立ちくらみはなぜ起きる?起立性低血圧の仕組みと看護
看護師国家試験 第106回 午前 第74問
国試問題にチャレンジ
起立性低血圧について正しいのはどれか。
- 1.脱水との関連はない。
- 2.高齢者には起こりにくい。
- 3.塩分の過剰摂取によって起こる。
- 4.脳血流の一時的な増加によって生じる。
- 5.自律神経障害を起こす疾患で生じやすい。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
起立性低血圧の病態生理(圧受容器反射と自律神経)と、それに関連する疾患・リスク因子を問う問題。『自律神経が関与する』という一点を押さえれば解ける。
解答・解説
正解は5です
問題文:起立性低血圧について正しいのはどれか。
解説:正解は 5 の『自律神経障害を起こす疾患で生じやすい』です。起立性低血圧とは、臥位や座位から立ち上がった際に、収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上低下する病態で、立ちくらみ・めまい・失神などを引き起こします。通常は立位になると重力で下肢に血液がたまり、そのままでは脳血流が減少しますが、圧受容器反射(大動脈弓・頸動脈洞→延髄の血管運動中枢→交感神経)によって末梢血管を収縮させ、心拍数を上げて血圧を維持します。この反射機構は自律神経系が中心となって働いているため、パーキンソン病、多系統萎縮症(Shy-Drager症候群)、糖尿病性自律神経障害、脊髄損傷など自律神経障害を伴う疾患では起立性低血圧が起こりやすくなります。
選択肢考察
- ×1. 脱水との関連はない。
誤り。脱水では循環血液量が減少し、立位時の血圧維持がさらに難しくなるため起立性低血圧を起こしやすい。高齢者や利尿薬使用中の患者で特に注意。
- ×2. 高齢者には起こりにくい。
誤り。加齢により圧受容器反射の感受性低下、血管壁の硬化、自律神経機能低下、脱水傾向などが重なり、高齢者ほど起立性低血圧が起こりやすい。降圧薬・利尿薬・抗パーキンソン病薬なども誘因となる。
- ×3. 塩分の過剰摂取によって起こる。
誤り。塩分過剰摂取は循環血液量を増やし血圧を上昇させる方向に働くため、起立性低血圧の誘因ではない。むしろ治療として適度な塩分・水分摂取が推奨される場合もある。
- ×4. 脳血流の一時的な増加によって生じる。
誤り。起立時に下肢へ血液が移動することで、脳血流は一時的に『減少』する。めまいや失神の原因はこの脳灌流の低下。
- ○5. 自律神経障害を起こす疾患で生じやすい。
正しい。圧受容器反射は自律神経系(主に交感神経)が担うため、パーキンソン病、糖尿病性神経障害、多系統萎縮症などで起立性低血圧が高頻度にみられる。
起立性低血圧の診断基準は『立位3分以内に収縮期血圧20mmHg以上、または拡張期血圧10mmHg以上の低下』(2011年ACC/AHA基準)。看護のポイントとしては、①起立時はゆっくり段階的に(臥位→端座位→立位)、②弾性ストッキング着用、③水分・塩分の適切な摂取、④食後低血圧にも注意(食後30分〜1時間以内の立位で症状が出やすい)、⑤降圧薬・利尿薬・三環系抗うつ薬・α遮断薬などの服薬確認。高齢者の転倒・骨折の重要な原因の一つである。
起立性低血圧の病態生理(圧受容器反射と自律神経)と、それに関連する疾患・リスク因子を問う問題。『自律神経が関与する』という一点を押さえれば解ける。
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