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ピアサポートってなに?当事者同士が支え合う力

看護師国家試験 第106回 午後 第86問 / 精神看護学 / 精神看護の対象理解と支援

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第86問

精神医療におけるピアサポーターの活動について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.訪問活動は禁止されている。
  2. 2.活動には専門家の同行が条件となる。
  3. 3.ピアサポーター自身の回復が促進される。
  4. 4.精神保健医療福祉サービスの利用を終了していることが条件となる。
  5. 5.自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は精神医療におけるピアサポートについて学ぶぞ。

アユム アユム

ピアサポートって聞いたことはあるけど、よくわかりません。

博士 博士

「ピア(peer)」は英語で「仲間・対等な者」という意味じゃ。ピアサポートとは、同じ病気や障害を経験した当事者同士が支え合う活動のことじゃな。

アユム アユム

なるほど、当事者が他の当事者を支援するんですね。

博士 博士

そうじゃ。精神疾患から回復しつつある人が、今も悩んでいる人の相談に乗ったり、通院や買い物に同行したり、生活のコツを伝えたりする。

アユム アユム

専門家が支援するのとは違うんですか?

博士 博士

大きく違うぞ。専門職は医学的・専門的知識で支援するが、ピアサポーターは「自分も経験した」という共感と経験知で支援する。この当事者性こそがピアサポートの核心じゃ。

アユム アユム

専門家の同行は必要ですか?

博士 博士

必須ではない。むしろ専門職主導にしないことがピアサポートの特徴じゃ。対等な関係性が本質なんじゃよ。

アユム アユム

じゃあ訪問活動もできるんですね。

博士 博士

もちろん。自宅訪問、通院同行、買い物同行などは代表的な活動じゃ。禁止されておらん。

アユム アユム

ピアサポーターになる条件はあるんですか?サービスの利用を終了している必要があるとか?

博士 博士

それは誤解じゃ。サービス利用を終了している必要はない。現在も服薬や通院をしながらピアサポーターとして活動する人は多くおる。

アユム アユム

そうなんですね。ところで、ピアサポートには支援される側だけでなく、する側にもメリットがあると聞いたことがあります。

博士 博士

鋭いところに気づいたの!「ヘルパーセラピー原理」というんじゃ。他者を支援することで自己効力感や社会的役割感が高まり、支援する側自身の回復が促進される現象じゃ。

アユム アユム

支える側も元気になっていくんですね。

博士 博士

うむ、まさに双方向の回復じゃ。これがピアサポートの大きな意義の一つじゃよ。

アユム アユム

制度的にはどうなっているんですか?

博士 博士

日本では2000年代以降、障害者自立支援法・障害者総合支援法の流れで制度化が進み、現在は「ピアサポーター養成研修」や「ピアサポート体制加算」もある。国際的にはリカバリーモデルの中核要素として位置づけられておる。

アユム アユム

リカバリーって、症状がなくなることですか?

博士 博士

いや、症状寛解だけでなく、社会参加や自己実現を含めた広い意味での回復を指すのが「リカバリー」じゃ。ピアサポートはその考え方と相性が良いんじゃ。

アユム アユム

単なる病気の治療を超えた、生き方を支える支援なんですね。

POINT

ピアサポートは同じ病気や障害を経験した当事者同士が対等に支え合う活動で、精神医療におけるリカバリーモデルの中核的要素として位置づけられています。専門職の同行は必須ではなく、サービス利用終了も条件ではありません。訪問活動や通院同行なども行われ、当事者ならではの共感と経験知による支援が特徴です。支援する側も自己効力感や社会的役割感が高まるヘルパーセラピー原理により回復が促進される双方向性があります。看護師はピアサポーターと協働し、専門的支援と当事者支援が両輪として機能する地域精神医療を構築する役割を担います。

解答・解説

正解は 3 5 です

問題文:精神医療におけるピアサポーターの活動について正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 3(ピアサポーター自身の回復が促進される)と 5(自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する)です。ピア(peer)とは「仲間」の意味で、精神疾患の経験者自身がその体験を活かして他の当事者を支える活動をピアサポートと呼びます。支援する側もエンパワメントされ、自己効力感や回復感が高まる「ヘルパーセラピー原理」が働くため、サポーター自身のリカバリーにも寄与します。

選択肢考察

  1. × 1.  訪問活動は禁止されている。

    訪問活動(自宅訪問、通院同行、買い物同行など)はピアサポートの重要な活動形態の一つ。禁止されていない。

  2. × 2.  活動には専門家の同行が条件となる。

    専門家の同行は必須条件ではない。ピア同士の対等な関係性が本質であり、専門職主導にしないこと自体がピアサポートの特徴。

  3. 3.  ピアサポーター自身の回復が促進される。

    他者を支援することで自己効力感や社会的役割感が高まり、支援する側自身の回復が促進される「ヘルパーセラピー原理」が知られている。

  4. × 4.  精神保健医療福祉サービスの利用を終了していることが条件となる。

    サービス利用を終了していることは条件ではない。現在も服薬や通院をしながら活動するピアサポーターも多く、リカバリー過程の中で活動できる。

  5. 5.  自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する。

    ピアサポートの定義そのもの。当事者ならではの共感と経験知を活かした支援で、専門職にはできない役割を担う。

ピアサポートは1970年代のアメリカで広がり、日本でも2000年代以降、障害者自立支援法や障害者総合支援法の中で制度化が進んだ。現在では「ピアサポーター養成研修」や「ピアサポート体制加算」など制度的支援も整備されている。ピアサポートの効果には(1)当事者の孤立感軽減、(2)ロールモデルの提示、(3)回復への希望付与、(4)サポーター自身のリカバリー促進などがある。リカバリーモデル(単なる症状寛解ではなく、社会参加や自己実現を含む回復概念)の中核的要素として国際的にも位置づけられている。

ピアサポートの概念と意義を問う問題。当事者の経験を活かす双方向性と、支援者側の回復促進効果がキーワード。