脳転移の原発巣を押さえよう
看護師国家試験 第113回 午前 第81問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 基本的な病因
国試問題にチャレンジ
転移性脳腫瘍(metastatic brain tumor)の原発巣で最も多いのはどれか。
- 1.胃癌(gastric cancer)
- 2.乳癌(breast cancer)
- 3.肺癌(lung cancer)
- 4.大腸癌(colon cancer)
- 5.子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)
対話形式の解説
博士
今日は転移性脳腫瘍の問題じゃ。脳に転移しやすい癌は何か分かるか?
サクラ
肺癌ですね。授業で「肺から脳」と覚えた記憶があります。
博士
その通り。全転移性脳腫瘍の50〜60%を占めるんじゃ。
サクラ
なぜ肺癌が脳に転移しやすいのでしょうか。
博士
良い質問じゃ。肺静脈は直接左心系に戻り、全身動脈循環に乗って脳まで運ばれる。血流関門を一度通るだけじゃ。
サクラ
他の臓器は肝臓を経由するのですか?
博士
消化管系は門脈を通って肝臓に最初に引っかかるため、まず肝転移が多くなるんじゃ。
サクラ
なるほど、解剖学的な血流経路が転移パターンを決めるんですね。
博士
乳癌はどうじゃ?
サクラ
脳・骨・肺・肝と多彩ですが、脳転移では肺癌に次ぐ2位くらいですよね。
博士
そうじゃ。大腸癌は?
サクラ
肝臓と肺が主で、脳はそれほど多くありません。
博士
胃癌は?
サクラ
腹膜播種や肝転移が中心で、脳は稀ですね。
博士
子宮頸癌は?
サクラ
骨盤内や肺・骨が中心で、脳転移は非常に少ないです。
博士
完璧じゃ。肺癌で頭痛や麻痺が出たら脳転移を疑うのが臨床のポイントじゃ。
POINT
転移性脳腫瘍の原発巣で最多は肺癌(50〜60%)で、次いで乳癌、消化器癌、腎癌、悪性黒色腫などが続きます。肺静脈が直接左心系に流入する解剖学的特徴が脳転移の多さに関係しています。症状は頭蓋内圧亢進症状や局所神経症状として現れ、治療は放射線治療・手術・薬物療法を組み合わせて行います。癌種別の転移パターンを血流経路と関連付けて覚えることが重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:転移性脳腫瘍(metastatic brain tumor)の原発巣で最も多いのはどれか。
解説:正解は3です。転移性脳腫瘍の原発巣として最も多いのは肺癌で、全体の約50〜60%を占めます。肺は血流量が多く、肺静脈を介して直接左心系に戻るため脳転移を起こしやすい特徴があります。
選択肢考察
-
× 1. 胃癌(gastric cancer)
胃癌の主な転移先は肝臓・腹膜・リンパ節であり、脳転移は比較的稀です。
-
× 2. 乳癌(breast cancer)
乳癌も脳転移を起こしますが、全体では肺癌に次ぐ第2位程度で、肺癌ほど多くはありません。
-
○ 3. 肺癌(lung cancer)
肺癌、特に小細胞肺癌や腺癌は脳転移を高頻度に起こし、原発巣の半数以上を占めます。初発症状が脳転移の神経症状である場合もあります。
-
× 4. 大腸癌(colon cancer)
大腸癌の主な転移先は肝臓と肺であり、脳転移は頻度として少数です。
-
× 5. 子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)
子宮頸癌は骨盤内臓器や肺・骨への転移が主で、脳転移は非常に稀です。
転移性脳腫瘍は原発性脳腫瘍より頻度が高く、成人脳腫瘍の約半数を占めます。症状は頭痛、嘔吐、麻痺、けいれん、認知機能低下など頭蓋内圧亢進症状と局所症状が現れます。治療は全脳照射、定位放射線治療(ガンマナイフ等)、外科的摘出、分子標的薬などが病態に応じて選択されます。
各種癌の転移パターンと転移性脳腫瘍の疫学を理解しているかを問う問題です。
「基本的な病因」の関連記事
-
ラムゼイ・ハント症候群の犯人ウイルスを突き止めよう
顔面神経麻痺と耳の水疱・聴平衡覚症状を合併するラムゼイ・ハント症候群の原因ウイルスが、VZV(水痘帯状疱疹ウイル…
113回
-
マイコプラズマ肺炎はどう広がる?
マイコプラズマ肺炎の感染経路と起因微生物の特徴、飛沫感染症としての予防策の基本を問う問題です。
113回
-
大動脈解離の仕組みを理解しよう
大動脈壁の3層構造と解離の発生機序を正しく理解しているかを問う問題です。
113回
-
甲状腺クリーゼを見抜こう
甲状腺クリーゼの病態・誘因・症状を総合的に理解しているかを問う問題です。
113回
-
内因と外因を見分けよう
疾病の病因のうち、生体内にある素因(内因)と体外から作用する因子(外因)を区別できるかを問う問題である。
111回