胃切除後の誤嚥性肺炎を考えよう
看護師国家試験 第105回 午後 第85問
国試問題にチャレンジ
Aさん(63歳、男性)は、胃癌(gastric cancer)にて胃亜全摘出術後3か月目に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で緊急入院した。食物の通過や排便は問題なかったが、食事摂取量が少なく、術前より体重が10kg減少した。総義歯が外れやすく歯科を受診予定であった。 Aさんの肺炎(pneumonia)の原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
- 1.消化管内容物の逆流
- 2.義歯の不適合
- 3.消化吸収障害
- 4.吻合部狭窄
- 5.腸閉塞
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
胃切除後患者の誤嚥性肺炎の病態を、術後合併症と口腔・嚥下機能低下の両面から考える臨床統合力を問う設問です。
解答・解説
正解は1です
問題文:Aさん(63歳、男性)は、胃癌(gastric cancer)にて胃亜全摘出術後3か月目に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で緊急入院した。食物の通過や排便は問題なかったが、食事摂取量が少なく、術前より体重が10kg減少した。総義歯が外れやすく歯科を受診予定であった。 Aさんの肺炎(pneumonia)の原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 2 です。誤嚥性肺炎は嚥下機能の低下や胃食道逆流により口腔内細菌や胃内容物が気道に侵入し発症します。胃亜全摘術後は胃の貯留能が低下し、噴門部を温存した術式でも逆流防止機構が変化するため胃食道逆流が起こりやすくなります。また著明な体重減少(10kg減)により義歯床の適合性が悪化すると咀嚼が不十分となり、嚥下の協調運動も障害されます。本症例では食物通過や排便に問題がないため、消化管通過障害より上部消化管の逆流と口腔・嚥下機能低下が主因と考えます。
選択肢考察
- ○1. 消化管内容物の逆流
胃亜全摘後は残胃容量の減少と術後の解剖学的変化で胃食道逆流が起こりやすく、特に臥位・食後で逆流した胃内容物を誤嚥することで肺炎を発症します。
- ○2. 義歯の不適合
10kgの体重減少により口腔内軟組織や歯槽堤が痩せ、総義歯が外れやすくなっています。咀嚼不良は食塊形成を妨げ、嚥下反射との協調を乱して誤嚥リスクを高めます。
- ×3. 消化吸収障害
胃切除後にはダンピング症候群や鉄・ビタミンB12吸収障害などが起こりえますが、これらは貧血や低栄養の原因にはなっても直接的に誤嚥性肺炎を起こす機序ではありません。
- ×4. 吻合部狭窄
吻合部狭窄があれば食物通過障害、嘔気・嘔吐、つかえ感が出現しますが、本症例では食物の通過は問題ないと記載されており否定できます。
- ×5. 腸閉塞
術後癒着性イレウスなどは排便停止、腹部膨満、嘔吐が主症状です。排便に問題がないとの情報から腸閉塞は考えにくいです。
胃切除後の誤嚥性肺炎予防には、少量頻回食、食後30分以上の座位保持、就寝前の食事回避、ベッドヘッドアップ15から30度、口腔ケアの徹底が有効です。また義歯不適合は咀嚼嚥下機能を大きく損なうため、体重変動のある患者では早期に歯科受診を勧めます。高齢者の誤嚥性肺炎は不顕性誤嚥で発症することも多く、発熱や食欲低下、意識レベル変化など非典型症状の観察も重要です。
胃切除後患者の誤嚥性肺炎の病態を、術後合併症と口腔・嚥下機能低下の両面から考える臨床統合力を問う設問です。
「消化器系」の関連問題
右季肋部に注目!胆嚢炎の痛みはなぜそこに出るのか
腹部の部位と臓器の解剖学的対応関係を問う基本問題。胆嚢が右季肋部に位置することを押さえ、図中で右上腹部にあたる①を選べるかがポイント。
115回
ストーマ造設後の高齢者が外出するための目標設定
本問は、在宅療養者の目標設定が「本人が望む生活行動(外出して孫に会う)を実現するために、その場面で最も必要な力は何か」という視点で行われることを問うています。長期的な知識習得よりも、当日のトラブル対応力という具体的・実用的な目標が優先されます。
115回
痔瘻のキホンを押さえよう!原因・合併症・治療方針を整理
肛門腺感染を原因とする後天性疾患である痔瘻について、その本態(瘻管形成)、長期放置で痔瘻癌が発生しうること、根治には手術が原則であることを問う基本問題です。痔核との病態の違いを明確に区別できるかが鍵となります。
115回
便潜血陽性のあとはどうする?大腸内視鏡が選ばれる理由
健診で便潜血陽性となった55歳男性に対し、確定診断につなげる精密検査として何を選ぶかを問う問題。大腸粘膜を直接観察し生検可能な大腸内視鏡検査が第一選択であることを理解しているかが鍵となる。
115回(状況設定)
ヘビースモーカーの食道癌術後 なぜ無気肺が一番のリスクなのか
食道癌の開胸開腹術後で最も多い合併症は呼吸器系(無気肺・肺炎)であることを、長期喫煙歴と呼吸機能検査値(%VC低下・FEV1%低下)から読み解く問題。検査データを総合してリスクの高い臓器系を特定する力が問われている。
115回(状況設定)
