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半座位で頸静脈怒張=右心不全 ―左右で違ううっ血所見を整理する

看護師国家試験 第114回 午後 第37問

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第37問

半座位で頸静脈怒張がみられるのはどれか。

  1. 1.右心不全(right heart failure)
  2. 2.広範囲熱傷(extensive burns)
  3. 3.大動脈瘤破裂(ruptured aortic aneurysm)
  4. 4.アナフィラキシーショック(anaphylactic shock)

対話形式の解説

博士博士
今日は循環器の症候学、頸静脈怒張がみられる病態を考えるぞ。半座位という条件がポイントじゃ。
サクラサクラ
半座位ってベッドを45度くらい起こした姿勢ですよね?
博士博士
その通り。立位や座位では正常でも頸静脈は虚脱して見えにくいが、半座位で怒張が残るなら中心静脈圧が高い証拠じゃ。
サクラサクラ
中心静脈圧が高い状態って、どんなときですか?
博士博士
右房に血液がうっ滞しておる状態。代表が右心不全じゃ。右室から肺動脈へ血液を送り出せないと、右房圧が上がり、全身静脈にも逆流して頸静脈が膨らむ。
サクラサクラ
他の症状も出ますか?
博士博士
肝腫大、下腿浮腫、腹水、体重増加、肝頸静脈逆流などじゃ。これらは「体循環うっ血」のサインで、右心不全の典型像じゃぞ。
サクラサクラ
左心不全とはどう違うんですか?
博士博士
左心不全は肺に血液が滞るので「肺うっ血」が主体。起座呼吸、湿性ラ音、ピンク色泡沫状痰、酸素化低下が特徴。両者を表で対比して覚えると整理しやすい。
サクラサクラ
選択肢の他の3つはどうしてダメなんですか?
博士博士
広範囲熱傷では毛細血管透過性が亢進して血漿が漏出する。循環血液量が減って中心静脈圧は下がるから、頸静脈は虚脱する。
サクラサクラ
大動脈瘤破裂は?
博士博士
大量出血で循環血液量減少性ショック。低血圧・頻脈・末梢冷感が現れ、頸静脈は逆に虚脱しておる。
サクラサクラ
アナフィラキシーショックは?
博士博士
ヒスタミン放出で末梢血管が拡張する血液分布異常性ショックじゃ。相対的に循環血液量が足りなくなり、中心静脈圧は低下する。
サクラサクラ
頸静脈怒張の評価方法はあるんですか?
博士博士
半座位で内頸静脈の拍動最高点を見て、胸骨角からの垂直距離を測る。4cm以上で異常じゃ。
サクラサクラ
看護では何に気を配ればいいですか?
博士博士
水分・塩分制限、毎日の体重・尿量測定、酸素療法、起座位やファーラー位での安楽確保、心負荷を増やす動作の回避じゃ。心不全手帳を使ったセルフケア教育も重要じゃぞ。
サクラサクラ
症状から心臓のどの部分が弱っているか推理できるんですね。

POINT

右心不全のうっ血徴候として頸静脈怒張が出現する機序を問う問題。「右心不全=体循環うっ血」「左心不全=肺うっ血」の対比を整理しておくと解きやすい。

解答・解説

正解は1です

問題文:半座位で頸静脈怒張がみられるのはどれか。

解説:正解は 1 です。半座位(45度ファーラー位)で頸静脈が怒張するのは中心静脈圧が高い状態を示し、最も典型的なのが右心不全である。右心不全では右室から肺動脈への駆出がうまくいかず、右房圧と全身静脈圧が上昇し、半座位でも内頸静脈の拍動・怒張、肝腫大、下腿浮腫、腹水、体重増加などのうっ血徴候が現れる。広範囲熱傷・大動脈瘤破裂・アナフィラキシーショックはいずれも循環血液量や血管抵抗の低下によりむしろ中心静脈圧が下がるため、頸静脈怒張は見られない。

選択肢考察

  1. ○1.  右心不全(right heart failure)

    右心の駆出障害により右房圧と中心静脈圧が上昇し、頸静脈怒張・肝腫大・下肢浮腫・腹水などの体循環うっ血所見が出現する。半座位でも怒張が残れば右心不全の重要な指標となる。

  2. ×2.  広範囲熱傷(extensive burns)

    毛細血管透過性亢進により血漿成分が血管外へ漏出し、循環血液量減少性ショックを呈する。中心静脈圧は低下し、頸静脈怒張ではなく虚脱が見られる。

  3. ×3.  大動脈瘤破裂(ruptured aortic aneurysm)

    大量出血により循環血液量減少性ショックとなり、中心静脈圧は低下、頻脈・低血圧・末梢冷感・意識障害などが出現する。頸静脈はむしろ虚脱する。

  4. ×4.  アナフィラキシーショック(anaphylactic shock)

    ヒスタミン放出による末梢血管拡張で血液分布異常性ショックとなり、相対的循環血液量低下を呈する。中心静脈圧は低下するため頸静脈怒張は典型的でない。

心不全は左右で症状が異なる。左心不全では肺うっ血が主体で、起座呼吸、湿性ラ音、ピンク色泡沫状痰、PaO2低下が特徴。右心不全では体循環うっ血が主体で、頸静脈怒張、肝腫大(圧痛・肝頸静脈逆流)、下腿浮腫、腹水、体重増加が特徴。両心不全はこれらが合併する。頸静脈圧の評価では、半座位(30〜45度)で胸骨角の上方何センチまで内頸静脈の拍動が見えるかを測定し、4cm以上を異常とする。看護では水分・塩分制限、体重と尿量の毎日測定、酸素療法、安楽な体位(起座位やファーラー位)、心負荷を増やす動作の回避、心不全手帳を活用したセルフケア教育などが重要となる。

右心不全のうっ血徴候として頸静脈怒張が出現する機序を問う問題。「右心不全=体循環うっ血」「左心不全=肺うっ血」の対比を整理しておくと解きやすい。