ラムゼイ・ハント症候群の犯人ウイルスを突き止めよう
看護師国家試験 第113回 午後 第27問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 基本的な病因
国試問題にチャレンジ
Ramsay Hunt<ラムゼイ・ハント>症候群(Ramsay Hunt syndrome)は顔面神経麻痺症状を主症状とする。 原因となるウイルスはどれか。
- 1.アデノウイルス
- 2.インフルエンザウイルス
- 3.水痘帯状疱疹ウイルス
- 4.単純ヘルペスウイルス
対話形式の解説
博士
ふむ、今日はラムゼイ・ハント症候群の原因ウイルスについて学ぶぞい。
サクラ
顔面神経麻痺が出る病気ですよね。原因は何でしたっけ。
博士
答えは水痘帯状疱疹ウイルス、いわゆるVZVじゃ。子どものころ水ぼうそうで感染したあと、神経節に潜伏しておる。
サクラ
ずっと神経の中に隠れていたウイルスが、大人になって悪さをするんですね。
博士
そうじゃ。免疫力が落ちた時に膝神経節で再活性化して、顔面神経を襲うのじゃ。
サクラ
症状は顔面神経麻痺だけですか。
博士
いや、耳介や外耳道に痛みを伴う水疱が出て、難聴やめまい、味覚障害まで起こる三徴候が特徴じゃ。
サクラ
似た病気にベル麻痺がありますよね。
博士
よく知っておるのう。ベル麻痺は原因不明の特発性で、単純ヘルペスの関与が疑われるが水疱は出ん。ハント症候群は水疱が出るのが見分け方じゃ。
サクラ
治療はどうするんですか。
博士
発症から72時間以内にアシクロビルなどの抗ウイルス薬とステロイドを併用するのが鉄則じゃ。
サクラ
看護のポイントも気になります。
博士
麻痺側の角膜乾燥を防ぐ点眼や眼帯、食事介助時の口角からの漏れ対策、めまいがある時の転倒予防が大切じゃぞ。
サクラ
早期治療で後遺症も違ってくるんですね、しっかり覚えます。
POINT
ラムゼイ・ハント症候群は水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化により、顔面神経麻痺に加え耳介水疱や第8脳神経症状を伴う疾患です。アデノウイルスやインフルエンザ、単純ヘルペスは原因ではありません。治療は発症早期の抗ウイルス薬とステロイド併用が重要で、看護では角膜保護やめまい時の安全管理が求められます。ベル麻痺との鑑別点として耳介水疱の有無を押さえておきましょう。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:Ramsay Hunt<ラムゼイ・ハント>症候群(Ramsay Hunt syndrome)は顔面神経麻痺症状を主症状とする。 原因となるウイルスはどれか。
解説:正解は 3 の水痘帯状疱疹ウイルスです。幼少期に水痘として初感染したあと膝神経節などの神経節に潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が、加齢や疲労、免疫低下をきっかけに再活性化し、顔面神経を侵すことで起こる疾患がラムゼイ・ハント症候群です。末梢性の顔面神経麻痺に加え、耳介や外耳道の水疱、耳痛、難聴、めまい、味覚障害(舌前2/3)といった第8脳神経症状を伴う点が特徴で、同じく顔面神経麻痺をきたすベル麻痺と比較して予後がやや不良とされています。
選択肢考察
-
× 1. アデノウイルス
アデノウイルスは咽頭結膜熱や流行性角結膜炎、乳幼児の胃腸炎などを引き起こす代表的なウイルスで、ラムゼイ・ハント症候群の原因にはなりません。
-
× 2. インフルエンザウイルス
インフルエンザウイルスは急性の発熱性呼吸器感染症を起こす原因ウイルスであり、ごくまれにインフルエンザ脳症などで顔面神経症状が出ることはあっても、ラムゼイ・ハント症候群の病因ではありません。
-
○ 3. 水痘帯状疱疹ウイルス
膝神経節に潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が再活性化し、顔面神経を障害することでラムゼイ・ハント症候群が起こります。耳介の水疱と顔面神経麻痺、第8脳神経症状を三徴として理解しておきましょう。
-
× 4. 単純ヘルペスウイルス
単純ヘルペスウイルス(HSV)は口唇・性器ヘルペスや角膜炎の原因となり、原因不明の特発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)への関与は示唆されていますが、ラムゼイ・ハント症候群の原因ウイルスではありません。
ラムゼイ・ハント症候群の治療は、できるだけ早期(発症72時間以内が目安)にアシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬とステロイドを併用することで、顔面神経麻痺の後遺症を軽減できます。看護では角膜乾燥予防(眼帯・点眼)、食事時の口角からの漏れへの配慮、めまい時の転倒予防、耳痛への対応などが重要です。
顔面神経麻痺と耳の水疱・聴平衡覚症状を合併するラムゼイ・ハント症候群の原因ウイルスが、VZV(水痘帯状疱疹ウイルス)であることを問う基本問題です。
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