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進行は速いが薬には弱い 小細胞肺がんの二面性

看護師国家試験 第109回 午前 第27問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 疾病に対する医療

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第27問

小細胞癌( small cell carcinoma )で正しいのはどれか。

  1. 1.患者数は非小細胞癌( non-small cell carcinoma )より多い。
  2. 2.肺末梢側に発生しやすい。
  3. 3.悪性度の低い癌である。
  4. 4.治療は化学療法を行う。

対話形式の解説

博士 博士

今日は肺がんの中でも特異な性質をもつ小細胞肺がんについて学ぶぞ。

サクラ サクラ

肺がんって種類がいくつかあるんですよね?

博士 博士

組織型で大きく2つに分かれる。非小細胞肺がんと小細胞肺がんじゃ。非小細胞肺がんはさらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに細分される。

サクラ サクラ

その中で一番多いのはどれですか?

博士 博士

腺がんじゃ。肺がん全体の約半数を占め、特に女性や非喫煙者にも発生する。末梢の肺野部に好発し、比較的症状が出にくいのが特徴じゃな。

サクラ サクラ

扁平上皮がんは?

博士 博士

約25〜30%で、ほぼ喫煙者に発生する。太い気管支の肺門部にできるから、早期から咳嗽や血痰が出やすいぞ。

サクラ サクラ

小細胞肺がんはどれくらいの割合ですか?

博士 博士

10〜15%と少数派じゃが、最も悪性度が高い。倍加時間が短く、気付いた時にはリンパ節や肝、脳、骨などに遠隔転移している例が多いのじゃ。

サクラ サクラ

発生部位は?

博士 博士

肺門部、つまり太い気管支に発生する。喫煙との関連も極めて強く、ほとんどの症例が喫煙歴をもつ。

サクラ サクラ

悪性度が高いなら手術で早く取り除きたいですね。

博士 博士

ところがじゃ、発見時にすでに進行していることが多く、手術の適応にならない症例がほとんどじゃ。

サクラ サクラ

じゃあ治療はどうするんですか?

博士 博士

ここが小細胞肺がんの面白いところじゃ。増殖が速い分、化学療法や放射線療法への感受性が高い。プラチナ製剤とエトポシドの併用療法が標準で、限局型なら胸部放射線を同時併用する。

サクラ サクラ

増殖が速い=薬が効きやすい、ということなんですね。

博士 博士

うむ、細胞が活発に分裂している時期は抗がん剤のターゲットになりやすいからの。ただし再発率が高く、5年生存率は肺がんの中で最も低いという厳しい現実もあるぞ。

サクラ サクラ

ほかに小細胞肺がん特有の症状ってありますか?

博士 博士

神経内分泌腫瘍の一種なので、ホルモン様物質を異所性に産生して腫瘍随伴症候群を起こすことがある。SIADHによる低Na血症、クッシング症候群、Lambert-Eaton筋無力症候群などじゃな。

サクラ サクラ

呼吸器症状だけでなく、全身症状も出るんですね。

博士 博士

だから看護の観点では、呼吸状態だけでなく電解質、神経症状、筋力、精神状態まで幅広く観察する必要があるぞ。そして何より禁煙支援が予防の要じゃ。

サクラ サクラ

肺がんの中でも個性が際立つタイプなんですね。

POINT

小細胞肺がんは肺がんの約10〜15%を占める少数派ですが、神経内分泌腫瘍に属し、肺門部に好発して喫煙と強く関連し、倍加時間が短く早期から遠隔転移をきたす最も悪性度の高い組織型です。発見時には手術適応を外れる症例が多く、一方で化学療法・放射線療法への感受性が高いため、プラチナ製剤+エトポシドを中心とする全身化学療法と胸部放射線療法の併用が標準治療となります。SIADHや Lambert-Eaton筋無力症候群などの腫瘍随伴症候群を起こすことも特徴で、看護では全身症状の包括的な観察と禁煙支援、副作用管理が重要な役割を担います。国試では非小細胞肺がんとの対比で問われやすく、割合・部位・悪性度・治療の4点を軸に整理しておくと失点を防げます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:小細胞癌( small cell carcinoma )で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。肺がんは組織型により小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別される。小細胞肺がんは肺がん全体の約10〜15%を占め、喫煙との関連が極めて強く、肺門部に好発する。増殖が速く早期から遠隔転移をきたしやすいため、発見時には手術適応外であることが多い。一方で化学療法や放射線療法への感受性が高く、治療の中心は全身化学療法(プラチナ製剤+エトポシドなど)と胸部放射線療法の併用、近年は免疫チェックポイント阻害薬も加わる。

選択肢考察

  1. × 1.  患者数は非小細胞癌( non-small cell carcinoma )より多い。

    肺がんの約85%は非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど)。小細胞肺がんは残り10〜15%で、むしろ少数派である。

  2. × 2.  肺末梢側に発生しやすい。

    小細胞肺がんは主気管支や葉気管支など中枢の肺門部に好発する。肺末梢側に多いのは腺がんや大細胞がんである。

  3. × 3.  悪性度の低い癌である。

    小細胞肺がんは倍加時間が短く増殖速度が速い、早期から広範なリンパ節・遠隔転移を起こすなど、肺がんの中で最も悪性度が高い組織型である。

  4. 4.  治療は化学療法を行う。

    発見時にすでに進行していることが多く、化学療法への感受性が高いことから、手術ではなくプラチナ製剤を含む全身化学療法+放射線療法が第一選択となる。

非小細胞肺がんは腺がん(約50%、末梢側、女性・非喫煙者にも多い)、扁平上皮がん(約25〜30%、肺門部、喫煙関連)、大細胞がん(数%、末梢側)に細分される。小細胞肺がんは神経内分泌腫瘍の一種で、ホルモン様物質の異所性産生によりSIADH、クッシング症候群、Lambert-Eaton筋無力症候群といった腫瘍随伴症候群を起こすことが特徴。病期分類はTNMとは別に限局型(LD)と進展型(ED)の2群に分ける伝統的分類が治療選択に使われる。禁煙指導は予防の観点から極めて重要である。

小細胞肺がんの疫学(少数派)、発生部位(肺門部)、悪性度(高い)、治療(化学療法+放射線)という基本プロファイルを非小細胞肺がんと対比して理解しているかを問う問題。