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修正型電気けいれん療法(m-ECT)のポイント

看護師国家試験 第107回 午前 第58問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害がある者への看護

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第58問

修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。

  1. 1.保護室で行う。
  2. 2.全身麻酔下で行う。
  3. 3.強直間代発作が生じる。
  4. 4.発生頻度の高い合併症は骨折である。

対話形式の解説

博士 博士

修正型電気けいれん療法、m-ECTについて問うておる。まず『修正型』の『修正』とは何を修正したのか、わかるかの?

アユム アユム

旧来の電気けいれん療法は麻酔なしで行っていて、骨折などの合併症があったと聞きました。

博士 博士

そのとおりじゃ。1930年代のECTは無麻酔で電気を流しておって、強直間代発作で脊椎圧迫骨折や四肢骨折、歯の破折が多発した。これを『修正』するため全身麻酔と筋弛緩薬を併用したのがm-ECTじゃ。

アユム アユム

ということは、選択肢2『全身麻酔下で行う』が正解ですね。

博士 博士

そうじゃ。プロポフォールなどの静脈麻酔薬で意識を落とし、サクシニルコリンなどの筋弛緩薬で全身の骨格筋を麻痺させてから、前頭部に短時間の電気刺激を加える。

アユム アユム

選択肢3の『強直間代発作が生じる』はどうですか?

博士 博士

筋弛緩薬が効いておるから、体は動かん。脳の中ではけいれん発射が起きておるが、体表にけいれんは見えん。だから強直間代発作は『生じない』が正しい。

アユム アユム

選択肢4の『骨折』は昔のECTの話なんですね。

博士 博士

そのとおり。現在のm-ECTでは骨折はほぼ起きず、最も頻度が高い合併症は記憶障害、特に治療前後の出来事が思い出しにくい逆向健忘じゃ。多くは一過性で回復する。

アユム アユム

選択肢1の『保護室で行う』は?

博士 博士

保護室は精神科病棟の隔離部屋であって、麻酔と呼吸管理はできん。m-ECTは手術室や麻酔機・蘇生設備の整った専用治療室で、精神科医・麻酔科医・看護師がチームで行う。

アユム アユム

どんな患者さんに適応になるんですか?

博士 博士

重症うつ病で強い自殺念慮のある方、薬物治療抵抗性のうつ病、統合失調症の緊張型昏迷、産後精神病、高齢者のうつ病などじゃ。薬物療法より効果発現が早く、1〜2週間で改善することが多い。

アユム アユム

治療の頻度はどれくらいですか?

博士 博士

一般的に週2〜3回、計6〜12回が標準的プロトコルじゃ。

アユム アユム

副作用としては記憶障害以外にどんなものが?

博士 博士

頭痛、筋肉痛、悪心、治療中の一過性血圧上昇・徐脈または頻脈、まれに遷延性けいれんや不整脈があるが、重篤な合併症は少ない。

アユム アユム

禁忌はありますか?

博士 博士

絶対禁忌はないとされておる。相対的禁忌として頭蓋内圧亢進や大動脈瘤などが挙げられるが、妊娠中でも実施可能な場合がある。

アユム アユム

看護師の役割は?

博士 博士

治療前は絶飲食の確認、義歯・ヘアピンなど金属の除去、同意書の確認。治療中は呼吸循環の観察。治療後は意識レベル・嘔吐・転倒リスクの観察と、一時的な健忘への心理的支援じゃ。

アユム アユム

患者さんへの説明も丁寧にしないといけませんね。

博士 博士

映画などで誤解されやすい治療法じゃからの。正確な情報提供でスティグマを減らすことも看護の役割じゃ。

POINT

修正型電気けいれん療法(m-ECT)は、全身麻酔と筋弛緩薬を併用して脳内のみにけいれんを誘発する治療で、旧来ECTで問題だった骨折や歯の破折は『修正』されています。薬物抵抗性のうつ病や強い自殺念慮、緊張型昏迷などに迅速な効果を発揮し、手術室や専用治療室で医師・看護師のチームにより実施されます。最も多い合併症は一過性の記憶障害で、骨折は現在ほぼ見られません。看護師は治療前後の身体的管理と、治療そのものへの誤解を解く心理的支援の両方を担う必要があります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。

解説:正解は2の『全身麻酔下で行う』です。修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy:m-ECT)は、従来の電気けいれん療法(ECT)を改良した治療法で、静脈麻酔薬による全身麻酔と筋弛緩薬を併用したうえで頭部に短時間の電気刺激を加え、脳内にのみ人工的なけいれんを誘発します。重症うつ病、自殺念慮が強いケース、薬物治療抵抗性の統合失調症、緊張型昏迷、産後精神病、高齢者のうつ病など、迅速な効果が必要な症例で有効性が高い治療です。麻酔・呼吸管理のできる手術室や専用治療室で、精神科医・麻酔科医・看護師がチームで実施します。

選択肢考察

  1. × 1.  保護室で行う。

    全身麻酔と呼吸管理が必要なため、保護室ではなく手術室や麻酔機・蘇生設備の整った専用治療室で行います。

  2. 2.  全身麻酔下で行う。

    静脈麻酔薬(プロポフォールやチオペンタールなど)と筋弛緩薬(サクシニルコリン等)を用いた全身麻酔下で実施することが『修正型』の定義そのものです。

  3. × 3.  強直間代発作が生じる。

    筋弛緩薬により骨格筋のけいれんは抑制されるため、目に見える強直間代発作は生じません。脳波上のけいれん発射は起こっていますが、身体は動きません。

  4. × 4.  発生頻度の高い合併症は骨折である。

    骨折は筋弛緩薬を用いなかった旧来のECTで問題となった合併症です。修正型では筋弛緩により骨折リスクはほぼなくなり、現在最も頻度が高い合併症は記憶障害(逆向健忘)と治療直後の頭痛・筋肉痛などです。

m-ECTの一般的なプロトコルは週2〜3回×計6〜12回。効果発現が早く(通常1〜2週間で改善)、薬物療法に比べ優れた緩解率が報告されています。合併症・副作用としては健忘(多くは一過性)、頭痛、筋肉痛、悪心、治療中の一過性の血圧上昇・徐脈または頻脈、まれに遷延性けいれん・不整脈があります。絶対禁忌はなく相対的禁忌として頭蓋内圧亢進や大動脈瘤などが挙げられます。妊娠中でも適応となる場合があります。

修正型ECTの『修正型』たる所以である全身麻酔と筋弛緩薬の使用を理解し、旧来ECTとの合併症プロファイルの違いを区別させる問題です。