大動脈解離の仕組みを理解しよう
看護師国家試験 第113回 午前 第79問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 基本的な病因
国試問題にチャレンジ
大動脈解離(aortic dissection)で真腔と偽腔(解離腔)が形成される。偽腔が形成される大動脈壁の部位はどれか。
- 1.外膜
- 2.外膜と中膜の間
- 3.中膜
- 4.中膜と内膜の間
- 5.内膜
対話形式の解説
博士
今日は大動脈解離についてじゃ。血管壁は3層構造じゃが、覚えておるか?
サクラ
内膜、中膜、外膜の3層ですね。
博士
その通り。解離はどこから始まると思う?
サクラ
内膜に裂け目ができて、そこから血液が壁の中に入っていくんですよね。
博士
素晴らしい。その裂け目をエントリーと呼ぶ。血液はどの層に入る?
サクラ
中膜に入って、中膜を長軸方向に引き裂いていくと習いました。
博士
正解じゃ。その結果できる血液の流れ道が偽腔、本来の流路が真腔じゃ。
サクラ
つまり偽腔は中膜の中にあるんですね。
博士
そうじゃ。外膜まで破れると大動脈破裂になって命に関わる。
サクラ
スタンフォード分類も重要ですよね。
博士
うむ。上行大動脈を含むA型は緊急手術、B型は原則保存治療じゃ。
サクラ
症状は突然の胸背部痛でしたね。
博士
しかも移動性の痛みが特徴じゃ。解離が進むにつれて痛みの場所が変わる。
サクラ
合併症としては心タンポナーデや大動脈弁閉鎖不全もありましたね。
博士
その通り。分枝動脈が巻き込まれると脳梗塞や腸管虚血も起こりうる。
サクラ
中膜に偽腔ができるという構造を押さえれば、合併症も理解しやすいですね。
POINT
大動脈解離は内膜のエントリーから血液が中膜に流入し、中膜が二層に裂けることで偽腔が形成される疾患です。上行大動脈を含むスタンフォードA型は緊急手術適応で、心タンポナーデや大動脈弁閉鎖不全、分枝動脈虚血など多彩な合併症を生じます。突然の移動性胸背部痛を訴える患者では本症を想起し、造影CTでの迅速な診断が必要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:大動脈解離(aortic dissection)で真腔と偽腔(解離腔)が形成される。偽腔が形成される大動脈壁の部位はどれか。
解説:正解は3です。大動脈解離は内膜に亀裂が生じ、そこから血液が中膜に流入して中膜が二層に裂けることで偽腔が形成されます。偽腔は中膜内に存在します。
選択肢考察
-
× 1. 外膜
外膜は血管壁の最外層で結合組織からなります。偽腔の形成部位ではありません。外膜まで破綻すると大動脈破裂となり致死的です。
-
× 2. 外膜と中膜の間
外膜と中膜の境界ではなく、中膜の内部で裂け目が広がります。
-
○ 3. 中膜
内膜のエントリー(tear)から流入した血液が中膜を長軸方向に引き裂きます。この中膜内の血液貯留腔が偽腔(解離腔)です。
-
× 4. 中膜と内膜の間
中膜と内膜の境界ではなく、中膜の層内で解離が進行します。
-
× 5. 内膜
内膜はエントリーが生じる起点ですが、偽腔自体は中膜内に形成されます。
大動脈解離はスタンフォード分類でA型(上行大動脈を含む)とB型(含まない)に分けられ、A型は緊急手術の適応となります。主症状は突然の激しい胸背部痛で、移動性の痛みが特徴です。合併症には大動脈弁閉鎖不全、心タンポナーデ、分枝動脈閉塞による臓器虚血などがあります。
大動脈壁の3層構造と解離の発生機序を正しく理解しているかを問う問題です。
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