乳歯は胎児のうちからできている〜歯の発達の豆知識
看護師国家試験 第112回 午後 第56問 / 小児看護学 / 子どもの成長・発達
国試問題にチャレンジ
乳歯について正しいのはどれか。
- 1.永久歯より石灰化度が高い。
- 2.生後8か月に生えそろう。
- 3.胎児期に石灰化が始まる。
- 4.本数は永久歯と同じである。
対話形式の解説
博士
今日は乳歯についての基礎知識を確認するぞ。
アユム
乳歯って、生まれてから作られるんですよね?
博士
ノンノン、胎児期にすでに石灰化が始まっておる。妊娠4〜5か月頃じゃ。
アユム
えっ、そんなに早く!じゃあお母さんの栄養状態が歯質に影響するんですか?
博士
その通り。カルシウム、リン、ビタミンD、タンパク質など、乳歯の質に関わる栄養素を意識した食事指導が妊婦にとって大切じゃ。
アユム
薬も関係しますか?
博士
テトラサイクリン系抗菌薬は胎児の歯や骨に沈着し、歯の黄色〜褐色の着色を起こす。妊婦や8歳未満の小児には原則使わん。
アユム
乳歯は何本でしたっけ?
博士
20本じゃ。永久歯は親知らずを含めて32本だから、ずいぶん違うのう。
アユム
乳歯の方が石灰化度が高いんでしたっけ?
博士
逆じゃ。乳歯のほうがエナメル質・象牙質ともに薄く、石灰化度も低い。だからう蝕が速く進み、歯髄にすぐ達しやすい。
アユム
生後8か月で生え揃うんですか?
博士
8か月はまだ下の前歯が出始めた頃じゃ。生え揃うのはおおむね2歳半〜3歳頃。
アユム
乳歯の生え始めは離乳食の進行や発語にも影響しそうですね。
博士
その通り。口腔の発達、咀嚼能力、発音、顎の形成、そして歯並びの土台になる。乳歯を大切にするのは将来の永久歯のためでもある。
アユム
哺乳瓶う蝕という言葉も聞きます。
博士
夜間に哺乳瓶で甘い飲料を与え続けると、上顎前歯を中心に多発性のう蝕になるやつじゃな。寝る前のフッ素入り歯磨きや、ジュースを哺乳瓶に入れない指導が重要じゃ。
アユム
小児看護の歯の視点、大切なんですね。
POINT
乳歯の石灰化は胎児期、具体的には妊娠4〜5か月頃から始まり、出生時にはすでに歯冠の一部が形成されています。そのため妊婦のカルシウムやビタミンD摂取、テトラサイクリン系薬剤の回避など、妊娠期の指導が児の歯質に影響します。乳歯は20本で、生後6〜8か月頃から萌出を始め、約3歳頃に生え揃います。永久歯と比べて石灰化度が低くう蝕が進行しやすいため、フッ素塗布・哺乳瓶う蝕予防・母子の口腔衛生指導など小児看護・母子保健の視点での介入が不可欠です。乳歯は一時的な歯ではなく、永久歯の歯並びや咀嚼・発音能力の土台となる大切な器官として捉える必要があります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:乳歯について正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。乳歯の石灰化は胎児期から始まります。具体的には妊娠14〜19週頃(妊娠4〜5か月頃)にエナメル質・象牙質の石灰化が開始し、出生時までに乳切歯の歯冠部の一部が完成しています。そのため、妊婦の栄養状態(特にカルシウム・リン・ビタミンD・タンパク質)が児の歯質形成に影響するといわれています。萌出は生後6〜8か月頃から下顎乳中切歯に始まり、約3歳頃までに乳歯20本が生え揃います。
選択肢考察
-
× 1. 永久歯より石灰化度が高い。
乳歯は永久歯と比べて石灰化度が低く、エナメル質・象牙質ともに薄い。そのためう蝕(むし歯)の進行が速く、象牙質や歯髄への到達が早いことに注意が必要。
-
× 2. 生後8か月に生えそろう。
乳歯の萌出開始が生後6〜8か月頃で、生え揃うのは2歳半〜3歳頃。生後8か月では下顎の乳中切歯が生え始めたばかりの時期であり、生え揃ってはいない。
-
○ 3. 胎児期に石灰化が始まる。
乳歯の石灰化は妊娠4〜5か月頃から開始。妊娠期の母体の栄養状態や薬剤(テトラサイクリン系抗菌薬など)が歯の形成に影響するため、妊婦指導の根拠となる知識。
-
× 4. 本数は永久歯と同じである。
乳歯は20本、永久歯は親知らずを含めて32本(親知らずを除くと28本)。本数は異なる。
乳歯う蝕は進行が速く、歯髄まで早期に達しやすい。また母子感染(保護者の唾液を介したミュータンス菌伝播)、哺乳瓶う蝕(夜間授乳での糖摂取)など乳幼児期特有のリスクがある。テトラサイクリン系は胎児・乳幼児の歯に着色を起こすため、妊婦・小児への投与は原則禁忌。
乳歯の特徴(石灰化開始時期、萌出時期、本数、永久歯との比較)を問う問題。『胎児期に石灰化が始まる』という点を確実に押さえる。
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