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硝酸薬の使い方と退院指導のポイント

看護師国家試験 第115午後48

国試問題にチャレンジ

115午後48

不安定狭心症の成人患者に対する退院指導で、胸痛発作時に用いる硝酸薬の説明で正しいのはどれか。

  1. 1.「冷蔵庫で保存してください」
  2. 2.「使用して15分程度で効果が出ます」
  3. 3.「痛みが強いときはかみ砕いてください」
  4. 4.「使用後は急に立ち上がらないでください」

対話形式の解説

博士博士
今日は不安定狭心症の患者さんに処方される硝酸薬、いわゆるニトログリセリンの舌下錠について話そうかの。
サクラサクラ
はい博士、不安定狭心症って、安静時にも胸痛が出るタイプですよね。心筋梗塞に移行しやすいから注意が必要だと習いました。
博士博士
その通りじゃ。発作時には硝酸薬を使うが、この薬の作用機序を覚えておるかな。
サクラサクラ
えーと、血管を拡張する薬ですよね。冠動脈を広げて心臓に血流を送るイメージです。
博士博士
半分正解じゃ。実はそれだけでなく、末梢の静脈も拡張するから心臓に戻ってくる血液量、つまり前負荷が減って、心臓の仕事量そのものが下がるんじゃよ。
サクラサクラ
なるほど、酸素需要を減らすという面もあるんですね。じゃあ副作用としてはどんなものがありますか。
博士博士
血管を広げるんじゃから、当然血圧が下がる。それで立ちくらみや失神、転倒のリスクがあるんじゃ。だから使用後はすぐに立ち上がらず、座ったり横になったりして安静にするよう指導することが大切じゃ。
サクラサクラ
それが今回の問題の正解、選択肢4ですね。「使用後は急に立ち上がらないでください」というやつ。
博士博士
そうじゃ。他の選択肢も見ていこうかの。冷蔵庫保存はどうじゃ。
サクラサクラ
湿気で薬が変質しそうですよね。確か常温で遮光保存だったような…。
博士博士
正解。結露で吸湿してしまうから冷蔵庫は不適切じゃ。では効果発現時間はどうかな。
サクラサクラ
舌下錠は粘膜から直接吸収されるから、すごく早かったはずです。1〜2分くらいで効くと習いました。
博士博士
その通り。15分もかかるようでは心筋梗塞を疑う必要があるレベルじゃな。最後に噛み砕く件はどうじゃ。
サクラサクラ
噛み砕いて飲み込んだら、肝臓で代謝されて効かなくなっちゃいますよね。舌の下で溶かすからこそ効くんですよね。
博士博士
完璧じゃ。初回通過効果を避けるための舌下投与なんじゃよ。あと一つ大事な点として、シルデナフィルなどのED治療薬と併用すると重篤な低血圧を起こすから絶対に併用してはいかん。患者さんの服薬歴を必ず確認することじゃ。
サクラサクラ
退院指導では、保管方法、使い方、効果発現時間、副作用への対処、併用禁忌まで一通り押さえる必要があるんですね。とても勉強になりました。

POINT

不安定狭心症患者に対する硝酸薬(舌下錠・スプレー)の退院指導における、保管方法・発現時間・服用方法・副作用予防の正しい知識を問う問題です。

解答・解説

正解は4です

問題文:不安定狭心症の成人患者に対する退院指導で、胸痛発作時に用いる硝酸薬の説明で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。硝酸薬(ニトログリセリンや硝酸イソソルビドの舌下錠・口腔内スプレー)は、血管平滑筋を弛緩させて冠動脈を拡張するとともに、末梢の静脈系も拡張させるため心臓への前負荷を軽減し、虚血による胸痛を速やかに改善します。一方で、全身の血管も拡張するため一過性の血圧低下や脳血流の低下が起こりやすく、特に高齢者や脱水傾向のある患者では立ちくらみや失神(起立性低血圧)の危険性があります。したがって、胸痛発作時の使用後はすぐに立ち上がらず、座位または臥位で安静を保ち、効果と症状の変化を観察するよう指導することが重要です。また、効果が不十分な場合は5分間隔で最大3回まで追加可能であること、それでも改善しなければ救急要請することを併せて伝えます。

選択肢考察

  1. ×1.  「冷蔵庫で保存してください」

    ニトログリセリン舌下錠や硝酸イソソルビドは光や湿気、揮発による失活を避けるため遮光・気密容器での室温保存が原則です。冷蔵庫内では出し入れ時の結露で吸湿し、含量低下や変質をきたすおそれがあるため適切ではありません。

  2. ×2.  「使用して15分程度で効果が出ます」

    舌下錠は口腔粘膜から速やかに吸収され、通常1〜2分以内に効果が現れ、5分以内に最大効果に達します。15分も効果が現れない場合は心筋梗塞への移行を疑う必要があり、説明としては誤りです。

  3. ×3.  「痛みが強いときはかみ砕いてください」

    舌下錠は舌の下に入れて口腔粘膜から吸収させる剤型で、噛み砕いて飲み込むと初回通過効果により肝臓で大半が代謝され、有効血中濃度に達しません。痛みの強さで使い方を変えるのではなく、決められた用法を守るよう指導します。

  4. 4.  「使用後は急に立ち上がらないでください」

    硝酸薬は血管拡張作用により急激な血圧低下や起立性低血圧を起こしやすく、めまい・ふらつき・失神による転倒のリスクがあります。使用時は座位または臥位で安静にし、症状が落ち着くまで急な体位変換を避けるよう指導するのが適切です。

ニトログリセリン舌下錠は携帯時の温度上昇や直射日光で失活しやすいため、遮光容器に入れて常温で保管し、開封後は数か月で使い切るよう指導します。口腔内が乾燥していると吸収が悪くなるため、必要に応じて少量の水で口を湿らせてから舌下します。発作時は座位で使用し、5分経っても症状が改善しない場合はさらに1錠、計3回まで使用可能ですが、それでも改善しなければ急性心筋梗塞の可能性があるため救急要請が必要です。シルデナフィルなどのPDE5阻害薬との併用は重篤な低血圧を起こすため禁忌である点も重要です。

不安定狭心症患者に対する硝酸薬(舌下錠・スプレー)の退院指導における、保管方法・発現時間・服用方法・副作用予防の正しい知識を問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。