抗甲状腺薬の副作用を覚えよう
看護師国家試験 第108回 午後 第78問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 疾病に対する医療
国試問題にチャレンジ
抗甲状腺薬の副作用(有害事象)で正しいのはどれか。
- 1.頻脈
- 2.肝障害
- 3.低血糖
- 4.不整脈
- 5.眼球突出
対話形式の解説
博士
今日は抗甲状腺薬の副作用じゃ。代表的なものを挙げられるかの?
アユム
肝障害と無顆粒球症、あと皮疹ですか?
博士
その通り。チアマゾール(メルカゾール)やプロピルチオウラシルの主要副作用はその3つじゃ。
アユム
じゃあ選択肢2の肝障害が正解ですね。
博士
うむ。AST・ALT上昇や黄疸を来たすことがあり、投与開始後2週間〜3か月に発現しやすい。
アユム
早期発見のために血液検査が重要なんですね。
博士
そうじゃ。特に最初の3か月は定期的な肝機能と血算のチェックが必須になる。
アユム
無顆粒球症の怖さは?
博士
好中球500/μL未満になる重篤な副作用で、発熱や咽頭痛で発症することが多い。患者には『高熱や咽頭痛が出たらすぐ受診』と指導する必要がある。
アユム
選択肢1の頻脈と選択肢4の不整脈は?
博士
両方とも甲状腺機能亢進症そのものの症状じゃ。甲状腺ホルモン過剰で代謝と心拍出量が増加し、頻脈や心房細動が起きる。
アユム
治療で改善する方向の症状なんですね。
博士
その通り。副作用ではなく原病の症状じゃから、混同しないように。
アユム
選択肢5の眼球突出は?
博士
バセドウ病の甲状腺眼症による所見じゃ。自己免疫機序で眼窩の脂肪・外眼筋が炎症を起こして突出する。
アユム
選択肢3の低血糖は?
博士
糖尿病治療薬やインスリノーマで起きる病態で、抗甲状腺薬には関係ないぞ。
アユム
妊婦での注意点はありますか?
博士
妊娠初期はチアマゾールで頭皮欠損など催奇形性が報告されているから、プロピルチオウラシルに切り替えるのが原則じゃ。
アユム
薬と患者背景で使い分けるんですね。
博士
うむ。副作用モニタリングと患者指導が看護の要じゃよ。
POINT
抗甲状腺薬の主な副作用は肝障害、無顆粒球症、皮疹です。特に投与開始後3か月以内に好発するため、定期的な肝機能・血算の確認と、発熱・咽頭痛時のすみやかな受診指導が重要です。頻脈・不整脈・眼球突出は原病の症状で副作用ではありません。本問の正解は選択肢2の肝障害です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:抗甲状腺薬の副作用(有害事象)で正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。抗甲状腺薬(チアマゾール=メルカゾール、プロピルチオウラシル=チウラジール/プロパジール)はバセドウ病など甲状腺機能亢進症の治療薬で、甲状腺内でのヨウ素の有機化を阻害して甲状腺ホルモン合成を抑えます。主な副作用は肝障害(AST・ALT上昇、黄疸)、無顆粒球症、皮疹、関節痛、まれにANCA関連血管炎などで、特に投与開始後2週間〜3か月に発現しやすいため、定期的な血液検査による早期発見が重要です。
選択肢考察
-
× 1. 頻脈
頻脈は甲状腺機能亢進症そのものの症状で、抗甲状腺薬の副作用ではありません。むしろ治療により改善していきます。
-
○ 2. 肝障害
抗甲状腺薬の代表的副作用で、AST・ALT上昇や黄疸を来たすことがあります。投与開始後3か月以内の肝機能モニタリングが必須です。
-
× 3. 低血糖
低血糖は糖尿病治療薬やインスリノーマなどで起こる病態で、抗甲状腺薬の副作用には該当しません。
-
× 4. 不整脈
心房細動などの不整脈は甲状腺機能亢進症の合併症であり、抗甲状腺薬の副作用ではなく、治療によって改善する方向の症状です。
-
× 5. 眼球突出
眼球突出はバセドウ病の甲状腺眼症による所見で、抗甲状腺薬の副作用ではありません。自己免疫機序による眼窩組織の炎症で生じます。
抗甲状腺薬のもう一つの重大な副作用が『無顆粒球症』(好中球500/μL未満)で、発熱や咽頭痛で発症することが多いため、服薬中に高熱・咽頭痛を訴えたら直ちに受診・血算確認をするよう患者指導します。妊娠初期はチアマゾールで催奇形性(頭皮欠損など)が報告されているためプロピルチオウラシルへの切り替えが推奨されます。これらの副作用モニタリングが看護の重要ポイントです。
抗甲状腺薬の主要な副作用(肝障害・無顆粒球症・皮疹)と、甲状腺機能亢進症の症状との鑑別を理解しているかを問う問題です。
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