StudyNurse

自殺念慮、最も切迫しているのはどの状態?

看護師国家試験 第107回 午前 第59問 / 精神看護学 / 精神看護の対象理解と支援

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第59問

自殺念慮を訴える患者で、自殺が最も切迫している状態はどれか。

  1. 1.自殺の手段が未定である。
  2. 2.自殺する日を決めている。
  3. 3.将来の希望について時々話す。
  4. 4.普段と変わらない様子で生活している。

対話形式の解説

博士 博士

自殺念慮の切迫度を評価する問題じゃ。自殺はどの段階で最もリスクが高くなるか、わかるかの?

サクラ サクラ

念慮と計画、どちらが切迫しているかですよね…

博士 博士

そう、リスクには段階がある。『念慮→計画→意図→手段準備→実行』の順で、後ろに行くほど切迫じゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の『自殺する日を決めている』は『計画』の段階ですね。

博士 博士

そうじゃ。日時まで決まっているのは計画と意図が完成しかけており、実行に最も近い状態。これが正解じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の『手段が未定』はまだ計画が不完全ということですね。

博士 博士

そうじゃ。計画が具体的になるほど切迫度は上がる。逆に手段が漠然としている段階はまだ介入の余地が大きい。

サクラ サクラ

選択肢3の『将来の希望を話す』は?

博士 博士

生への志向がまだ保たれているサイン。切迫度は相対的に低い。ただし気分は波があるから継続観察は必要じゃ。

サクラ サクラ

選択肢4の『普段と変わらない様子』は少し引っかかるんですが…

博士 博士

鋭い感覚じゃ。実は決心がついて穏やかになる場合もあり、急な落ち着きや身辺整理を伴うときは警戒が必要じゃ。ただし本問の中で『最も切迫している』と断定できるのは、やはり日時まで決まっている選択肢2じゃ。

サクラ サクラ

うつ病では回復期に自殺が多いとも聞きますが…

博士 博士

そのとおりじゃ。最悪期は実行する気力すらないが、治療で少し回復すると行動力が戻る一方で気分は依然暗いため、実行に至りやすい。気分が上向いたと見えても安心できないんじゃ。

サクラ サクラ

看護師として、どう評価していけばいいですか?

博士 博士

TALKの原則を覚えておくんじゃ。Tell(心配していると伝える)、Ask(直接『死にたい気持ちはありますか』と尋ねる)、Listen(傾聴する)、Keep safe(安全を確保する)じゃ。

サクラ サクラ

直接聞いてもいいんですか?聞いたら煽っちゃう気がして…

博士 博士

よくある誤解じゃ。直接尋ねても自殺を誘発しないことはエビデンスで示されておる。むしろ聞かれて安心する患者さんが多いんじゃ。

サクラ サクラ

評価ツールはありますか?

博士 博士

SAD PERSONSスケールやC-SSRS(コロンビア自殺重症度評価尺度)が有名じゃ。計画性、過去企図歴、支援の有無などを構造的に評価する。

サクラ サクラ

切迫性が高いと判断したら、どう動きますか?

博士 博士

一人にせず、手段へのアクセス制限(薬・刃物・紐)、家族への情報共有、精神科医への連絡、必要なら医療保護入院も検討する。いわゆる『no-suicide契約』に頼りすぎるのは危険とされておる。

サクラ サクラ

他にも警告サインがあったら教えてください。

博士 博士

『大切なものを譲る』『別れを告げるような電話』『急に穏やかになる』『身辺整理』『過去の自殺企図歴』、これらは強い警告サインじゃ。

サクラ サクラ

患者さんのちょっとした変化を見逃さないようにしなければいけませんね。

POINT

自殺念慮の切迫度は『念慮→計画→意図→手段準備→実行』の段階論で評価され、計画の具体性が高まるほど切迫度が増します。日時まで決まっている状態は最も切迫したサインで、即時の安全確保と精神科介入が必要です。TALKの原則に沿って直接『死にたい気持ち』について尋ねることは誘発にならず、むしろ救いになります。うつ病の回復期や急激な穏やかさ・身辺整理も警告サインで、看護師は構造的評価ツールを用いながら、一人にしない・手段を遠ざける・チームで情報共有するという基本を徹底する必要があります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:自殺念慮を訴える患者で、自殺が最も切迫している状態はどれか。

解説:正解は2の『自殺する日を決めている』です。自殺リスクの評価では『念慮(idea)→計画(plan)→意図(intent)→手段準備(means)→実行』という段階を経て切迫度が高まります。『日時・場所・手段・遺書の準備』など計画が具体化しているほど切迫性が高く、特に『いつ死ぬか』が決まっているのは意図と計画が完成しかけている状態で、最も緊急度が高いサインです。このような患者には『no-suicide contract』に頼りすぎず、家族への情報共有、手段へのアクセス制限(medical means restriction)、精神科受診・入院、場合によっては医療保護入院も検討する必要があります。

選択肢考察

  1. × 1.  自殺の手段が未定である。

    手段が決まっていない段階はまだ計画が未完成で、リスクはあっても最も切迫しているとは言えません。手段が具体化していくほど切迫度は上がります。

  2. 2.  自殺する日を決めている。

    日時まで決まっているのは計画と意図が明確で、実行に近い最も切迫した状態です。直ちに安全確保と精神科介入が必要です。

  3. × 3.  将来の希望について時々話す。

    将来の話ができるのは生への志向がまだ保たれているサインで、切迫性は相対的に低い状態です。ただし揺らぎがあるため継続的な観察は必要です。

  4. × 4.  普段と変わらない様子で生活している。

    表面上の落ち着きは注意信号となる場合もありますが(決心がついて穏やかに見えることがある)、これだけで『最も切迫している』と断定はできません。急激な穏やかさや身辺整理などを伴えば要注意です。

自殺リスクの臨床評価ツールとしてSAD PERSONSスケール(性別・年齢・うつ病・過去の自殺企図・アルコール・理性的思考喪失・独身/離別・自殺計画の有無・支援欠如・病気)や、C-SSRS(コロンビア自殺重症度評価尺度)などがあります。うつ病では最悪期よりも回復期初期で自殺既遂が増える傾向があり、気分が上向きに見えても警戒が必要です。『身辺整理』『大切なものを譲る』『急に穏やかになる』『別れを告げるような言動』も警告サインです。TALKの原則(Tell:心配を伝える、Ask:直接尋ねる、Listen:傾聴する、Keep safe:安全を確保する)を覚えておきましょう。

自殺念慮から実行までの段階論を理解し、計画の具体性が切迫度の指標になることを識別する問題です。