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胸痛の放散パターンで疾患を見抜く

看護師国家試験 第111午前14 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

111午前14

左前胸部から頸部や左上肢への放散痛が生じる疾患はどれか。

  1. 1.胃潰瘍(gastric ulcer)
  2. 2.狭心症(angina pectoris)
  3. 3.胆石症(cholelithiasis)
  4. 4.尿管結石症(ureterolithiasis)

対話形式の解説

博士博士
今日は放散痛についてじゃ。左の胸から首や左腕に広がる痛みと言えば、どの病気を思い浮かべるかの?
サクラサクラ
心臓の病気、ですか?
博士博士
その通り、正解は2の狭心症じゃ。冠動脈が狭くなって心筋が一時的に酸素不足になり、胸痛が出るのじゃ。
サクラサクラ
なぜ首や左腕まで痛くなるのですか?
博士博士
これを『放散痛』または『関連痛』と呼ぶのじゃ。心臓から入る内臓知覚神経と皮膚からの体性感覚神経が脊髄の同じ後角で合流するため、脳が『皮膚が痛い』と誤認するのじゃよ。
サクラサクラ
なるほど、だから心臓の痛みが腕に出るんですね。
博士博士
特に左肩・左上肢内側・下顎・頸部に放散するのが典型的じゃ。労作時に出現し、安静やニトログリセリンで数分で軽快するのが安定狭心症の特徴じゃ。
サクラサクラ
では1の胃潰瘍は?
博士博士
胃潰瘍は心窩部痛が主で、食後に痛むのが特徴じゃ。背部への放散はあっても、頸部や左上肢には放散しない。
サクラサクラ
3の胆石症はどうですか?
博士博士
胆石症は右季肋部や心窩部の痛みで、右肩への放散が典型じゃ。脂っこい食事の後に発作が起きやすい。
サクラサクラ
4の尿管結石症は?
博士博士
尿管結石は側腹部から腰背部の激しい疝痛で、下腹部や外性器、大腿内側に放散する。いずれも左前胸部や頸部には放散しない。
サクラサクラ
狭心症にはいくつかタイプがあると聞きました。
博士博士
安定狭心症は労作性、不安定狭心症は安静時でも起こり心筋梗塞の前駆症状じゃ。異型狭心症は冠攣縮によるもので、早朝や夜間に多い。不安定狭心症は急性冠症候群として緊急対応が必要じゃ。
サクラサクラ
放散痛が20分以上続いたら心筋梗塞を疑うんですね。
博士博士
その通り、ニトロで改善せず長引く胸痛は要警戒じゃ。心電図とトロポニン測定で早期診断じゃよ。

POINT

胸痛の放散パターンから虚血性心疾患を識別できるかを問う問題で、臨床での鑑別診断に直結します。

解答・解説

正解は2です

問題文:左前胸部から頸部や左上肢への放散痛が生じる疾患はどれか。

解説:正解は 2 です。狭心症は冠動脈の狭窄により心筋が一過性に虚血状態となり胸痛を生じる疾患で、左前胸部から頸部・左肩・左上肢内側・下顎などへ広がる放散痛が特徴です。内臓知覚神経と体性感覚神経が脊髄で収束するために生じる関連痛の代表例です。

選択肢考察

  1. ×1.  胃潰瘍(gastric ulcer)

    胃潰瘍の主症状は心窩部痛で、食後痛が特徴です。背部への放散痛を伴うことはありますが、頸部や左上肢への放散は典型的ではありません。

  2. 2.  狭心症(angina pectoris)

    狭心症は心筋虚血に伴う胸痛発作で、左前胸部から頸部・左肩・左上肢・下顎へ放散する痛みが典型的です。労作時に出現し数分で軽快することが多く、ニトログリセリンが有効です。

  3. ×3.  胆石症(cholelithiasis)

    胆石症では右季肋部痛・心窩部痛が主で、右肩や右背部への放散痛がみられます。左上肢への放散は起こりません。

  4. ×4.  尿管結石症(ureterolithiasis)

    尿管結石症では側腹部から腰背部への疝痛発作、下腹部や外性器・大腿内側への放散痛が特徴です。左前胸部や頸部へは放散しません。

狭心症は安定狭心症(労作性)、不安定狭心症、異型狭心症(冠攣縮性)に分類されます。不安定狭心症は急性心筋梗塞に移行する危険があり、急性冠症候群(ACS)として緊急対応が必要です。放散痛が20分以上持続しニトログリセリンで改善しない場合は心筋梗塞を疑い、心電図・心筋トロポニン測定を行います。放散痛は内臓痛が脊髄後角で皮膚分節に伝わる関連痛として説明されます。

胸痛の放散パターンから虚血性心疾患を識別できるかを問う問題で、臨床での鑑別診断に直結します。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。