重症筋無力症を極める!自己抗体が神経筋接合部を攻撃する病気
看護師国家試験 第109回 午前 第79問
国試問題にチャレンジ
重症筋無力症( myasthenia gravis )で正しいのはどれか。
- 1.男性に多い。
- 2.心肥大を生じる。
- 3.朝に症状が強くなる。
- 4.自己免疫疾患である。
- 5.70 歳以上に好発する。
対話形式の解説
博士
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博士POINT
重症筋無力症の病態(自己免疫疾患)と疫学(女性優位・中年発症)、症状パターン(日内変動で夕方悪化)を総合的に問う問題。自己免疫疾患の代表例として国試頻出。
解答・解説
正解は4です
問題文:重症筋無力症( myasthenia gravis )で正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。重症筋無力症は神経筋接合部のシナプス後膜に存在するアセチルコリン受容体(AChR)に対する自己抗体が産生され、神経筋伝達が障害される自己免疫疾患である。神経終末からアセチルコリンが放出されても受容体が抗体で破壊・ブロックされるため、筋収縮が弱くなり、使うほど筋力が低下する『易疲労性』が特徴となる。
選択肢考察
- ×1. 男性に多い。
重症筋無力症は男女比約1:1.7で女性に多い。とくに若年型(20〜40歳代)は女性優位である。高齢発症型(50〜60歳代)では男性もやや増える傾向がある。
- ×2. 心肥大を生じる。
重症筋無力症は骨格筋の神経筋接合部を障害する疾患で、心筋は障害されないため心肥大は特有の症状ではない。ただし胸腺腫合併例では縦隔陰影の拡大を認めることがある。
- ×3. 朝に症状が強くなる。
重症筋無力症の典型的症状パターンは『日内変動』で、朝は比較的軽く、夕方になるほど症状が強くなるのが特徴。これを日内変動(diurnal fluctuation)という。使うほど悪化する易疲労性と一致する。
- ○4. 自己免疫疾患である。
アセチルコリン受容体抗体(抗AChR抗体)や筋特異的受容体型チロシンキナーゼ抗体(抗MuSK抗体)などの自己抗体が神経筋接合部を攻撃する典型的自己免疫疾患。胸腺異常(胸腺過形成や胸腺腫)を合併することが多く、胸腺摘出が治療選択肢となる。
- ×5. 70 歳以上に好発する。
重症筋無力症の発症ピークは二相性で、女性は30〜50歳代、男性は50〜60歳代にピークがある。70歳以上に好発するとは言えない。なお近年は高齢発症型の相対的増加が指摘されている。
重症筋無力症の特徴的症状は、眼瞼下垂・複視などの眼症状、咀嚼・嚥下困難、構音障害、四肢近位筋の脱力、日内変動(夕方悪化)、易疲労性など。重症化すると呼吸筋麻痺による『クリーゼ』を起こし人工呼吸管理が必要になる。診断はテンシロンテスト(抗コリンエステラーゼ薬で症状改善)、反復神経刺激試験(減衰現象)、抗AChR抗体・抗MuSK抗体測定、胸部CT(胸腺評価)による。治療はコリンエステラーゼ阻害薬(ピリドスチグミン)、免疫抑制療法(ステロイド、タクロリムス等)、胸腺摘出、血漿交換、免疫グロブリン大量療法など。看護では疲労管理、服薬指導、クリーゼ徴候(呼吸困難、構音障害、嚥下障害の増悪)の観察が重要。
重症筋無力症の病態(自己免疫疾患)と疫学(女性優位・中年発症)、症状パターン(日内変動で夕方悪化)を総合的に問う問題。自己免疫疾患の代表例として国試頻出。
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