マイコプラズマ肺炎はどう広がる?
看護師国家試験 第113回 午後 第35問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 基本的な病因
国試問題にチャレンジ
マイコプラズマ肺炎(mycoplasma pneumonia)の感染経路はどれか。
- 1.空気感染
- 2.血液感染
- 3.飛沫感染
- 4.媒介物感染
対話形式の解説
博士
今日はマイコプラズマ肺炎の感染経路じゃ。
サクラ
子どもや若い人がかかりやすい肺炎ですよね。
博士
そうじゃ。原因菌のMycoplasma pneumoniaeは細胞壁を持たない特殊な微生物じゃ。
サクラ
感染経路は何ですか。
博士
主に飛沫感染じゃ。咳やくしゃみの飛沫で1〜2m以内の近距離で広がる。
サクラ
空気感染とは違うんですか。
博士
違うぞい。空気感染は結核・麻疹・水痘の3つが代表じゃ。飛沫核として長時間空中を漂うかどうかが境目じゃ。
サクラ
症状の特徴は。
博士
頑固な乾性咳嗽、長引く発熱、倦怠感。聴診所見が乏しいのにX線では影がある、いわゆる理学所見と画像の乖離が特徴じゃ。
サクラ
だから『歩く肺炎』って呼ばれるんですね。
博士
そうじゃ。比較的元気だが咳が長引くので、学校や家庭で集団感染しやすい。
サクラ
潜伏期間はどれくらいですか。
博士
2〜3週間と長めじゃ。感染源が特定しにくいのも特徴じゃな。
サクラ
治療は抗菌薬ですよね。
博士
細胞壁がないためペニシリンなどのβラクタム系は効かんぞ。マクロライド系が第一選択じゃ。
サクラ
最近は耐性もあるんですか。
博士
うむ、マクロライド耐性株が増えておって、トスフロキサシンやミノサイクリンを使うこともある。
サクラ
予防は飛沫予防策ですね。
博士
サージカルマスク、手指衛生、咳エチケットが基本じゃ。
POINT
マイコプラズマ肺炎は飛沫感染で広がる非定型肺炎で、細胞壁を持たない原因菌の性質から治療はマクロライド系が第一選択です。空気感染は結核・麻疹・水痘、血液感染は肝炎・HIV等と整理します。予防策は飛沫予防策(マスク・手指衛生・咳エチケット)が中心となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:マイコプラズマ肺炎(mycoplasma pneumonia)の感染経路はどれか。
解説:正解は 3 の「飛沫感染」です。マイコプラズマ肺炎の原因微生物Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁を持たない最小の自己増殖性微生物で、主に咳やくしゃみで飛散する飛沫を介して感染します。潜伏期間は2〜3週間と長く、学童・若年者を中心に発症しやすい非定型肺炎です。濃厚接触による接触感染も補助的に関与しますが、空気感染・血液感染・媒介物感染はしません。
選択肢考察
-
× 1. 空気感染
空気感染(飛沫核感染)の代表は結核、麻疹、水痘です。マイコプラズマは飛沫核として長時間空中を漂うことはなく、空気感染には該当しません。
-
× 2. 血液感染
血液感染はB型・C型肝炎、HIVなどが代表例です。マイコプラズマ肺炎は呼吸器感染であり、血液を介した感染は成立しません。
-
○ 3. 飛沫感染
Mycoplasma pneumoniaeは咳やくしゃみで飛散する5μmより大きな飛沫を介して、おおむね1〜2m以内の近距離で感染します。学校や家庭内で集団感染を起こしやすい典型的な飛沫感染症です。
-
× 4. 媒介物感染
媒介物感染とは、食品・水・蚊などの媒介物(ビークル・ベクター)を介する感染です。マイコプラズマ肺炎は該当しません。
マイコプラズマ肺炎は『歩く肺炎』とも呼ばれる非定型肺炎で、頑固な乾性咳嗽、長引く発熱、倦怠感が特徴です。聴診所見が乏しい一方で胸部X線ではすりガラス影や網状影が見られることがあり、理学所見と画像の乖離がポイントです。細胞壁を持たないためβラクタム系は無効で、マクロライド系が第一選択ですが、近年はマクロライド耐性株が増加し、トスフロキサシンやミノサイクリン(8歳以上)が代替となります。飛沫予防策としてサージカルマスク着用、手指衛生、咳エチケットが基本です。
マイコプラズマ肺炎の感染経路と起因微生物の特徴、飛沫感染症としての予防策の基本を問う問題です。
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