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下垂足の正体!腓骨神経麻痺を見抜くアセスメントのコツ

看護師国家試験 第115午前54

国試問題にチャレンジ

115午前54

腓骨神経麻痺のアセスメントで観察するのはどれか。

  1. 1.膝関節の屈曲
  2. 2.足関節の背屈
  3. 3.膝窩の知覚鈍麻
  4. 4.足底の知覚鈍麻

対話形式の解説

博士博士
今日は『腓骨神経麻痺』について学ぶぞ。臨床で本当によく出会う末梢神経障害じゃ。
サクラサクラ
腓骨神経って、どこを走っている神経でしたっけ?
博士博士
腓骨神経は坐骨神経から枝分かれして、膝の外側下方にある『腓骨頭』のあたりをぐるりと回り込むように走っておる。ここは骨が皮膚のすぐ下にあって、圧迫されやすい場所なんじゃ。
サクラサクラ
あっ、だから長時間の側臥位とかでよく麻痺が起きるんですね!
博士博士
その通り!手術中の体位や、ギプス、弾性ストッキング、長時間同じ姿勢で寝ていたりすると圧迫されて麻痺が起こる。臨床では超頻出の合併症じゃよ。
サクラサクラ
じゃあ麻痺が起きるとどんな症状が出るんですか?
博士博士
腓骨神経は『足関節の背屈』『足趾の伸展』『足の外反』を担う筋肉を支配しておる。これがやられると、足首を上に持ち上げられなくなる『下垂足(drop foot)』が出るのじゃ。
サクラサクラ
つま先が下を向いたまま上がらなくなる、ということですか?
博士博士
そうじゃ。歩こうとするとつま先が地面に引っかかるから、代償として膝を高く上げて歩くようになる。これを『鶏歩(けいほ)』というんじゃ。鶏が歩く姿に似ているから、そう呼ばれておる。
サクラサクラ
なるほど!じゃあアセスメントでは『足関節の背屈』ができるかを見ればいいんですね。だから選択肢2が正解…!
博士博士
お見事じゃ。膝関節の屈曲はハムストリングス=坐骨神経本幹の働きじゃから腓骨神経麻痺では保たれる。膝窩や足底の感覚は脛骨神経の支配領域なので、腓骨神経麻痺の評価には使えないのじゃ。
サクラサクラ
感覚はどこを見ればいいんですか?
博士博士
腓骨神経の感覚領域は『下腿の外側』と『足背』じゃ。ここのしびれや知覚鈍麻を確認するのじゃよ。運動と感覚をセットで覚えると忘れにくい。
サクラサクラ
脛骨神経麻痺とは、ちょうど反対の関係になるんですね。
博士博士
鋭いのう。脛骨神経は足底屈・足趾屈曲・足底感覚を担うから、ちょうど対になる関係じゃ。腓骨は『背屈+足背』、脛骨は『底屈+足底』とペアで覚えるとよい。
サクラサクラ
病棟で予防するためのケアって、どんなことに気をつければいいですか?
博士博士
長期臥床の患者さんでは、腓骨頭への圧迫を避けることが鉄則じゃ。側臥位の時は下になる足の下にクッションを入れたり、定期的な体位変換を行ったり、ギプスや弾性ストッキングの装着部位を観察したりするのが大切じゃ。早期発見のためには『足首が動くか』『足背のしびれはないか』を毎日チェックすることじゃな。
サクラサクラ
ありがとうございます!運動と感覚、両方の視点でアセスメントすることが大事なんですね。

POINT

腓骨神経の運動・感覚支配領域を理解しているかを問う問題。腓骨神経麻痺=下垂足(足関節背屈障害)+足背の感覚障害、というキーワードを押さえれば確実に解答できる。

解答・解説

正解は2です

問題文:腓骨神経麻痺のアセスメントで観察するのはどれか。

解説:正解は 2 です。腓骨神経(総腓骨神経)は坐骨神経から分岐し、膝のやや外側下方で腓骨頭の周囲を回り込むように走行します。この部位は皮膚直下に骨があるため圧迫を受けやすく、長時間の同一体位(側臥位での下肢の圧迫、ギプス固定、下肢交差位など)で容易に神経麻痺をきたします。腓骨神経は前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋・腓骨筋群など、足関節の背屈と足趾の伸展、足の外反を担う筋群を支配し、感覚は下腿外側および足背を支配しています。腓骨神経麻痺が起こると、これらの筋が機能不全に陥り、足関節背屈が困難となる「下垂足(drop foot)」が出現します。歩行時にはつま先が引っかかり、代償的に膝を高く上げる鶏歩(けいほ:steppage gait)がみられます。したがってアセスメントでは「足関節の背屈」を観察することが最も適切です。

選択肢考察

  1. ×1.  膝関節の屈曲

    膝関節の屈曲はハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)の働きであり、これらは主に坐骨神経の本幹(脛骨神経枝を含む)に支配されている。腓骨神経麻痺では膝屈曲は通常保たれる。

  2. 2.  足関節の背屈

    前脛骨筋などの足関節背屈筋群は腓骨神経(深腓骨神経)支配であり、麻痺すると背屈不能となって下垂足を呈する。腓骨神経麻痺の最も典型的かつ早期に把握できる運動障害であり、アセスメントの第一選択となる。

  3. ×3.  膝窩の知覚鈍麻

    膝窩部(膝の裏側)の感覚は脛骨神経や大腿後皮神経などが関与しており、腓骨神経の支配領域ではない。腓骨神経の感覚障害は下腿外側〜足背に出現するため、膝窩の知覚を評価しても腓骨神経麻痺の所見は得られない。

  4. ×4.  足底の知覚鈍麻

    足底の感覚は脛骨神経(およびその枝である内側・外側足底神経)が支配している。腓骨神経の感覚領域は足背であり、足底の感覚評価では腓骨神経麻痺を捉えることはできない。

腓骨神経麻痺は臨床で頻度の高い末梢神経障害であり、看護師にとって予防と早期発見が重要なテーマである。原因としては、(1)長時間の側臥位による腓骨頭部の圧迫、(2)下肢交差位での圧迫、(3)ギプス・弾性ストッキング・下肢牽引などによる外的圧迫、(4)膝関節周辺の外傷・手術後、などが挙げられる。観察ポイントは「運動:足関節背屈・足趾伸展・足の外反ができるか」「感覚:下腿外側〜足背のしびれ・知覚鈍麻の有無」の2点。覚え方は「腓骨神経=『ヒッ』とつま先が上がらない+足背しびれ」。脛骨神経麻痺との対比で押さえると整理しやすく、脛骨神経麻痺では足底屈・足趾屈曲が障害され、足底の感覚が低下する。長期臥床患者では、踵や下肢の体位を1〜2時間ごとに変え、腓骨頭の圧迫を避けるよう枕やクッションを工夫することが予防の基本となる。

腓骨神経の運動・感覚支配領域を理解しているかを問う問題。腓骨神経麻痺=下垂足(足関節背屈障害)+足背の感覚障害、というキーワードを押さえれば確実に解答できる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。