StudyNurse

動かないと血が固まる?深部静脈血栓症(DVT)とウィルヒョウの三徴を完全マスター

看護師国家試験 第115午前14 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午前14

深部静脈血栓症〈DVT〉の危険因子はどれか。

  1. 1.若 年
  2. 2.水分過多
  3. 3.長期臥床
  4. 4.るいそう

対話形式の解説

博士博士
今日のテーマは深部静脈血栓症、いわゆるDVTじゃ。足の太い静脈に血のかたまり、つまり血栓ができてしまう病気じゃよ。
サクラサクラ
DVTって、エコノミークラス症候群と同じものですか?
博士博士
おお、よく知っておるな。長時間の飛行機移動で足を動かさず、座りっぱなしのあとに発症するのがエコノミークラス症候群じゃ。あれもDVTの一種で、できた血栓が肺に飛んで肺血栓塞栓症(PE)を起こすと命に関わる。
サクラサクラ
だから手術後の患者さんが、早く歩きましょうって言われるんですね。
博士博士
その通りじゃ。さて、DVTを理解する鍵は「ウィルヒョウの三徴」と呼ばれる3つの要因じゃ。①血流停滞、②血管内皮障害、③血液凝固能亢進。この3つが揃うと血栓ができやすくなるのじゃよ。
サクラサクラ
今回の問題、選択肢は「若年」「水分過多」「長期臥床」「るいそう」ですよね。どれが当てはまるんでしょう?
博士博士
考えてごらん。長く寝たきりで足を動かさないと、下肢の血流はどうなるかな?
サクラサクラ
あっ、筋肉が動かないから血液が心臓に戻りにくくなって、足の静脈で滞っちゃう…つまり血流停滞ですね!
博士博士
そうじゃ、大正解。下肢の静脈血は「筋ポンプ作用」、つまりふくらはぎの筋肉が収縮することで心臓に押し戻されておる。寝たきりではこの作用が働かず、Virchowの三徴の血流停滞にズバリ該当するのじゃ。
サクラサクラ
他の選択肢はどうしてダメなんですか?まず若年は…
博士博士
DVTは加齢でリスクが上がる疾患じゃ。高齢者ほど血管内皮機能が低下し、活動量も落ちるからな。若年は逆にリスクが低い。
サクラサクラ
水分過多は?水分が多い方が血液がサラサラになりそうですけど…
博士博士
鋭いところに気づいたな。実はDVTで問題になるのは「脱水」じゃ。体液量が減ると血液が濃縮されて粘稠度が上がり、ドロドロして血栓ができやすくなる。だから水分過多はリスクではなく、むしろ適切な水分摂取が予防になるのじゃよ。
サクラサクラ
じゃあ「るいそう」、つまりやせはどうなんですか?
博士博士
るいそうは単独ではDVTの代表的危険因子ではない。むしろ肥満の方がリスクとされておる。お腹の脂肪が静脈還流を妨げたり、肥満に伴う凝固能亢進があったりするからじゃ。
サクラサクラ
なるほど、答えは「長期臥床」で確定ですね。看護師として、DVT予防のために何ができますか?
博士博士
看護のキーワードを覚えるのじゃ。まず「早期離床」、術後できるだけ早く歩いてもらう。動けない患者には足関節の底背屈運動、いわゆる足首パタパタ運動を促す。弾性ストッキングや、ふくらはぎを機械で揉む間欠的空気圧迫法(フットポンプ)も使う。ハイリスクならヘパリンなど抗凝固薬を投与することもある。
サクラサクラ
DVTを疑うサインってありますか?
博士博士
片側の下腿の腫脹、痛み、熱感、色調変化が代表的じゃ。足関節を背屈させたときに腓腹部に痛みが出るホマンズ徴候(Homans徴候)も古典的な所見じゃよ。確定診断には下肢静脈エコーやD-ダイマー測定が使われる。
サクラサクラ
血栓が肺に飛んだら肺塞栓ですよね。どんな症状ですか?
博士博士
突然の呼吸困難、胸痛、頻呼吸、SpO2低下が典型じゃ。離床直後やトイレ歩行後に急変するパターンが要注意で、看護師の観察力が命を救うこともあるのじゃ。
サクラサクラ
Virchowの三徴の枠組みで考えると、いろんな状況がリスクとして整理できますね。
博士博士
その通り。①血流停滞:長期臥床・術後・心不全・ギプス固定、②血管内皮障害:外傷・手術・中心静脈カテーテル、③凝固能亢進:悪性腫瘍・妊娠・経口避妊薬・脱水。この三本柱で整理すれば、応用問題にも対応できるぞ。

POINT

深部静脈血栓症の危険因子を問う問題。Virchowの三徴(血流停滞・血管内皮障害・凝固能亢進)の枠組みで考え、選択肢のうち血流停滞をもたらす因子を選ぶことがポイント。

解答・解説

正解は3です

問題文:深部静脈血栓症〈DVT〉の危険因子はどれか。

解説:正解は 3 です。深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)は、主に下肢の深部静脈に血栓が形成される疾患で、肺血栓塞栓症(PE)の原因となるため早期予防が重要です。発症メカニズムは「Virchow(ウィルヒョウ)の三徴」と呼ばれる①血流停滞、②血管内皮障害、③血液凝固能亢進の組み合わせで説明されます。長期臥床は下肢筋ポンプ作用の低下により下腿静脈の血流が滞り、Virchowの三徴の①血流停滞に該当する代表的危険因子です。手術後・骨折後・脳卒中後の安静、長距離フライト(エコノミークラス症候群)、長時間の同一姿勢などが典型的な臨床例として挙げられます。

選択肢考察

  1. ×1.  若 年

    DVTは加齢とともに発症リスクが上昇する疾患であり、若年は危険因子ではありません。高齢者では血管内皮機能の低下、活動量の減少、合併症の増加などにより血栓形成リスクが高まります。

  2. ×2.  水分過多

    リスクとなるのはむしろ脱水です。体液量が減少すると血液濃縮が起こり、ヘマトクリットや血液粘稠度が上昇して血栓ができやすくなります。DVT予防の観点からは適切な水分摂取が推奨されます。

  3. 3.  長期臥床

    長期臥床では下肢の筋ポンプ作用が働かず、深部静脈の血流が著しく停滞します。これはVirchowの三徴のうち「血流停滞」に該当する代表的な危険因子で、術後安静や脳卒中後の片麻痺患者などで特にリスクが高まります。

  4. ×4.  るいそう

    るいそう(著しいやせ)は単独ではDVTの代表的危険因子には含まれません。むしろ肥満が静脈還流の妨げや凝固能亢進を介してDVTリスクを高めることが知られています。

Virchowの三徴を整理すると、①血流停滞:長期臥床、手術後、長時間の座位、心不全、下肢ギプス固定、②血管内皮障害:外傷、手術、中心静脈カテーテル留置、血管炎、③凝固能亢進:悪性腫瘍、妊娠・産褥期、経口避妊薬、ホルモン補充療法、脱水、感染症など、となります。臨床での予防策としては、早期離床、足関節の底背屈運動、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法(フットポンプ)、薬物的予防(ヘパリンなど抗凝固薬)が用いられます。DVTを疑う所見としてはHomans徴候(足関節背屈時の腓腹部痛)、下腿の腫脹・把握痛・色調変化があり、確定診断には下肢静脈エコーやD-ダイマー測定が用いられます。

深部静脈血栓症の危険因子を問う問題。Virchowの三徴(血流停滞・血管内皮障害・凝固能亢進)の枠組みで考え、選択肢のうち血流停滞をもたらす因子を選ぶことがポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。