下痢はカリウムを奪う——腸液の組成から電解質異常を予測する
看護師国家試験 第109回 午後 第15問 / 必修問題
国試問題にチャレンジ
下痢によって生じやすい電解質異常はどれか。
- 1.低カリウム血症
- 2.高カルシウム血症
- 3.高ナトリウム血症
- 4.低マグネシウム血症
対話形式の解説
博士
サクラ
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サクラPOINT
消化管液の組成から電解質喪失の種類を推測する問題。下痢=低K・代謝性アシドーシス、嘔吐=低K・代謝性アルカローシスの対比を押さえる。
解答・解説
正解は1です
問題文:下痢によって生じやすい電解質異常はどれか。
解説:正解は 1 です。腸液(特に小腸・大腸分泌液)はカリウムを豊富に含み、便中K濃度は血漿よりはるかに高い。下痢が続くと大量の水分とともにカリウムが失われ低カリウム血症を呈する。さらに下痢では重炭酸(HCO₃⁻)も失われるため代謝性アシドーシスを合併しやすく、ナトリウムも同時に喪失するため等張性〜低張性脱水となる。臨床では下痢=低K・代謝性アシドーシス・脱水のセットで覚えておく。
選択肢考察
- ○1. 低カリウム血症
腸液はKが多いため、下痢による消化液喪失はKの直接喪失につながる。低K血症では四肢脱力・腸蠕動低下(イレウス)・心電図上のU波出現・不整脈などを呈し、重症ではジギタリス中毒の感受性も高まる。
- ×2. 高カルシウム血症
高Ca血症の主因は副甲状腺機能亢進症・悪性腫瘍(PTHrP産生腫瘍、骨転移)・ビタミンD中毒など。下痢で電解質喪失が進んでもCaが上昇することはない。
- ×3. 高ナトリウム血症
下痢ではNaもKと同時に失われ、むしろ低ナトリウム血症に傾きやすい。高Na血症は自由水欠乏(水分摂取不能、尿崩症など)が主因。
- ×4. 低マグネシウム血症
慢性下痢や吸収不良症候群では二次的に低Mg血症を起こすことはあるが、急性下痢で真っ先に現れる代表的電解質異常ではない。低Mgは低Kや低Caを合併しやすい点も押さえる。
下痢時の輸液管理では、等張輸液(生理食塩水・リンゲル液)に加えてK補充を考慮する。心電図モニタリング下で希釈・速度を守って投与するのが原則。嘔吐の場合は胃液喪失のため低Cl・低K・代謝性アルカローシスとなり、下痢とは酸塩基の方向が逆になる点が頻出の対比ポイント。
消化管液の組成から電解質喪失の種類を推測する問題。下痢=低K・代謝性アシドーシス、嘔吐=低K・代謝性アルカローシスの対比を押さえる。
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