地域連携クリニカルパスとは?急性期から在宅までを一本の道でつなぐ仕組み
看護師国家試験 第115回 午前 第91問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん(80歳、男性、要介護2)は1人で暮らしている。脳出血を発症し、急性期病院で地域連携クリニカルパスに沿って治療が行われた。軽度の右不全麻痺と失語があるため、回復期リハビリテーション病院に転院した。Aさんは自宅退院を希望している。退院後はかかりつけの診療所へ通院し、訪問看護と訪問介護を利用する予定である。
回復期リハビリテーション病院の看護師がAさんに行う地域連携クリニカルパスの説明で適切なのはどれか。
- 1.「診療計画を介護支援専門員に提供します」
- 2.「治療内容は急性期病院から引き継いでいます」
- 3.「退院後の介護サービスは医療ソーシャルワーカーが決めます」
- 4.「リハビリテーションの内容をお住まいの市町村に報告します」
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
地域連携クリニカルパスの目的は、急性期から回復期、在宅までの医療を切れ目なく連続させるための情報共有と標準化にある。回復期病院の役割は、急性期の治療内容を引き継ぎ、連続した医療を提供することであると患者に説明できるかを問う問題。
解答・解説
正解は2です
問題文:回復期リハビリテーション病院の看護師がAさんに行う地域連携クリニカルパスの説明で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。地域連携クリニカルパスとは、急性期病院・回復期リハビリテーション病院・かかりつけ医・在宅医療や介護サービスなど、複数の医療機関や事業所が患者の治療やケアを切れ目なく連続させるために共有する診療計画書のことです。脳卒中・大腿骨頸部骨折・がん・心不全などで広く運用されており、一つの病態に対して急性期から在宅復帰までの標準的な治療スケジュール・到達目標・評価指標があらかじめ示されています。Aさんは急性期病院で脳出血の治療を受け、軽度の右不全麻痺と失語が残った状態で回復期リハビリテーション病院に転院しました。この場面で回復期病院の看護師がAさん本人に説明すべき内容は、「急性期で行われた治療・経過・残された課題を、回復期チームが情報共有として引き継いでいるため、振り出しに戻るのではなく連続した医療として継続される」という、患者自身が安心して治療を受けられるための連続性の説明です。
選択肢考察
- ×1. 「診療計画を介護支援専門員に提供します」
地域連携クリニカルパスは多職種・多機関連携の枠組みであり、介護支援専門員(ケアマネジャー)と情報を共有する場面はあるが、パスの中核は「医療機関どうしの治療経過の連続性」であり、Aさんへの説明として「介護支援専門員への提供」が代表的内容となるわけではない。また、提供の範囲・タイミングは個別の同意や調整に基づくため、断定的にAさんへ伝えるのは適切でない。
- ○2. 「治療内容は急性期病院から引き継いでいます」
地域連携クリニカルパスの本質は、急性期から回復期、そして在宅までを「同じ診療計画書を共有して連続した医療を提供する仕組み」である。回復期リハビリテーション病院では、急性期病院での治療内容、神経学的所見、リハビリテーションの到達状況、合併症リスクなどをパスを通して引き継ぎ、それを土台にプログラムを継続する。Aさんに対しても、治療が断絶せず連続している安心感を伝えることが看護師の重要な役割であり、説明として最も適切である。
- ×3. 「退院後の介護サービスは医療ソーシャルワーカーが決めます」
退院後に利用する訪問看護や訪問介護などの介護サービスは、本人・家族の意向を中心に、要介護認定の結果に基づき介護支援専門員が作成するケアプランによって調整される。医療ソーシャルワーカー(MSW)は社会資源の情報提供や調整支援を担う重要な職種だが、サービス内容を単独で決定する立場ではない。本人の自己決定権を軽視する説明にもなりかねず不適切。
- ×4. 「リハビリテーションの内容をお住まいの市町村に報告します」
地域連携クリニカルパスでは情報共有先は主に連携する医療機関や介護事業所であり、市町村への個別のリハ内容報告がパスの説明として一般的に語られる内容ではない。要介護認定の更新等で主治医意見書の提出はあるが、それはパスの目的とは別の手続きである。
地域連携クリニカルパスは、2006年の診療報酬改定で大腿骨頸部骨折・脳卒中などを対象に評価され、現在は脳卒中、大腿骨頸部骨折、がん、心不全、糖尿病など多くの疾患で運用されている。急性期病院で発症直後の救命・原疾患治療、回復期リハビリテーション病棟で集中的なADL再獲得、そして維持期・生活期では訪問リハ・通所リハ・かかりつけ医による継続管理という流れを、一枚のパスシートと情報共有で結ぶ。脳卒中地域連携パスでは、発症から回復期入院、自宅退院、外来フォローまでの目標日数、ADLスコア(FIM等)、再発予防の指標などが盛り込まれる。Aさんのように要介護認定を受け、訪問看護・訪問介護を利用しながら自宅退院する高齢者では、医療と介護の両面で情報が共有されることで、転院や退院に伴う情報のロスを防ぎ、本人の安心と治療効果の最大化につながる。看護師は患者・家族に対して「あなたの治療やリハビリの情報は次の場所にしっかり引き継がれます」と説明し、不安を軽減することが大切である。
地域連携クリニカルパスの目的は、急性期から回復期、在宅までの医療を切れ目なく連続させるための情報共有と標準化にある。回復期病院の役割は、急性期の治療内容を引き継ぎ、連続した医療を提供することであると患者に説明できるかを問う問題。
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