StudyNurse

帯の形に走るピリピリ痛!水ぼうそうが何十年後に甦る理由

看護師国家試験 第112午後30

国試問題にチャレンジ

112午後30

帯状疱疹(herpes zoster)について正しいのはどれか。

  1. 1.運動神経麻痺は生じない。
  2. 2.感染の既往として水痘(varicella)がある。
  3. 3.ウイルスは発症後1か月で消滅する。
  4. 4.単純ヘルペスウイルスの感染が原因である。

対話形式の解説

博士博士
今日は帯状疱疹について学ぶぞ。高齢化とともに患者数が増えておる身近な疾患じゃ。
サクラサクラ
帯状疱疹って、帯のように発疹が出る病気ですよね?
博士博士
そうじゃ。片側性にデルマトーム、つまり一本の神経が支配する皮膚領域に沿って、紅斑と水疱が帯状に出現する。胸や腰に多いが、顔面や眼、耳にも出る。
サクラサクラ
原因は何ですか?
博士博士
水痘・帯状疱疹ウイルス、略してVZVじゃ。HHV-3とも呼ばれるヘルペスウイルス科の1つ。単純ヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2)とは別物じゃ。
サクラサクラ
水ぼうそうと同じウイルスなんですか?
博士博士
その通り!これがポイントじゃ。子どものころ初めてVZVに感染すると水痘(水ぼうそう)を発症する。治ったあとウイルスは消えずに脊髄後根神経節や脳神経節に潜伏を続ける。
サクラサクラ
潜伏って、ずっと体の中にいるんですか?
博士博士
そうじゃ。生涯消えない。何十年も静かに眠っていて、加齢・疲労・ストレス・免疫抑制薬・悪性腫瘍などで免疫力が落ちたときに再活性化し、神経を伝って皮膚に出てくる。これが帯状疱疹じゃ。
サクラサクラ
だから水痘にかかったことがない人は帯状疱疹にならないんですね。
博士博士
その通り。水痘の既往、もしくは水痘ワクチン接種歴がなければVZVが体内にいないので帯状疱疹は起こらない。
サクラサクラ
症状は発疹だけですか?
博士博士
いいや。発疹より数日〜1週間早く、前駆痛と呼ばれる神経痛様のピリピリした痛みが出る。皮疹が出てから診断に至るケースが多いが、この前駆痛だけで受診することもある。
サクラサクラ
運動神経の麻痺は起きるんですか?
博士博士
選択肢1は『運動神経麻痺は生じない』とあるが、これは誤り。主に知覚神経が侵されるが、脊髄前根や脳神経に及ぶと運動麻痺も起こる。顔面神経と聴神経が冒されるRamsay Hunt症候群では顔面神経麻痺と耳介水疱、難聴や眩暈を合併する。
サクラサクラ
治療はどうするんですか?
博士博士
抗ウイルス薬じゃ。アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、比較的新しいアメナメビルなど。皮疹出現から72時間以内に開始するのが重要で、早いほど痛みや後遺症を軽減できる。
サクラサクラ
後遺症で気になるのは?
博士博士
帯状疱疹後神経痛(PHN)じゃ。皮疹が治ったあとも強い痛みが何か月も続くことがある。50歳以上で起こりやすく、プレガバリンや三環系抗うつ薬で管理する。
サクラサクラ
予防できるんですか?
博士博士
できる。組換え帯状疱疹ワクチン『シングリックス』が50歳以上に推奨されておる。予防効果が高く、PHN予防効果も期待できる。水痘生ワクチンも帯状疱疹予防に用いられる。
サクラサクラ
看護ケアで気をつけることは?
博士博士
水疱の内容にはVZVが含まれておる。水痘未罹患・未ワクチン接種者に接触感染させれば水痘を起こすので、妊婦、乳幼児、免疫抑制患者との接触を避ける必要がある。看護師も自身のワクチン接種歴を確認しておくことじゃ。
サクラサクラ
原因ウイルス、再活性化のしくみ、合併症、予防までしっかり押さえました!

POINT

帯状疱疹の原因ウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)、水痘との関係(初感染=水痘、再活性化=帯状疱疹)、ウイルスの神経節潜伏、運動神経麻痺の可能性を問う問題。

解答・解説

正解は2です

問題文:帯状疱疹(herpes zoster)について正しいのはどれか。

解説:正解は 2 の『感染の既往として水痘(varicella)がある』です。帯状疱疹は幼少期などに水痘(みずぼうそう)に罹った際、治癒後も神経節に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が、加齢・疲労・免疫低下などで再活性化して発症する疾患です。つまり水痘の既往がなければ帯状疱疹は起こりません。

選択肢考察

  1. ×1.  運動神経麻痺は生じない。

    主に知覚神経が障害されるが、重症例では脊髄前根や脳神経が侵され運動神経麻痺も起こる。顔面神経・聴神経が障害されるRamsay Hunt症候群では顔面神経麻痺・難聴・耳介の水疱が出現する。

  2. 2.  感染の既往として水痘(varicella)がある。

    VZVの初感染が水痘、治癒後に脊髄後根神経節や脳神経節に潜伏したウイルスが免疫低下で再活性化して発症するのが帯状疱疹である。

  3. ×3.  ウイルスは発症後1か月で消滅する。

    VZVは神経節に生涯潜伏し続け、皮疹が治った後も消滅しない。再活性化を繰り返すこともある。

  4. ×4.  単純ヘルペスウイルスの感染が原因である。

    原因は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV、HHV-3)。単純ヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2)は口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因で、別のウイルス。

帯状疱疹は片側性にデルマトーム(神経支配領域)に沿って帯状の紅斑と水疱が現れるのが特徴で、胸髄〜腰髄領域に多い。前駆痛として数日〜1週間の神経痛様疼痛があり、皮疹出現後72時間以内の抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビル)投与が治療の基本。50歳以上では皮疹治癒後も強い疼痛が残る帯状疱疹後神経痛(PHN)が起きやすく、鎮痛薬・プレガバリン・三環系抗うつ薬などで管理する。予防として、水痘生ワクチンや組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス)が50歳以上に推奨される。水疱内容にはVZVが含まれ、水痘未罹患・未接種者には水痘を発症させるため、接触感染対策(特に小児・妊婦・免疫抑制患者との接触回避)が必要。

帯状疱疹の原因ウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)、水痘との関係(初感染=水痘、再活性化=帯状疱疹)、ウイルスの神経節潜伏、運動神経麻痺の可能性を問う問題。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。