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猛暑下の便秘と尿量減少への対応

看護師国家試験 第104午後116(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

104午後116

状況設定

Aさん(35歳、男性、建設業)は、両親と3人で暮らしている。3年前の仕事中に屋根から転落して、第12胸髄を損傷した。1か月前から車で作業所に通い、作業中はほとんど車椅子に座っている。週1回の訪問看護を利用している。

Aさんは自宅のトイレを利用している。緩下薬を内服し、2日に1回浣腸を行っている。猛暑が続く8月の訪問時にAさんは最近便秘がちで尿量も少ないと訪問看護師に繰り返し訴えた。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.水分の摂取を促す。
  2. 2.浣腸の回数を増やす。
  3. 3.ポータブルトイレの利用を勧める。
  4. 4.医師に別の緩下薬の処方を依頼する。

対話形式の解説

博士博士
Aさんが8月の訪問時に便秘と尿量減少を訴えたのじゃ。何が起きておると考える?
サクラサクラ
緩下薬と浣腸を続けているのに便秘ということは、薬が効いていないのですか?
博士博士
早とちりするでない。猛暑、便秘、尿量減少…この三つで思い当たることは?
サクラサクラ
あ、脱水ですね。水分不足で便が硬くなり、尿量も減ったのではないですか?
博士博士
その通りじゃ。夏は不感蒸泄が増えて、知らぬ間に水分が失われるのじゃ。
サクラサクラ
脊髄損傷者は発汗調節も障害されることがあるのですよね。
博士博士
鋭いのう。体温調節も難しい上に活動性も影響する。
サクラサクラ
ではまず水分摂取を促すのですね。
博士博士
それが第一じゃ。浣腸を増やしたらどうなる?
サクラサクラ
さらに水分が失われて脱水が進みますね。直腸反射も低下します。
博士博士
緩下薬の変更は?
サクラサクラ
原因が薬の効果不足ではないので、まず水分補給を試して改善しなければ検討、の順序ですね。
博士博士
ポータブルトイレは?
サクラサクラ
Aさんは自宅トイレで排泄できているので、必要ありません。
博士博士
脱水が進めば熱中症、尿路結石、血栓症のリスクも上がる。早めの対応が肝心じゃ。

POINT

猛暑下で便秘と尿量減少が同時に出現した脊髄損傷者のアセスメントと、根本原因への対応を問う問題です。

解答・解説

正解は1です

問題文:Aさんは自宅のトイレを利用している。緩下薬を内服し、2日に1回浣腸を行っている。猛暑が続く8月の訪問時にAさんは最近便秘がちで尿量も少ないと訪問看護師に繰り返し訴えた。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 1 の水分摂取の促進です。猛暑の8月、便秘と尿量減少が同時に起きている状況は脱水傾向を強く示唆します。体内の水分量が不足すれば便は硬くなり腸管通過が遅延し、尿量も減少します。緩下薬や浣腸の調整より前に、根本原因である水分不足を補うことが最優先となります。

選択肢考察

  1. 1.  水分の摂取を促す。

    猛暑による不感蒸泄の増加と水分摂取不足が便秘と尿量減少を同時に引き起こしている可能性が高く、まず水分摂取量を増やすことが根本対策となります。脱水進行による熱中症や腎機能障害の予防にもなります。

  2. ×2.  浣腸の回数を増やす。

    浣腸の頻回使用は腸管粘膜への負担と直腸反射の低下を招き、さらに脱水を悪化させる懸念があります。また脊髄損傷者では自律神経過反射のリスクもあり、安易な増量は不適切です。

  3. ×3.  ポータブルトイレの利用を勧める。

    Aさんは自宅トイレで排泄が自立できており、ポータブルトイレへの変更は便秘や尿量減少の改善には寄与しません。排泄動作の問題ではなく水分代謝の問題が主訴です。

  4. ×4.  医師に別の緩下薬の処方を依頼する。

    現状は薬剤の効果不足ではなく水分不足が原因と考えられます。水分摂取を促し、腹部マッサージや活動量の確保を試みた上で改善しない場合に薬剤調整を検討する順序が適切です。

脊髄損傷者は腸管蠕動低下や腹圧低下により慢性便秘になりやすく、緩下薬と浣腸を併用する排便コントロールが行われます。夏季は不感蒸泄が著明に増加するため水分摂取を意識的に増やし、1日尿量と便性状を観察することが重要です。脱水は熱中症、尿路結石、深部静脈血栓症のリスクを高めるため、訪問看護師は水分出納の評価を行います。

猛暑下で便秘と尿量減少が同時に出現した脊髄損傷者のアセスメントと、根本原因への対応を問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。