StudyNurse

医療廃棄物の迷宮 感染性と非感染性を正しく分ける

看護師国家試験 第109午前30

国試問題にチャレンジ

109午前30

廃棄する物とその区分との組合せで正しいのはどれか。

  1. 1.滅菌パックの袋 ------------------------ 産業廃棄物
  2. 2.エックス線フィルム -------------------- 一般廃棄物
  3. 3.血液の付着したメスの刃 ---------------- 感染性産業廃棄物
  4. 4.pH 12.5 以上のアルカリ性の廃液 -------- 感染性一般廃棄物

対話形式の解説

博士博士
今日は医療廃棄物の分別について学ぶぞ。現場の安全管理に直結する重要項目じゃ。
サクラサクラ
病院のごみって、家のごみとは違うんですか?
博士博士
全く違うぞ。廃棄物処理法により、医療機関から出る廃棄物は厳格に分別管理される。まず大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分かれ、それぞれに「感染性」と「非感染性」がある。つまり4象限じゃな。
サクラサクラ
感染性産業廃棄物、感染性一般廃棄物、非感染性産業廃棄物、非感染性一般廃棄物の4種類ですね。
博士博士
その通り。感染性廃棄物は人に感染するおそれのある病原体が付着した廃棄物で、特別管理産業廃棄物または特別管理一般廃棄物として、特に厳重に扱われるのじゃ。
サクラサクラ
具体例で言うと?
博士博士
血液、体液、病原体そのもの、使用済みの針やメス、手術で摘出した臓器、透析廃液などが感染性じゃな。
サクラサクラ
使用後のガーゼはどうですか?
博士博士
血液や体液が付着していれば感染性、付着していなければ非感染性じゃ。ただし手術室や処置室から出たものは感染性として扱うのが安全側の運用じゃな。
サクラサクラ
感染性廃棄物ってバイオハザードマークが貼られていますよね。色で分かれてた気がします。
博士博士
よく覚えておるな。赤は液状・泥状、橙は固形状、黄は鋭利物じゃ。
サクラサクラ
なぜ鋭利物だけ別の色なんですか?
博士博士
針刺し事故のリスクがあるからじゃ。耐貫通性の硬質容器に直接入れ、リキャップせずそのまま廃棄する。これが原則中の原則じゃ。
サクラサクラ
万が一、針刺し事故が起きたらどうしますか?
博士博士
まず流水と石けんで十分に洗浄し、ただちに上司と感染管理部門に報告。相手患者の感染症情報を確認し、HIVなら2時間以内の抗HIV薬内服、HBVならワクチン・免疫グロブリンなど、曝露後予防を速やかに開始するのじゃ。
サクラサクラ
速度が勝負なんですね。
博士博士
そうじゃ。だからこそ予防が最重要で、分別ルールを守ることが自分と同僚を守ることにつながる。
サクラサクラ
では、問題の選択肢4にある pH12.5以上のアルカリ廃液はどこに分類されるんですか?
博士博士
感染性ではなく「特別管理産業廃棄物」のうち「特定有害産業廃棄物」に分類されるぞ。強アルカリや強酸、PCB、水銀などが該当する。
サクラサクラ
エックス線フィルムは?
博士博士
銀を含むため非感染性産業廃棄物じゃ。さらに患者情報を含むから、情報漏洩にも注意せねばならん。
サクラサクラ
一つの物品に複数のリスクがあるんですね。分別って奥が深い…。
博士博士
その通り。医療廃棄物は感染・刺傷・環境・情報の4つのリスクを同時に管理する必要があるのじゃ。

POINT

医療廃棄物の分別区分を理解し、血液付着の鋭利物が「感染性産業廃棄物」に該当することを正しく判定できるかを問う問題。

解答・解説

正解は3です

問題文:廃棄する物とその区分との組合せで正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。医療機関から排出される廃棄物は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に基づき、感染性廃棄物と非感染性廃棄物、さらに産業廃棄物と一般廃棄物に区分される。血液・体液・病原体に汚染された鋭利物は「感染性産業廃棄物」に該当し、黄色のバイオハザードマークで表示された専用容器で厳重に管理・処分される。メスの刃のような鋭利器材は感染リスクと刺傷リスクの両方があるため、耐貫通性の硬質容器での分別が必須である。

選択肢考察

  1. ×1.  滅菌パックの袋 ------------------------ 産業廃棄物

    未使用であれば非感染性の一般廃棄物に該当する。使用済みで血液等が付着していれば感染性廃棄物となるが、「産業廃棄物」単独の区分は適切でない。

  2. ×2.  エックス線フィルム -------------------- 一般廃棄物

    エックス線フィルムは銀などの金属を含むため、非感染性の「産業廃棄物」として扱う。また個人情報を含むため情報漏洩防止も必要。

  3. 3.  血液の付着したメスの刃 ---------------- 感染性産業廃棄物

    血液が付着した金属製鋭利器材は感染性+産業廃棄物に該当。耐貫通性容器に入れ、バイオハザードマーク(黄色:鋭利物)を付けて処分する。

  4. ×4.  pH 12.5 以上のアルカリ性の廃液 -------- 感染性一般廃棄物

    pH12.5以上の強アルカリ廃液は、有害性があるため「特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)」に分類される。感染性とは区分が異なる。

医療廃棄物の分別は「感染性/非感染性」の軸と「産業廃棄物/一般廃棄物」の軸の2次元マトリクスで整理するとよい。感染性廃棄物はさらに形状別にバイオハザードマークで色分けされ、赤色は液状・泥状(血液、体液など)、橙色は固形状(ガーゼ、包帯、紙オムツなど)、黄色は鋭利物(針、メス、アンプルなど)で識別される。注射針はリキャップせず専用の耐貫通性容器に廃棄するのが原則で、針刺し事故予防の最重要ポイント。事故が起きた際は速やかに流水で洗浄し、上司・感染管理部門への報告、感染症スクリーニング、必要に応じた曝露後予防(HIVなら抗HIV薬、HBVならワクチン・免疫グロブリン)を行う。

医療廃棄物の分別区分を理解し、血液付着の鋭利物が「感染性産業廃棄物」に該当することを正しく判定できるかを問う問題。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。