DVチーム医療と心理専門職の優先度
看護師国家試験 第103回 午前 第114問 / 精神看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(35歳、女性)は、右肋骨の骨折で2日前に整形外科病棟に入院した。上半身に多数の内出血のあとがあり、受け持ち看護師がAさんに話を聞いた。Aさんは、夫は機嫌が悪いと暴力を振るい、時には投げ飛ばすこともあり、今回も夫に殴られて骨折したと話した。Aさんは、毎日面会に来る夫に非常におびえており「今話したことは夫には絶対に言わないでほしい。骨折の処置だけしてください」と言う。Aさんは専業主婦で夫と2人で暮らしており、近くに親類や知り合いはいない。 Aさんの今後の治療に向けて、病院内でチームを編成することになった。チームに組み入れる専門職で優先度が高いのはどれか。
- 1.栄養士
- 2.理学療法士
- 3.作業療法士
- 4.心理専門職
対話形式の解説
博士
学生くん、103回午前114問は引き続きDV事例で、チーム医療に組み入れる専門職を選ぶ問題じゃ。
アユム
博士、Aさんの今の状態で何を一番優先すべきですか。
博士
肋骨骨折は保存的に治るが、Aさんは強い恐怖・不眠・過覚醒で孤立しとる。最も切迫しとるのは心理的トラウマへの介入じゃよ。
アユム
では正解は。
博士
正解は4の『心理専門職』じゃ。公認心理師や臨床心理士は心理アセスメントやトラウマ焦点化療法を通じて精神的回復と意思決定支援を担うんじゃ。
アユム
1の栄養士は。
博士
食事摂取低下や栄養障害の情報がないため現時点では優先度が低い。必要があれば後から加わる職種じゃ。
アユム
2の理学療法士は。
博士
肋骨骨折は通常保存的に治癒し、特別なリハビリは不要じゃ。心理的危機の方がはるかに切迫しとる。
アユム
3の作業療法士は。
博士
作業療法士はADLや手指機能の専門家じゃが、Aさんには該当する身体機能障害の情報がなく、優先度は低いんじゃ。
アユム
心理職以外にチームに必要な職種はありますか。
博士
DV被害者支援には医療ソーシャルワーカー(MSW)も中核じゃ。シェルターや法的支援、生活再建をつなぐ役割を担うぞ。
アユム
心と社会資源の両面から支えることが大事なのですね。
博士
その通り、医療・心理・社会的支援の連携で被害者の回復と自立を支えるのじゃ。
POINT
DV被害者のチーム医療では、患者の主要なニーズに基づき職種の優先度を判断します。Aさんは身体外傷より心理的トラウマと孤立が問題であり、心理専門職を中核に据えることが最優先です。栄養・理学・作業療法は現時点では優先度が低く、必要に応じて加わる職種です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(35歳、女性)は、右肋骨の骨折で2日前に整形外科病棟に入院した。上半身に多数の内出血のあとがあり、受け持ち看護師がAさんに話を聞いた。Aさんは、夫は機嫌が悪いと暴力を振るい、時には投げ飛ばすこともあり、今回も夫に殴られて骨折したと話した。Aさんは、毎日面会に来る夫に非常におびえており「今話したことは夫には絶対に言わないでほしい。骨折の処置だけしてください」と言う。Aさんは専業主婦で夫と2人で暮らしており、近くに親類や知り合いはいない。 Aさんの今後の治療に向けて、病院内でチームを編成することになった。チームに組み入れる専門職で優先度が高いのはどれか。
解説:正解は 4 です。AさんはDVによる身体的外傷だけでなく、不眠・過覚醒・恐怖などの心理的反応が顕著で、家族や近隣の支援も乏しい孤立した状況にあります。医療チームは患者の最も切迫したニーズに対応する職種を中心に編成しますが、現時点で優先されるのは心理的トラウマへの専門的介入と精神状態の評価であり、これは公認心理師や臨床心理士などの心理専門職の役割です。心理専門職は心理アセスメント、心理面接、認知行動療法やトラウマ焦点化療法などを通じてAさんの精神的回復と意思決定の支援を行い、退院後の生活再建にも関わります。
選択肢考察
-
× 1. 栄養士
Aさんに食事摂取量低下や栄養障害を示す情報はなく、現時点で栄養士の介入を最優先する根拠はありません。必要に応じて後から加わる職種です。
-
× 2. 理学療法士
肋骨骨折は基本的に保存的に治癒し、特別な運動療法を要する状況ではありません。心理的危機の方が切迫しており、優先度は低いです。
-
× 3. 作業療法士
作業療法士は日常生活動作や手指機能の回復を支援する専門職ですが、現時点でAさんに該当する身体機能障害の情報はなく、優先度は低いと判断されます。
-
○ 4. 心理専門職
AさんはDVによる強い恐怖・過覚醒・不眠を呈し孤立しており、心理アセスメントとトラウマケアが急務です。心理専門職をチームに組み入れることが最優先となります。
DV被害者支援チームの基本構成は、医師・看護師・心理職・MSW(医療ソーシャルワーカー)が中核で、必要に応じて法律家や女性相談員が加わります。覚え方は『DVには心と社会資源、まず心理職とソーシャルワーカー』。
DV被害者の医療チーム編成において、患者の主要なニーズに基づく優先順位の判断を問う問題です。
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