退院3か月後の便秘—薬より先に整えるべきは「食卓」
看護師国家試験 第114回 午前 第93問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞(cerebral infarction)で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。
退院から3か月後、Aさんはテレビを見て過ごす時間が多くなった。「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」と言い「退院したころは毎日排便があったのに、最近便秘気味ですっきりしないんです」と訴えた。 訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 1.食事内容を見直す。
- 2.腹部の温罨法を勧める。
- 3.市販の浣腸液の使用を勧める。
- 4.主治医に緩下薬の処方を相談する。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラPOINT
在宅高齢者の便秘に対する初期対応として、薬剤や浣腸ではなく生活習慣の見直しを優先するという原則を問う問題。
解答・解説
正解は1です
問題文:退院から3か月後、Aさんはテレビを見て過ごす時間が多くなった。「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」と言い「退院したころは毎日排便があったのに、最近便秘気味ですっきりしないんです」と訴えた。 訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。Aさんは活動量の低下と食事内容の単調化が同時に起きており、食物繊維や水分の摂取不足、腸蠕動の低下が便秘の主因と推察されます。便秘への対応は、まず非薬物的アプローチとして食事内容の見直し、水分摂取、運動、排便習慣の調整から始めるのが原則です。食事を整えることで生活全体の活動性回復にもつながり、薬剤に頼らず根本的に改善できる可能性が高くなります。
選択肢考察
- ○1. 食事内容を見直す。
Aさん自身が「同じものばかり作っている」と訴えており、食事の偏りと食物繊維・水分不足が便秘の引き金として最も疑われる。生活習慣改善は薬物療法より優先される非侵襲的な第一選択であり、活動量低下への介入の糸口にもなる。
- ×2. 腹部の温罨法を勧める。
温罨法は腸蠕動を促す補助的方法だが、便秘の根本原因である食事内容や活動量に介入しないため、第一選択にはならない。腹部膨満や腹痛の訴えがある場合に併用するのが一般的である。
- ×3. 市販の浣腸液の使用を勧める。
浣腸は一時的な対処法で、習慣化すると排便反射が低下する。さらに急激な排便誘発で迷走神経反射による血圧低下を起こすことがあり、降圧薬内服中のAさんには特に注意を要するため、看護師が独自に勧めるのは不適切である。
- ×4. 主治医に緩下薬の処方を相談する。
緩下薬の使用は生活習慣の見直しで改善しなかった場合の次の段階。最初から薬剤に頼ると本人の生活改善の機会を失い、副作用リスクも増えるため、まず食事・運動・排便習慣の調整を試みる。
高齢者の便秘は、加齢による腸蠕動低下、活動量減少、食事量・水分量の減少、薬剤(降圧薬・抗コリン薬・鉄剤など)、骨盤底筋の機能低下など多因子で起こる。看護師はまずブリストルスケールで便性状を確認し、食事(食物繊維20g/日目安・水分1500mL前後)、運動(散歩・腹筋運動)、排便習慣(食後のトイレ習慣・腹圧のかけ方)を整える。それでも改善しなければ酸化マグネシウムなど浸透圧性下剤、刺激性下剤、漢方薬などへ段階的に進む。Aさんの場合は活動量低下が背景にあるため、配食サービスや通所サービスの利用検討も支援の一環となる。
在宅高齢者の便秘に対する初期対応として、薬剤や浣腸ではなく生活習慣の見直しを優先するという原則を問う問題。
「在宅慢性疾患ケア」の関連問題
地域連携クリニカルパスとは?急性期から在宅までを一本の道でつなぐ仕組み
地域連携クリニカルパスの目的は、急性期から回復期、在宅までの医療を切れ目なく連続させるための情報共有と標準化にある。回復期病院の役割は、急性期の治療内容を引き継ぎ、連続した医療を提供することであると患者に説明できるかを問う問題。
115回(状況設定)
在宅で感染性胃腸炎が起きたら?訪問看護師がまずやるべきこと
感染性胃腸炎は接触(糞口)感染が主体であり、在宅における感染拡大予防の基本は石鹸と流水による手洗い。麻痺や失語のある独居高齢者では手洗い手技を実地で確認し、家族・介護職と連携して感染対策を講じる視点が問われている。
115回(状況設定)
失語症のAさんと家族をつなぐ言葉のかけ方 ―在宅で生かすコミュニケーション支援
脳血管障害後の失語症患者と家族へのコミュニケーション支援の原則を問う問題。「短く・ゆっくり・具体的に・非言語も活用」が基本で、聞き返しや訂正は逆効果になりやすい。
115回(状況設定)
片麻痺の高齢者が転びそうになった—訪問看護師が真っ先に確かめるのは「健側の力」
片麻痺で杖歩行する高齢者の在宅転倒予防において、最初に評価すべき身体機能を問う問題。健側の筋力が転倒回避の要であることを押さえる。
114回(状況設定)
「排泄だけは自立したい」—自尊心を守る尿失禁ケアの第一歩
自立心の強い在宅高齢者の尿失禁に対し、自立を維持できる行動療法的アプローチを選ぶ問題。本人の希望を尊重した支援の優先順位を理解する。
114回(状況設定)
