもよいですか。今日、相談に来たことも彼には話していません」と看護師に話した。 Aさんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.パートナーには話さなくてもよいと伝える。
  2. 2.パートナーに来院を促す電話をすると伝える。
  3. 3.Aさんが通う大学の保健センターの看護師に相談するよう勧める。
  4. 4.性感染症〈STD〉(sexually transmitted disease)に罹患したことをAさんからパートナーに伝えるよう勧める。

対話形式の解説

博士 博士

前問の続きじゃ。AさんはSTDを彼に黙っていてもよいかと看護師に尋ねてきた。どう対応するかが問われておる。

アユム アユム

交際を続けたいから言いたくない気持ち、とてもよくわかります。

博士 博士

気持ちに共感することは大切じゃが、医学的には放置できん問題でな。正解は4の『Aさんからパートナーに伝えるよう勧める』じゃ。

アユム アユム

どうしてAさん本人から伝える必要があるんですか?

博士 博士

STD治療の原則は『パートナー同時検査・同時治療』。片方だけ治しても性交で再感染するピンポン感染が起きるからの。未治療のパートナーはPIDや不妊、上行感染を起こすリスクもある。

アユム アユム

1の『話さなくてもよい』はそもそも医学的に問題ですね。

博士 博士

そうじゃ、再感染を容認することになり、Aさん自身の健康と将来の妊孕性を損なうリスクが続く。倫理的にも不適切じゃ。

アユム アユム

2の『医療者がパートナーに電話する』はどうですか?効率的な気がしますが…

博士 博士

本人の同意なく第三者に病名を伝えることは守秘義務違反じゃ。医療倫理の四原則でいう『自律尊重』にも反する。やってはいけん行為じゃな。

アユム アユム

3の『大学の保健センターの看護師に相談』はどうして違うんですか?

博士 博士

すでにクリニックで診断と治療が始まっておるし、問題の本質はパートナーへの伝達。他機関へ丸投げしても解決せんのじゃ。

アユム アユム

看護師としてAさんにどう支援すればよいでしょう?

博士 博士

ピンポン感染や不妊リスクを丁寧に説明し、伝えることの意味を理解してもらう。そのうえで伝え方に迷うなら、具体的な文例やロールプレイを提示するんじゃ。

アユム アユム

伝えることへの不安にも寄り添いたいですね。

博士 博士

そうじゃな、『交際を続けたい』というAさんの願いを尊重しつつ、誠実に伝えることが関係性を守ることにもつながると支えることが大切じゃ。

アユム アユム

パートナー通知という考え方があるんですね。

博士 博士

うむ、英語では『partner notification』といい、患者主導型(patient referral)と医療者主導型(provider referral)がある。日本では原則患者主導型じゃ。

アユム アユム

同時に他のSTDもチェックしたほうがいいですか?

博士 博士

よい視点じゃ。淋菌、HIV、梅毒、B型・C型肝炎などは合併率が高いから、両者ともスクリーニングを勧めることが多いぞ。

アユム アユム

倫理と医学の両方に目を配る必要があるんですね、勉強になります。

博士 博士

そのとおりじゃ。看護師の役割は情報提供と意思決定支援——押しつけではなく寄り添う姿勢が大切じゃよ。

POINT

STDに罹患した若年女性がパートナーに告知を迷う場面の看護師対応を問う問題です。同時治療の必要性と医療者の守秘義務から、本人がパートナーに伝えられるよう支援する選択肢4が最も適切となります。医学的必要性と倫理的配慮を両立させる看護判断の重要性を学ぶ問題です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず搔痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症〈STD〉(sexually transmitted disease)を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、脈拍62/分であった。 Aさんは「彼とは交際を続けたいので、性感染症〈STD〉(sexually transmitted disease)のことは黙っていてもよいですか。今日、相談に来たことも彼には話していません」と看護師に話した。 Aさんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。性感染症の治療原則はパートナー同時検査・同時治療で、一方のみの治療では性交によるピンポン感染で繰り返し再感染します。プライバシー保護の観点から医療者が本人の同意なくパートナーへ連絡することは適切ではなく、Aさん自身がパートナーへ伝えて検査・治療につなげられるよう、看護師は心理的支援と具体的な伝え方の助言を行うのが最も適切な対応です。

選択肢考察

  1. × 1.  パートナーには話さなくてもよいと伝える。

    パートナーが未治療のままでは再感染やPID・不妊へ進行するリスクがあり、黙認は医学的に不適切です。

  2. × 2.  パートナーに来院を促す電話をすると伝える。

    本人の同意なく第三者へ病名を伝えることは守秘義務・プライバシー保護に反し、不適切です。

  3. × 3.  Aさんが通う大学の保健センターの看護師に相談するよう勧める。

    すでに受診しており、問題解決にはパートナー本人との話し合いが不可欠であるため、保健センターへ丸投げするのは適切ではありません。

  4. 4.  性感染症〈STD〉(sexually transmitted disease)に罹患したことをAさんからパートナーに伝えるよう勧める。

    同時治療の必要性を本人が理解し、自分の言葉でパートナーに伝えられるよう支援するのが最も適切な対応です。

パートナー通知(パートナー・ノーティフィケーション)はSTD予防の要で、本人から伝える患者主導型が基本です。伝え方に悩む場合は看護師がロールプレイや具体的な文例を提示して心理的ハードルを下げます。交際継続の希望や学生という背景にも配慮した支援が重要です。

STDの『パートナー同時治療』と『本人による通知』『医療者の守秘義務』という3原則を踏まえた看護師の対応を問う問題です。