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できることから少しずつ!5歳児の自己導尿、自立へのスモールステップ

看護師国家試験 第114回 午後 第106問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第106問

次の文を読み、問いに答えよ。 A君(5歳6か月、男児)は、二分脊椎(spina bifida)のため、繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を両親が実施している。現在、間欠的自己導尿は、保育所での実施を含めて1日6回行うよう医師が指示しており、自宅では両親が導尿している。A君は下肢の運動機能障害があるが、自分で車椅子からトイレに移動でき、指先の微細な動きもできる。 外来受診の際に母親から「地元の小学校に入学予定です。小学生になったら自分で導尿できたほうが良いと聞きました。Aも間欠的自己導尿をやってみたい、と言っています。どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と看護師に相談があった。 母親への説明で、最も適切なのはどれか。

  1. 1.「手順の中で、A君ができることを段階的に行いましょう」
  2. 2.「手技の失敗を繰り返すことが、A君の自信につながります」
  3. 3.「入学までに、A君が自分で最後までできるようにしましょう」
  4. 4.「最初のステップは、A君がカテーテルの挿入を自分でできることです」

対話形式の解説

博士 博士

A君は5歳6か月で、自分でも『やってみたい』と言っておる。母親は焦っておるが、看護師としてどう助言する?

アユム アユム

入学までに全部できるようになると安心ですよね。

博士 博士

気持ちはわかるが、それは本人にも母親にも大きなプレッシャーになるぞ。

アユム アユム

でも保育所でも導尿してるなら、早めに自立した方がいいのでは?

博士 博士

段階を踏むことが大切なのじゃ。導尿は手洗いから片付けまで多くの工程がある。一度に全部覚えるのは大人でも大変じゃよ。

アユム アユム

そっか、いきなり挿入から教えるのは…。

博士 博士

それは最も難しい工程じゃな。清潔操作も必要で、感染症のリスクも高い。最初に持ってくると失敗体験が積み重なるのじゃ。

アユム アユム

失敗体験って良くないんですか?『失敗が自信につながる』って選択肢もありましたけど。

博士 博士

それは誤解じゃ。エリクソンの発達課題で幼児後期は『自主性対罪悪感』の段階。成功体験で自主性を育てるのが大事なのじゃ。失敗続きだと罪悪感に傾いて意欲を失う。

アユム アユム

じゃあ、何から始めればいいんですか?

博士 博士

易しい工程から段階的に任せていくのじゃ。例えば手洗い、物品準備、衣服を下ろす、体位を取る、片付けるなどじゃな。

アユム アユム

『今日はここまでできた』って積み重ねていくんですね。

博士 博士

その通り。これをスモールステップ法と言う。看護師は『今日できたこと』を具体的に褒め、次の小さな目標を一緒に決めていくのじゃ。

アユム アユム

A君は指先の微細運動もできるんですよね。意欲もあるし発達的にも準備が整っている時期ですね。

博士 博士

うむ。本人のペースを尊重しつつ、達成感を積み重ねていけば、結果的に短期間で自立できることが多い。

アユム アユム

学校との連携も大事ですよね。トイレの場所とか時間の確保とか。

博士 博士

鋭い視点じゃ。医療的ケア児の支援は本人の手技獲得だけでなく環境整備も含めた総合的な調整が必要じゃよ。

アユム アユム

母親には『焦らなくて大丈夫、できることから一緒に』と伝えればいいんですね。

博士 博士

その通りじゃ。家族の安心感も子どもの自立を後押しする大切な要素なのじゃ。

POINT

5歳6か月で指先の微細運動が可能なA君が間欠的自己導尿の自立を目指す場面では、複雑な手技を一気に教えるのではなく、できる工程から段階的に任せるスモールステップ法が最も適切である。幼児後期は自主性を獲得する発達段階であり、成功体験の積み重ねが意欲と自尊感情の育成につながる。挿入のような清潔操作と巧緻性を要する工程を最初に課したり、入学までという期限を設けて完全自立を求めたりすることは、親子双方の心理的負担を高め失敗体験を増やす。自己導尿の自立支援では本人の発達と意欲を尊重し、家族・学校・医療者が連携して環境を整えることで、長期的に安全かつ持続可能な医療的ケアが実現する。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 A君(5歳6か月、男児)は、二分脊椎(spina bifida)のため、繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を両親が実施している。現在、間欠的自己導尿は、保育所での実施を含めて1日6回行うよう医師が指示しており、自宅では両親が導尿している。A君は下肢の運動機能障害があるが、自分で車椅子からトイレに移動でき、指先の微細な動きもできる。 外来受診の際に母親から「地元の小学校に入学予定です。小学生になったら自分で導尿できたほうが良いと聞きました。Aも間欠的自己導尿をやってみたい、と言っています。どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と看護師に相談があった。 母親への説明で、最も適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。5歳6か月のA君は指先の微細運動が可能で、自分でやってみたいという意欲もある発達段階にある。一方で、間欠的自己導尿(CIC)は、手洗い、物品準備、衣服の上げ下げ、陰部の清拭、カテーテル操作、尿の処理、片付けなど多くの工程を含み、すべてを一度に習得させるのは無理がある。エリクソンの発達課題では幼児後期は「自主性 対 罪悪感」の段階で、できる工程を任せて成功体験を積むことが自尊感情の育成に直結する。A君のできる工程から段階的に任せ、徐々に自立度を高めていくスモールステップ法が、心理的負担を抑えつつ確実に手技を習得できる最も適切な方法である。

選択肢考察

  1. 1.  「手順の中で、A君ができることを段階的に行いましょう」

    発達段階に合わせ、易しい工程(手洗い、物品の準備、衣服の上げ下げなど)から徐々に任せていく方法。成功体験の積み重ねが自立への動機を強化する。

  2. × 2.  「手技の失敗を繰り返すことが、A君の自信につながります」

    失敗の連続はむしろ自尊感情を損ない、意欲を失わせる。幼児期は成功体験を積み重ねることが自主性の獲得に重要で、失敗を前提とする指導は不適切。

  3. × 3.  「入学までに、A君が自分で最後までできるようにしましょう」

    期限を切って完全自立を目指すと親子双方にプレッシャーがかかり、焦りや失敗体験を増やす。A君のペースで進める方が長期的に有効。

  4. × 4.  「最初のステップは、A君がカテーテルの挿入を自分でできることです」

    カテーテル挿入は清潔操作と解剖学的位置の理解を要する最も難しい工程。最初に取り組ませるのは負担が大きく、感染リスクも高めるため不適切。

CICの自立支援は段階的に進めるのが基本で、一般的には(1)手洗い・物品準備(2)衣服の上げ下げ・体位調整(3)陰部清拭(4)カテーテル挿入(5)排尿確認・抜去(6)片付け・記録の順で難易度が上がる。学校生活への移行を見据えた支援では、本人の意欲、認知発達、巧緻性、家庭環境、学校側の受け入れ体制を多面的に評価する。学校では教室外のプライバシーが確保できるトイレや保健室、医療的ケア児への支援員配置などの環境整備も並行して進める。

幼児後期の発達段階を踏まえ、医療的ケアの自立支援をどう進めるかを問う問題。スモールステップでの成功体験の積み重ねが基本原則。