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先天性心疾患術後Aちゃんのキャッチアップ現象

看護師国家試験 第105午前52

国試問題にチャレンジ

105午前52

Aちゃん(生後10か月、男児)は、先天性心疾患(congenital heart disease)のため手術を受けた。Aちゃんの体重の変化を図に示す。 手術後から現在までの体重の変化に対する評価で適切なのはどれか。

問題画像
  1. 1.体重増加の不良
  2. 2.過度な体重増加
  3. 3.標準的な体重増加
  4. 4.キャッチアップ現象

対話形式の解説

博士博士
生後10か月のAちゃんは先天性心疾患で手術を受けた男児じゃ。術前は体重増加が乏しかったが、術後にぐんぐん標準値に追いついておる。この体重変化をどう評価するかという問題じゃ。
サクラサクラ
先天性心疾患だと、どうして体重が増えにくいんですか?
博士博士
良い質問じゃ。先天性心疾患では肺うっ血や体循環不全が起こり、酸素化が悪く代謝需要が増える。さらに哺乳時に疲れやすく十分な量を飲めないため、哺乳量不足と代謝亢進が重なって体重が増えにくくなるのじゃ。
サクラサクラ
なるほど、手術で心機能が改善すると栄養状態も改善するんですね。正解は何番ですか?
博士博士
正解は選択肢4「キャッチアップ現象」じゃ。疾患で一時的に成長が抑えられた子が、原因が取り除かれると通常以上の速度で成長して標準曲線に追いつく現象のことじゃよ。
サクラサクラ
選択肢1の「体重増加の不良」はどうして誤りですか?
博士博士
体重増加不良なら成長曲線から下方にどんどん離れていくはずじゃ。Aちゃんは術後に標準曲線に向かって上昇しておるから、不良とは言えんのう。
サクラサクラ
選択肢2の「過度な体重増加」は?
博士博士
過度な増加とは成長曲線から上方に逸脱する状態を指すのじゃ。Aちゃんは「追いついた」だけで上方に飛び出してはおらんから、これも違う。
サクラサクラ
選択肢3の「標準的な体重増加」はなぜダメなんですか?
博士博士
標準的な増加は成長曲線と平行にカーブを描く状態を言うんじゃ。Aちゃんは術前に曲線から下方にずれていて、術後に急速に追いついた経過じゃから、通常の標準パターンとは異なるのじゃよ。
サクラサクラ
キャッチアップ現象は心疾患以外でも見られるんですか?
博士博士
栄養改善後や成長ホルモン補充後にもみられるぞ。成長曲線は母子健康手帳にも載っていて、3〜97パーセンタイルの範囲を正常範囲とみなす。下方逸脱が続く場合は疾患やネグレクトも疑う必要があるのじゃ。
サクラサクラ
成長曲線を継続的に見ることで、治療効果や養育環境まで評価できるんですね。
博士博士
その通り。単発の値より「軌跡」を見ることが小児看護では重要なんじゃよ。

POINT

先天性心疾患術後の体重変化パターンから、小児の成長評価における「キャッチアップ現象」を識別できるかを問う問題です。

解答・解説

正解は4です

問題文:Aちゃん(生後10か月、男児)は、先天性心疾患(congenital heart disease)のため手術を受けた。Aちゃんの体重の変化を図に示す。 手術後から現在までの体重の変化に対する評価で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。キャッチアップ現象とは、疾患や栄養障害などで一時的に成長が抑制されていた小児が、原因が改善すると通常以上の速度で成長し、標準的な成長曲線(パーセンタイル値)に追いつく現象をいいます。先天性心疾患では肺うっ血や体循環不全、哺乳時の易疲労性により乳児期に体重増加不良をきたしますが、手術により心血行動態が改善すると、栄養状態と酸素化が回復し、成長速度が加速します。Aちゃんは術前まで成長曲線を下回っていた体重が、術後に標準曲線に追いついており、典型的なキャッチアップ現象と評価できます。

選択肢考察

  1. ×1.  体重増加の不良

    体重増加不良であれば成長曲線から下方へ離れ続けます。Aちゃんは術後に体重が標準曲線に向かって上昇しているため、この評価は当てはまりません。

  2. ×2.  過度な体重増加

    過度な体重増加は成長曲線から上方に逸脱することを指します。Aちゃんは標準曲線に「追いついた」状態で、上方に逸脱しているわけではないため不適切です。

  3. ×3.  標準的な体重増加

    標準的な体重増加は成長曲線と同じカーブを平行して描く状態を指します。術前に曲線を下回っていた体重が術後に急速に追いついたAちゃんのパターンは標準的とは言えません。

  4. 4.  キャッチアップ現象

    疾患により一時的に成長が抑制された後、原因除去により加速度的に標準値へ追いつく現象です。先天性心疾患術後の典型的経過で、Aちゃんの体重変化に合致します。

成長曲線は母子健康手帳にも掲載されており、3・10・25・50・75・90・97パーセンタイル値が示されています。3〜97パーセンタイルの範囲内が概ね正常範囲とされます。キャッチアップは心疾患手術後のほか、栄養改善、内分泌疾患の治療(成長ホルモン補充)後などにもみられます。逆に曲線から下方に外れる場合は、疾患の見落としや養育環境の問題(ネグレクト等)も視野に入れた評価が必要です。

先天性心疾患術後の体重変化パターンから、小児の成長評価における「キャッチアップ現象」を識別できるかを問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。