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上腹部手術後の無気肺を防ごう

看護師国家試験 第113午前87

国試問題にチャレンジ

113午前87

全身麻酔下で胃全摘出術を受ける患者に対する無気肺(atelectasis)の予防法はどれか。2つ選べ。

  1. 1.腹帯の装着
  2. 2.抗菌薬の使用
  3. 3.ハフィング法
  4. 4.弾性ストッキングの装着
  5. 5.インセンティブ・スパイロメトリーの使用

対話形式の解説

博士博士
胃全摘後は無気肺が起こりやすいのじゃ。なぜだと思う。
サクラサクラ
創部痛で深呼吸がしにくくなるからでしょうか。
博士博士
その通り、横隔膜の動きも鈍り肺胞が虚脱しやすいのじゃ。
サクラサクラ
予防には腹帯が効きますか。
博士博士
腹帯は創部保護が目的で、むしろ締めすぎると呼吸を妨げることもある。
サクラサクラ
抗菌薬で予防できないのでしょうか。
博士博士
無気肺は感染ではなく肺胞の虚脱が原因じゃから抗菌薬は効かぬ。
サクラサクラ
ハフィング法とはどのような方法ですか。
博士博士
声門を開けたままハッハッと短く息を吐く排痰法じゃ。末梢の痰を中枢に動かせるぞ。
サクラサクラ
インセンティブ・スパイロメトリーの目的は何ですか。
博士博士
深吸気を視覚化して肺胞を膨らませる訓練器具じゃ。術前から練習させるのが大事じゃよ。
サクラサクラ
弾性ストッキングは無気肺予防には関係ないのですか。
博士博士
あれは深部静脈血栓症の予防じゃ。目的を混同してはならぬ。
サクラサクラ
術後の体位や離床も大切ですね。
博士博士
うむ、頭高位と早期離床、そして十分な鎮痛で深呼吸を支えるのが看護じゃ。

POINT

上腹部手術後の代表的合併症である無気肺の発生機序を理解し、呼吸リハビリによる予防策を選択できるかを問う問題です。

解答・解説

正解は3です

問題文:全身麻酔下で胃全摘出術を受ける患者に対する無気肺(atelectasis)の予防法はどれか。2つ選べ。

解説:正解は3と5です。無気肺は術後48時間以内に発生しやすい呼吸器合併症で、気道分泌物の貯留と肺胞虚脱を防ぐハフィング法とインセンティブ・スパイロメトリーが予防の中心となります。

選択肢考察

  1. ×1.  腹帯の装着

    腹帯は創部の保護や離床時の疼痛軽減を目的とする補助具で、肺胞虚脱の予防効果はありません。むしろ過度に締めると深呼吸を妨げ無気肺を助長する懸念もあります。

  2. ×2.  抗菌薬の使用

    抗菌薬は手術部位感染(SSI)予防のため執刀前に投与されますが、無気肺は感染症ではなく肺胞の虚脱が本態のため抗菌薬投与では予防できません。

  3. 3.  ハフィング法

    声門を開いたまま「ハッハッ」と強く短く呼気を行う排痰法で、末梢気道の分泌物を中枢に移動させ喀出を促します。疼痛が強い術後でも実施しやすく肺胞虚脱予防に有効です。

  4. ×4.  弾性ストッキングの装着

    弾性ストッキングは下肢の静脈還流を促し深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症を予防する器具で、無気肺の予防とは目的が異なります。

  5. 5.  インセンティブ・スパイロメトリーの使用

    深吸気を視覚的指標で促す自己管理型の呼吸訓練器具で、肺胞を持続的に膨張させることで虚脱を防ぎます。術前から練習させると術後のコンプライアンスが高まります。

上腹部手術では横隔膜機能低下と創部痛により浅い呼吸になりやすく無気肺が頻発します。術後は頭高位の体位、早期離床、十分な鎮痛、含嗽・口腔ケアを組み合わせて予防を図ります。SpO2低下や副雑音の聴取に早期に気づくことも看護師の重要な役割です。

上腹部手術後の代表的合併症である無気肺の発生機序を理解し、呼吸リハビリによる予防策を選択できるかを問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。