妊娠初期の妊婦に最も起こりやすい体の変化は?
看護師国家試験 第106回 午後 第99問 / 母性看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠8週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだけで吐き気がします」と話している。 このときの妊婦健康診査で「妊娠することは考えていなかったので、これから自分の体にどういうことが起こるのか分かりません」とAさんから相談があった。看護師は、次の妊婦健康診査までに生じやすい変化について説明することにした。 Aさんに生じやすいのはどれか。
- 1.痔
- 2.便秘
- 3.腰痛
- 4.静脈瘤
対話形式の解説
博士
Aさんが『これから体にどんな変化が起こるかわからない』と相談してきたところじゃ。妊娠8週で、次の健診は12週頃じゃな。
サクラ
妊婦健診の頻度を思い出しました。23週までは4週に1回ですね。
博士
その通り。24~35週は2週に1回、36週~分娩は1週に1回じゃ。Aさんの次回は12週。
サクラ
選択肢は痔、便秘、腰痛、静脈瘤の4つ。答えは便秘ですか?
博士
正解じゃ。妊娠初期から中期に最も起こりやすいマイナートラブルじゃ。
サクラ
なぜ便秘になりやすいんですか?
博士
3つの要因が重なる。①黄体ホルモン(プロゲステロン)が腸管平滑筋を弛緩させて蠕動が低下する②つわりで食事・水分摂取が減る③運動不足が加わる。
サクラ
プロゲステロンって妊娠維持のホルモンですよね。
博士
その通り。子宮筋の収縮を抑えて流産を防ぐ作用がある。ただし副作用的に他の平滑筋も弛緩するから、腸管運動や血管緊張も低下するのじゃ。
サクラ
選択肢1の痔はどうしてダメなんですか?
博士
痔は妊娠後期に多いマイナートラブルじゃ。増大子宮が骨盤内静脈を圧迫してうっ血を起こすため。12週ではまだ子宮はそれほど大きくない。
サクラ
選択肢3の腰痛も同じ理由ですか?
博士
うむ。腰痛は子宮増大・体重増加による重心前方移動で腰椎前弯が強まり、中期以降に出る。12週の胎児はまだ10g程度じゃ。
サクラ
選択肢4の静脈瘤も後期ですね?
博士
下肢静脈瘤は子宮による下大静脈圧迫・循環血液量増加・ホルモン影響などで中期以降に出現する。
サクラ
妊娠中のマイナートラブルって時期別に覚えるといいですか?
博士
うむ。【初期~中期】つわり・便秘・帯下増加・頻尿・乳房緊満。【中期】腰痛・こむら返り・静脈瘤軽度。【後期】腰背痛・下肢浮腫・静脈瘤・痔・胸焼け・頻尿・不眠・妊娠線。
サクラ
便秘対策を具体的に教えてください。
博士
①水分摂取②食物繊維(野菜・果物・海藻)③適度な運動(ウォーキングなど)④規則的な排便習慣⑤朝起きてコップ一杯の冷水で腸を刺激。
サクラ
下剤は使えるんですか?
博士
酸化マグネシウムなどの緩下剤は医師の処方で使用できる。ただしセンナなど刺激性下剤は子宮収縮を誘発しうるため原則避けるのじゃ。
サクラ
Aさんはつわりで食事量が減ってるから、余計に便秘になりやすそうですね。
博士
その通り。つわりと便秘は連鎖するのじゃ。水分摂取の工夫(常温水・炭酸水・スープ)を促すと良い。
サクラ
妊娠中のマイナートラブルって『マイナー』と言いつつ生活の質に大きく影響しますね。
博士
その通り。看護師は妊婦さんの日常生活に寄り添った具体的な対処法を教えることが大事じゃ。
POINT
妊娠8週から12週にかけては、プロゲステロンによる腸管弛緩・つわりによる食事量低下・運動不足が重なり『便秘』が最も起こりやすいマイナートラブルです。痔・腰痛・静脈瘤は主に妊娠中期以降に出現するため、時期のミスマッチで誤答となります。妊娠中のマイナートラブルは時期別(初期・中期・後期)に頻度が変わるため、各期の主症状を整理して覚えることが国試対策の王道です。便秘対策としては水分・食物繊維・運動・規則的排便習慣を基本とし、必要時は酸化マグネシウムなど安全性の高い緩下剤を医師の処方で使用するよう指導します。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠8週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだけで吐き気がします」と話している。 このときの妊婦健康診査で「妊娠することは考えていなかったので、これから自分の体にどういうことが起こるのか分かりません」とAさんから相談があった。看護師は、次の妊婦健康診査までに生じやすい変化について説明することにした。 Aさんに生じやすいのはどれか。
解説:正解は 2 です。妊娠初期から中期にかけては、黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用で腸管平滑筋が弛緩し、腸蠕動が低下する。また増大する子宮による腸管圧迫、鉄剤による便秘、運動不足も加わり『弛緩性便秘』が起こりやすい。Aさんは妊娠8週で次回健診は12週頃、まさに便秘が起こりやすい時期である。
選択肢考察
-
× 1. 痔
痔は子宮増大による骨盤内静脈うっ血が主因で、妊娠後期に多い。12週頃にはまだ起こりにくい。
-
○ 2. 便秘
プロゲステロンによる腸管弛緩、子宮増大による圧迫、運動不足、つわり期の食事・水分不足が重なり、妊娠初期~中期に便秘が起こりやすい。Aさんの次回健診までに最も生じやすい変化。
-
× 3. 腰痛
腰痛は子宮増大・体重増加による重心前方移動が原因で、妊娠中期以降に多い。12週では胎児はまだ10g程度で腰部への物理的負担は少ない。
-
× 4. 静脈瘤
下肢静脈瘤は子宮増大による下大静脈圧迫に伴うもので、妊娠中期以降に出現することが多い。12週までの出現は稀。
妊娠中のマイナートラブルは時期により現れ方が異なる。【妊娠初期~中期】つわり、便秘、帯下増加、頻尿、乳房緊満。【中期】腰痛、掻痒感、こむら返り、浮腫、静脈瘤の軽度出現。【後期】腰背部痛、下肢静脈瘤、下肢浮腫、痔、胸焼け、頻尿、不眠、妊娠線。便秘対策は①水分摂取(朝一杯の冷水も有効)②食物繊維(野菜・海藻・果物)③適度な運動④規則的な排便習慣⑤重症時は酸化マグネシウムなど緩下剤を医師が処方。刺激性下剤は子宮収縮を誘発しうるため原則避ける。
妊娠週数(初期~中期)に応じて出現しやすいマイナートラブルを識別する問題。便秘はプロゲステロン作用を背景に初期から起こることを押さえる。
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