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完全房室ブロックで怖いのは何じゃ?

看護師国家試験 第110午後92

国試問題にチャレンジ

110午後92

Aさん( 64歳、女性、主婦)は、50歳で高血圧症( hypertension )と診断され、降圧薬を服用している。栄養指導を受け、食事療法も実施している。趣味はサイクリングと海外旅行である。数か月前からサイクリング中に息苦しさやめまいを感じるようになったため、かかりつけ医から紹介された病院を受診した。外来受診時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、脈拍40/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%( room air )。 検査の結果、Aさんは完全房室ブロック( complete atrioventricular block )と診断された。 今後、Aさんに起こりやすいのはどれか。

  1. 1.脳虚血
  2. 2.肺塞栓症( pulmonary embolism )
  3. 3.不安定狭心症( unstable angina )
  4. 4.心タンポナーデ( cardiac tamponade )

対話形式の解説

博士博士
Aさんが完全房室ブロックと診断された。次に何が起こるか予測できるかのう。
サクラサクラ
脈が遅いので、全身に血液が行き渡りにくくなりますね。
博士博士
そうじゃ、特に重要なのは脳への血流じゃな。
サクラサクラ
脳の血流が減ると、めまいや失神が起こるのでしょうか。
博士博士
正解じゃ。それを脳虚血、発作的なものをアダムス・ストークス発作と呼ぶ。
サクラサクラ
失神すると転倒もしてしまいそうで危険ですね。
博士博士
うむ、高齢者では骨折の原因にもなるから怖いぞ。
サクラサクラ
肺塞栓症は関係ないのですか。
博士博士
肺塞栓は深部静脈血栓症が原因で起こる病態じゃから、伝導障害とは別物じゃ。
サクラサクラ
不安定狭心症や心タンポナーデはどうですか。
博士博士
どちらも病態が異なる。狭心症は冠動脈のプラーク破綻、心タンポナーデは心囊液貯留による循環障害じゃな。
サクラサクラ
つまり完全房室ブロックの合併症として直接関連するのは脳虚血なのですね。
博士博士
そうじゃ。ペースメーカー植込みはこの失神発作を防ぐ切り札になる。

POINT

完全房室ブロックの徐脈がもたらす全身の影響、特に脳循環への影響を問うています。

解答・解説

正解は1です

問題文:Aさん( 64歳、女性、主婦)は、50歳で高血圧症( hypertension )と診断され、降圧薬を服用している。栄養指導を受け、食事療法も実施している。趣味はサイクリングと海外旅行である。数か月前からサイクリング中に息苦しさやめまいを感じるようになったため、かかりつけ医から紹介された病院を受診した。外来受診時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、脈拍40/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%( room air )。 検査の結果、Aさんは完全房室ブロック( complete atrioventricular block )と診断された。 今後、Aさんに起こりやすいのはどれか。

解説:正解は1です。完全房室ブロックでは心室の補充収縮が遅く、心拍出量が急激に低下することがあります。その結果、脳への血流が一時的に途絶え、めまいや失神、痙攣といった脳虚血症状(アダムス・ストークス発作)を起こしやすくなります。

選択肢考察

  1. 1.  脳虚血

    心室レートが極度に遅くなると心拍出量が低下し、脳血流が不足して失神発作を招きます。完全房室ブロックで最も警戒すべき症状の一つです。

  2. ×2.  肺塞栓症( pulmonary embolism )

    下肢深部静脈血栓症などが原因で肺動脈に血栓が詰まる病態で、長時間の不動や術後が発症契機になります。伝導障害が直接の原因にはなりません。

  3. ×3.  不安定狭心症( unstable angina )

    冠動脈プラークの破綻による心筋虚血が病態であり、房室ブロックそのものから誘発される疾患ではありません。

  4. ×4.  心タンポナーデ( cardiac tamponade )

    心囊内への液体貯留により心拍出量が急減する病態で、外傷や心破裂、心膜炎などが原因です。完全房室ブロックで起こりやすい病態ではありません。

完全房室ブロックで意識を失う発作をアダムス・ストークス発作と呼びます。徐脈により一過性に心停止状態となり、数秒以上続くと意識消失や痙攣に至ります。恒久的ペースメーカーの絶対適応であり、診断後は速やかに治療方針を決定します。

完全房室ブロックの徐脈がもたらす全身の影響、特に脳循環への影響を問うています。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。