子宮口8cmのいきみ逃し
看護師国家試験 第111回 午前 第108問 / 母性看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(34歳、初産婦)は順調な妊娠経過であった。妊娠40週5日の午前8時、10分毎の規則的な子宮収縮を主訴に来院し、医師の診察の結果、入院となった。入院時の胎児心拍数基線は130bpm、胎児の推定体重は3,300gであった。 Aさんの分娩は順調に進行した。午後5時に破水し、午後6時には子宮口開大8cmとなった。「便が出そうです。もう、これ以上頑張れない」と陣痛発作時には全身に力が入っている。 このときの看護師の声かけで正しいのはどれか。
- 1.「リラックスするためにお風呂に入りましょう」
- 2.「赤ちゃんのために我慢しましょう」
- 3.「トイレに行って排便しましょう」
- 4.「息を吐いて力を抜きましょう」
対話形式の解説
博士
111回午前108問じゃ。子宮口8cm・破水後のAさんが便意を訴える場面での声かけを考えるんじゃ。
アユム
博士、子宮口8cmはどの時期ですか?
博士
分娩第1期の極期じゃな。子宮口7cmから10cm(全開大)までの時期で、陣痛が最も強く、いきみ感が強くなる頃じゃ。
アユム
便が出そうというのは実際に便意なんですか?
博士
児頭が下降してきて直腸を圧迫するためにいきみ感が便意のように感じられるんじゃ。実際の排便ではなく、分娩の進行サインと考えるとよい。
アユム
この時点でいきんでしまうとどうなるんでしょう?
博士
子宮口全開大前にいきむと、まだ開いていない頸管が児頭で擦られて子宮頸管裂傷を起こす危険がある。産婦の消耗も大きくなるぞ。
アユム
だから息を吐いて力を抜く呼吸法でいきみを逃がすんですね。正解は4番。
博士
その通り。「ヒーヒーフー」のような短速呼吸や、長くゆっくり息を吐く呼吸を一緒にやってあげるとよいぞ。
アユム
1番の入浴はどうして違うんですか?
博士
午後5時に破水しておるじゃろ。破水後は羊膜が破れて上行感染のリスクが急上昇するから、入浴・シャワーは禁忌なんじゃ。
アユム
2番の「我慢しましょう」は?
博士
産婦の訴えを精神論で抑えるのはよくない。「今こうすると楽になるよ」という具体的方法を示してこその看護じゃ。
アユム
3番のトイレで排便は?
博士
便意に見えて実は児頭下降のサインじゃから、トイレで座っていきむのは危険じゃ。下手をすれば便器内分娩もあり得るぞ。
アユム
破水後のケアにはほかに何がありますか?
博士
感染予防のための内診回数制限、体温や羊水性状(羊水混濁、異臭)の観察、清潔な寝衣やナプキン交換などじゃ。胎児心拍モニタリングの強化も忘れずにの。
アユム
全開大後はいきませていいんですよね。
博士
うむ、全開大を確認して初めて陣痛発作に合わせたいきみを促していく。タイミングの見極めが助産師・看護師の腕じゃ。
POINT
子宮口8cmは全開大前でいきむと頸管裂傷の危険があり、呼吸法でいきみを逃すことが基本です。破水後は入浴禁忌、便意に見えるいきみ感は児頭下降による直腸圧迫のサインです。「息を吐いて力を抜きましょう」と呼吸法を共に行う声かけが最適となります。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(34歳、初産婦)は順調な妊娠経過であった。妊娠40週5日の午前8時、10分毎の規則的な子宮収縮を主訴に来院し、医師の診察の結果、入院となった。入院時の胎児心拍数基線は130bpm、胎児の推定体重は3,300gであった。 Aさんの分娩は順調に進行した。午後5時に破水し、午後6時には子宮口開大8cmとなった。「便が出そうです。もう、これ以上頑張れない」と陣痛発作時には全身に力が入っている。 このときの看護師の声かけで正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。子宮口8cmは分娩第1期極期で、まだ全開大ではなくいきむと子宮頸管裂傷を起こす可能性があります。「便が出そう」の訴えは児頭下降による直腸圧迫でのいきみ感で、呼吸法で息を吐いて力を抜き、いきみを逃がすよう声かけするのが正しい対応です。
選択肢考察
-
× 1. 「リラックスするためにお風呂に入りましょう」
すでに破水しており上行感染のリスクがあるため、入浴やシャワーは禁忌となります。この時期にリラックスを目的に入浴を勧めるのは不適切です。
-
× 2. 「赤ちゃんのために我慢しましょう」
産婦の訴えを精神論で抑えつけるような声かけは共感性に欠けます。具体的ないきみ逃しの方法を提示することが求められます。
-
× 3. 「トイレに行って排便しましょう」
「便が出そう」は児頭下降による直腸圧迫が原因で、本当の便意ではない可能性が高く、排便行動中に急速分娩が生じると母児ともに危険です。
-
○ 4. 「息を吐いて力を抜きましょう」
子宮口全開大前にいきむと頸管裂傷の危険があるため、短速呼吸や息を長く吐く呼吸法でいきみを逃がし、力を抜くよう支援することが正しい対応です。
分娩第1期極期(子宮口7~10cm)のいきみ逃し呼吸には、ヒーヒーフー呼吸や短速呼吸、ゆっくり息を吐くなどの方法があります。破水後は感染予防のため入浴・シャワー不可、内診回数制限、体温や羊水性状の観察が重要です。全開大後は陣痛発作に合わせていきみを促します。
分娩第1期極期のいきみ逃し呼吸法を、産婦への声かけとして適切に実践できるかを問う問題です。
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