ストーマ造設後の高齢者が外出するための目標設定
看護師国家試験 第115回 午前 第45問
国試問題にチャレンジ
Aさん(80歳、男性)は人工肛門造設術を受けて自宅に退院した。ストーマ管理のため、訪問看護を週に1回利用している。Aさんは電車で隣県に住んでいる孫に会いに行きたいと希望している。Aさんの外出に向けた目標で最も適切なのはどれか。
- 1.食物繊維を避けた食事が摂れる。
- 2.装具が剝がれた場合に対処できる。
- 3.起こりやすい皮膚障害が理解できる。
- 4.装具交換に必要な物品の購入先がわかる。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
本問は、在宅療養者の目標設定が「本人が望む生活行動(外出して孫に会う)を実現するために、その場面で最も必要な力は何か」という視点で行われることを問うています。長期的な知識習得よりも、当日のトラブル対応力という具体的・実用的な目標が優先されます。
解答・解説
正解は2です
問題文:Aさん(80歳、男性)は人工肛門造設術を受けて自宅に退院した。ストーマ管理のため、訪問看護を週に1回利用している。Aさんは電車で隣県に住んでいる孫に会いに行きたいと希望している。Aさんの外出に向けた目標で最も適切なのはどれか。
解説:正解は 2 の「装具が剝がれた場合に対処できる」です。人工肛門(ストーマ)造設後の在宅療養者にとって、外出時に最も起こりやすく、かつその場で本人が対応せざるを得ないトラブルが、ストーマ装具の浮き・剝がれや便漏れです。特に80歳のAさんが電車に乗って隣県へ移動するという比較的長時間・長距離の外出を希望している状況では、移動中の振動、衣服による擦れ、発汗、便の性状変化などにより装具が剝がれる可能性が現実的に存在します。装具が剝がれた際に予備の装具やパウチ、皮膚保護剤、ウェットティッシュ、廃棄用のビニール袋などを携行しておき、トイレで自分で交換・補修ができるという到達目標は、安心して外出するための最も具体的かつ直接的な準備行動です。在宅支援においては、本人が望む生活行動(孫に会いに行く)を実現するために、その行動を妨げる最大のリスクに対応できる力を身につけることが、目標設定の中心となります。
選択肢考察
- ×1. 食物繊維を避けた食事が摂れる。
人工肛門造設後の食事指導では、回腸ストーマでは脱水やフードブロッケージ(食物による閉塞)予防の観点から繊維の多い食品をよく噛む、結腸ストーマではガスや臭いの強い食品を控えるなどの工夫はありますが、食物繊維を一律に避ける必要はなく、むしろバランスのよい食事が基本です。また、食事内容の調整は日常的な自己管理であり、外出当日のトラブル回避に直結する目標としては優先度が下がります。
- ○2. 装具が剝がれた場合に対処できる。
電車での長距離移動中に最も起こりやすい緊急事態が、装具の浮きや剝離による便漏れです。予備の装具一式を持参し、外出先のトイレで自分で交換・補修できる技術と判断力があれば、トラブルが起きてもパニックにならずに行動を継続できます。Aさんが孫に会うという目的を安心して達成するために、最も直接的かつ実用的な目標であり、外出に向けた準備としての優先度が最も高い項目です。
- ×3. 起こりやすい皮膚障害が理解できる。
ストーマ周囲皮膚障害(びらん、発赤、接触皮膚炎など)の理解は、長期的なストーマ管理においては確かに重要な学習項目です。しかしこれは日々のスキンケアや装具選択に関わる慢性的な課題であり、当日のトラブル対応力とは性質が異なります。外出という具体的な目的達成に向けた即時的な目標としては、選択肢2の対処能力獲得のほうが優先されます。
- ×4. 装具交換に必要な物品の購入先がわかる。
装具や付属品の入手経路(販売店、通信販売、医療機関の売店、日常生活用具給付制度の利用など)を知っておくことは、退院後の生活を継続するうえで必要な知識です。しかしこれは在宅生活全般を支える背景的な情報であり、孫に会いに行くという具体的な外出を安全に実現するための直接的な準備としては優先度が低いといえます。
ストーマ保有者が外出する際の「ストーマ携行セット」には、予備装具一式、皮膚保護剤、はさみ、ウェットティッシュ、おしりふき、ビニール袋(消臭袋)、鏡、着替えの下着などが含まれます。多目的トイレやオストメイト対応トイレ(温水シャワー付き)は駅や公共施設に設置が進んでおり、事前にルート上の設置場所を確認しておくと安心です。また、身体障害者手帳(ぼうこう・直腸機能障害)の取得により、日常生活用具給付制度で装具の購入費補助が受けられます。高齢者では視力低下や指先の巧緻性低下から装具交換に時間がかかることがあるため、繰り返し練習しておくことが大切です。
本問は、在宅療養者の目標設定が「本人が望む生活行動(外出して孫に会う)を実現するために、その場面で最も必要な力は何か」という視点で行われることを問うています。長期的な知識習得よりも、当日のトラブル対応力という具体的・実用的な目標が優先されます。
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