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統合失調症の退院支援、まず何から?

看護師国家試験 第108回 午後 第111問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第111問

次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。 入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。 Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。

  1. 1.服薬心理教育
  2. 2.食事への援助
  3. 3.筋力トレーニングの指導
  4. 4.アサーティブトレーニングの指導

対話形式の解説

博士 博士

第108回午後230問じゃ。Aさんは入院2か月で症状が落ち着き、退院準備の段階。『病気は治ったのにずっと薬を飲まなきゃいけないのか、体がだるい、学校が心配』と話している。優先すべき支援は?

サクラ サクラ

博士、Aさんの発言は服薬アドヒアランスが下がる兆候ですね。

博士 博士

よく気づいた。統合失調症で最大の再発要因は服薬中断じゃ。1年以内の再発率は服薬中断で60〜80%、継続でも20〜30%と、薬が治療の柱であることがわかる。

サクラ サクラ

正解は何番ですか?

博士 博士

正解は1番の服薬心理教育じゃ。『治ったから薬をやめたい』というのは陽性症状の改善によく見られる認識で、再発を招く最大の落とし穴じゃ。

サクラ サクラ

服薬心理教育ではどんなことを伝えますか?

博士 博士

病気の性質、薬の作用と副作用、再発のサイン、継続の意義、困ったときの相談先。本人だけでなく家族も一緒に学ぶのが効果的じゃ。

サクラ サクラ

2番の食事への援助は?

博士 博士

食事で困っている情報はなく、退院後の生活技能訓練で扱う余地はあるが、最優先ではない。

サクラ サクラ

3番の筋力トレーニングは?

博士 博士

『体力が落ちた』という訴えに引きずられそうじゃが、その背景には抗精神病薬の鎮静作用、陰性症状、入院中の活動制限がある。服薬理解と生活リズム再構築のほうが先じゃ。

サクラ サクラ

4番のアサーティブトレーニングは?

博士 博士

自己主張が苦手な人に向けた訓練じゃ。Aさんは自分の不安や疑問をきちんと言語化できておる。必要性は低い。

サクラ サクラ

『だるい』という訴えへの対応はどうしますか?

博士 博士

副作用の可能性を医師と共有し、必要なら薬剤調整を相談する。『だるさ』を訴えやすい関係作りが服薬継続の鍵になる。副作用を我慢させては治療は続かん。

サクラ サクラ

再発予防には他にどんな支援がありますか?

博士 博士

持効性注射(LAI)、デイケア、訪問看護、就労支援、SST、家族教室、クライシスプラン作成など。地域全体で支える体制が重要じゃ。

サクラ サクラ

服薬教育を通じて『自分ごととして病気を理解する』のが退院支援の核なんですね。

博士 博士

そのとおり。自己効力感を育て、自分で病気と付き合う力を養う。これがリカバリーへの第一歩じゃ。

POINT

統合失調症の退院支援では、服薬中断が最大の再発要因となるため、服薬心理教育が最優先課題となります。『治ったから薬をやめたい』という発言は服薬アドヒアランス低下のサインで、薬の作用・副作用・再発予防の意義を本人と家族に理解してもらう必要があります。だるさの訴えは副作用の可能性を含み、医師との連携で薬剤調整も検討します。退院後はデイケア・訪問看護・就労支援などを組み合わせ、地域での生活を支える包括的な支援体制を構築することが重要です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。 入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。 Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。

解説:正解は 1 です。Aさんは症状消失を理由に服薬の必要性を疑問視しています。統合失調症は再発率が高く、服薬中断は最大の再発要因となるため、服薬継続の意義と副作用への対処を本人と家族に理解してもらう服薬心理教育が退院支援の最優先課題です。

選択肢考察

  1. 1.  服薬心理教育

    『症状が良くなったから薬をやめたい』という発言は服薬中断のリスクサインです。統合失調症の再発率は服薬中断で1年以内に60〜80%に達するとされ、服薬継続の必要性、副作用への対処、自己管理方法を学ぶ心理教育が最優先となります。

  2. × 2.  食事への援助

    食事面で困っている情報はなく、現時点で食事援助の緊急性・優先度は低いです。退院後の生活技能訓練の一環で扱う余地はありますが、最優先ではありません。

  3. × 3.  筋力トレーニングの指導

    『体力が落ちた』との訴えはあるものの、背景に抗精神病薬による鎮静や陰性症状、入院中の活動制限の影響があります。服薬の理解や生活リズムの再構築が先で、筋トレは優先度が低いです。

  4. × 4.  アサーティブトレーニングの指導

    アサーティブトレーニングは自己主張が苦手な人に対する自己表現訓練です。Aさんは自分の不安や疑問を言語化できており、現時点での必要性は低いです。

統合失調症の服薬心理教育は本人・家族を対象に、病気の理解、薬の作用・副作用、再発サインの自覚、服薬継続の意義、困ったときの相談先などを段階的に学びます。薬の飲み忘れ対策には1日1回製剤、持効性注射(LAI)、ピルケース活用、家族の協力などがあります。退院支援では服薬心理教育に加え、デイケア、就労支援、訪問看護、SSTを組み合わせ、地域での生活を支えるクライシスプランの作成も重要です。

統合失調症退院支援における服薬アドヒアランス向上の重要性を問う問題です。