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経産婦の強い後陣痛への対応

看護師国家試験 第107午後115(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

107午後115

状況設定

Aさん( 34歳、経産婦 )は、夫( 35歳 )と長男のB君( 3歳 )との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。

Aさんは翌日の2時に尿意があり、自然排尿があった。8時に「昨夜は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍68/分、血圧125/70mmHgであった。 このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。

  1. 1.授乳を促す。
  2. 2.入浴を勧める。
  3. 3.骨盤底筋体操を指導する。
  4. 4.鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える。

対話形式の解説

博士博士
Aさんは経産婦で、昨夜は後陣痛で眠れず、授乳で痛みが増して発汗までしておるのう。
サクラサクラ
子宮底は臍高、硬く触れ、悪露も中等量、バイタルも正常。子宮復古は順調ですね。
博士博士
そのとおり。では、この強い後陣痛にはどう対応するのが適切じゃ?
サクラサクラ
医師に鎮痛薬の使用を相談すると伝えるのが良いと思います。
博士博士
うむ。なぜ経産婦で後陣痛が強くなるのか説明できるか?
サクラサクラ
初産婦より子宮筋の伸展が大きく、収縮痛が強まるためです。さらに授乳で分泌されるオキシトシンが子宮収縮を促し痛みを増強させます。
博士博士
完璧じゃ。痛みは産褥1〜3日目がピークになるんじゃったな。
サクラサクラ
授乳を促すだけではだめですか?
博士博士
授乳自体は継続すべきじゃが、強い痛みを放置すれば母乳育児の継続意欲が下がってしまうからな。鎮痛と並行するのが筋じゃ。
サクラサクラ
入浴はどうでしょう。
博士博士
産褥1日目は会陰縫合部や悪露のためシャワー浴までにとどめるのが原則じゃ。入浴は感染や出血のリスクもある。
サクラサクラ
骨盤底筋体操は?
博士博士
産褥期に有用じゃが、今この瞬間の強い疼痛を解決する手段ではない。疼痛コントロールができてから導入するとよい。
サクラサクラ
授乳中でも使える鎮痛薬はありますか?
博士博士
アセトアミノフェンやロキソプロフェンは母乳移行量が少なく、授乳を続けながら使用できるのが一般的じゃ。
サクラサクラ
痛みを取ることが母乳育児と母子愛着にもつながるんですね。
博士博士
ようできた、患者さんの訴えを正面から受け止める姿勢が大事じゃぞ。

POINT

経産婦の強い後陣痛は珍しくありません。子宮復古が順調でバイタルが安定していれば、鎮痛薬の適切な使用で授乳継続を支援しましょう。

解答・解説

正解は4です

問題文:Aさんは翌日の2時に尿意があり、自然排尿があった。8時に「昨夜は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍68/分、血圧125/70mmHgであった。 このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。

解説:正解は4です。Aさんの子宮底は臍高、子宮は硬く収縮し、悪露も中等量で子宮復古は順調です。バイタルサインにも異常はなく、病的所見はありません。一方で経産婦は子宮の収縮力が強いため後陣痛が強く出やすく、さらに授乳中に分泌されるオキシトシンで子宮収縮が促され痛みが増強します。睡眠もとれず発汗を伴うほどの強い痛みに対しては、医師に相談して鎮痛薬の使用を検討することが最も適切な対応です。

選択肢考察

  1. ×1.  授乳を促す。

    授乳自体は継続すべきですが、授乳のたびに後陣痛が強まり発汗するほどの状況で『促す』だけでは苦痛緩和にならず、母乳育児意欲の低下を招く恐れがあります。

  2. ×2.  入浴を勧める。

    産褥1日目は会陰縫合部や悪露の状態から入浴は禁忌で、通常はシャワー浴のみ可能です。また温熱により循環が促進され疼痛が増強する可能性もあります。

  3. ×3.  骨盤底筋体操を指導する。

    骨盤底筋体操は産褥期に有用ですが、強い後陣痛と会陰縫合直後の現時点で優先すべき介入ではありません。疼痛が落ち着いてから導入します。

  4. 4.  鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える。

    子宮復古は正常でありバイタルも安定、痛みの原因は後陣痛と考えられるため、鎮痛薬使用を医師に相談し疼痛緩和を図ることが適切です。

後陣痛は産褥1〜3日目が最も強く、経産婦では子宮筋の伸展により収縮痛が強まります。授乳中のオキシトシン分泌で増強するのが特徴です。対応としては温罨法(腹部)や体位工夫に加え、母乳移行を考慮した鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)が使用可能で、授乳を継続しながら疼痛を和らげることができます。疼痛緩和は母乳育児の継続と母子愛着形成にも寄与します。

経産婦の強い後陣痛は珍しくありません。子宮復古が順調でバイタルが安定していれば、鎮痛薬の適切な使用で授乳継続を支援しましょう。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。