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危機を乗り越える3つの鍵!アギュララの危機モデル

看護師国家試験 第109回 午後 第66問 / 精神看護学 / 精神看護の対象理解と支援

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第66問

アギュララ,D.C.( Aguilera,D.C. )が提唱した危機〈クライシス〉を回避する要因で正しいのはどれか。

  1. 1.情緒的サポート
  2. 2.適切な対処機制
  3. 3.問題志向のコーピング
  4. 4.ソーシャルインクルージョン

対話形式の解説

博士 博士

今回は危機理論、特にアギュララとメズイックのモデルを学ぶぞ。精神看護や災害看護で必須の理論じゃ。

アユム アユム

危機って、具体的にはどんな状態を指すんですか?

博士 博士

人が普段の対処法では乗り越えられない出来事に直面し、心理的な均衡が崩れた状態じゃ。家族の死、重大な診断告知、災害などがきっかけになることが多いぞ。

アユム アユム

アギュララは、どうやって危機を防げると考えたんですか?

博士 博士

彼女は「問題解決型危機モデル」を提唱した。ストレスフルな出来事が起こったとき、均衡を回復するための3つのバランス保持要因があるとしたのじゃ。

アユム アユム

3つですか?覚えやすそうです。

博士 博士

①出来事に対する現実的な知覚、②適切な社会的支持、③適切な対処機制の3つじゃ。このどれか一つでも欠けると危機に陥る。

アユム アユム

①の現実的な知覚って、どういう意味ですか?

博士 博士

たとえば重大な病気と告知されたとき、現実を過大評価も過小評価もせず「ちゃんとした理解」で受け止められることじゃ。否認して現実を歪めると、対処行動も取れなくなる。

アユム アユム

②の社会的支持は、周囲の支えですね。

博士 博士

そう。家族・友人・医療者・地域など、困ったときに頼れる人や資源があることじゃな。孤立していると危機に陥りやすい。

アユム アユム

③の対処機制は、ストレスに対する自分の対処パターンですか?

博士 博士

その通り。コーピングと訳されることが多い。過去にストレスを乗り越えた経験や、自分なりの対処法を持っていることが危機回避につながるのじゃ。

アユム アユム

ラザルスのコーピング理論とは別物ですか?

博士 博士

良い質問じゃ。ラザルスの問題志向型・情動志向型コーピングはより細かい「ストレス対処の分類」で、アギュララのモデルとは別系統じゃ。選択肢3の「問題志向のコーピング」はラザルスの用語で、出典が違うから×になる。

アユム アユム

ソーシャルインクルージョンも違うんですね。

博士 博士

そう、あれは社会福祉の概念じゃ。弱い立場の人を排除せず社会の一員として包み支える理念で、アギュララとは関係ない。

アユム アユム

他の危機理論もあるんですよね?

博士 博士

うむ。フィンクのモデルは衝撃→防衛的退行→承認→適応の4段階、キャプランは緊張の上昇段階で危機を捉える。脊髄損傷などの障害受容ではフィンクがよく用いられるぞ。

アユム アユム

看護ではどう使うんですか?

博士 博士

患者がどのバランス保持要因を欠いているかをアセスメントし、そこを補う援助をする。情報提供で知覚を整える、社会資源につなぐ、対処スキルを一緒に考える、といった具合じゃな。

POINT

アギュララとメズイックの問題解決型危機モデルは、危機介入の基本理論の一つで、ストレスフルな出来事に対して均衡を回復させるための3つのバランス保持要因を提示しました。それは①出来事に対する現実的な知覚、②適切な社会的支持、③適切な対処機制で、いずれかが欠けると危機状態に陥るとされます。選択肢2の「適切な対処機制」はこの3要因の一つで正解、選択肢3の問題志向コーピングはラザルスの用語、ソーシャルインクルージョンは社会福祉の概念で、出典の違いに注意が必要です。看護ではこのモデルを用いて、患者がどの要因を欠いているかをアセスメントし、情報提供・社会資源の紹介・対処スキルの獲得支援という形で介入します。フィンクやキャプランなど他の危機理論とあわせて、場面に応じた使い分けができることが精神看護・成人看護の重要スキルです。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:アギュララ,D.C.( Aguilera,D.C. )が提唱した危機〈クライシス〉を回避する要因で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。アギュララとメズイックの問題解決型危機モデルでは、人がストレスの多い出来事に直面したとき、均衡を回復させる3つのバランス保持要因として①出来事に対する現実的な知覚、②適切な社会的支持、③適切な対処機制(coping mechanism)を挙げている。これら3要因のいずれかが欠如すると危機状態に陥り、すべてが機能すれば危機は回避される。選択肢2の「適切な対処機制」はこの3要因の一つに該当する。

選択肢考察

  1. × 1.  情緒的サポート

    ソーシャルサポート理論における4分類(情緒的・道具的・情報的・評価的)の一つ。アギュララのバランス保持要因では「社会的支持」と包括的に表現されており、情緒的サポートのみを指すわけではない。

  2. 2.  適切な対処機制

    アギュララのバランス保持要因の一つ。ストレスに対する適切なコーピング行動のことで、これが機能すれば危機を回避できるとされる。

  3. × 3.  問題志向のコーピング

    ラザルスのストレスコーピング理論の用語。ストレッサーそのものに働きかけて解決する対処法で、アギュララの用語ではない。

  4. × 4.  ソーシャルインクルージョン

    社会的に弱い立場の人を排除せず社会の構成員として包摂する理念。社会福祉の概念であり、アギュララの危機理論の用語ではない。

アギュララとメズイック(Aguilera & Messick)の問題解決型危機モデルは、危機介入の代表的理論の一つで、次のように考える。ストレスフルな出来事→均衡状態が崩れる→均衡回復へのニードが生じる→3つのバランス保持要因が機能→危機回避、機能不全→危機状態。3要因とは①出来事の現実的な知覚、②適切な社会的支持、③適切な対処機制。看護介入はこの欠けている要因を補う方向で行う。他の危機理論には、フィンクの危機モデル(衝撃→防衛的退行→承認→適応)、キャプランの危機モデル(緊張の上昇→対処行動→危機状態)、ションツの危機モデル(喪失体験後の段階的反応)などがある。危機理論は災害看護、救急看護、ターミナルケアなど様々な場面で応用される。

アギュララの問題解決型危機モデルで示された3つのバランス保持要因を問う。用語の出典(誰が提唱したか)も重要な判別ポイント。