StudyNurse

『説明されて納得して決める』を支える言葉~インフォームド・コンセントを理解する~

看護師国家試験 第115午後4 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午後4

患者が治療について十分な説明を受け、自己決定する権利の行使を支えるのはどれか。

  1. 1.ターミナルケア
  2. 2.ケアリング
  3. 3.コーピング
  4. 4.インフォームド・コンセント

対話形式の解説

博士博士
今日は患者さんの権利に関わる超基本問題じゃ。『患者が治療について十分な説明を受け、自己決定する権利の行使を支えるのはどれか』という設問じゃが、選択肢はターミナルケア、ケアリング、コーピング、インフォームド・コンセントの4つじゃ。学生さんはどれが正解だと思うかな?
サクラサクラ
えーと、自己決定する権利を支える…ですよね。なんとなくケアリングが優しそうで良さそうに思えるんですけど…どうでしょう?
博士博士
ふむ、響きで選んではいかんぞ。一つずつ意味を整理しよう。まず正解は4番のインフォームド・コンセントじゃ。これは『十分な説明を受けたうえでの同意』という意味で、医療者が病気の状態、検査や治療の内容、効果やリスク、代替手段、何もしなかった場合の見通しまでを患者にわかる言葉で説明し、患者がそれを理解して自分の意思で同意するか拒否するかを決めるプロセス全体を指すんじゃ。
サクラサクラ
なるほど、ただ『説明する』だけじゃなくて、患者さんが『わかって自分で決める』までが含まれるんですね。
博士博士
その通り。医療法第1条の4第2項でも『医療の担い手は適切な説明を行い、理解を得るよう努めなければならない』と規定されておる。つまり法的にも裏付けられた概念なんじゃ。看護師は患者が本当に理解できているか確認し、迷いや疑問を表出できる場をつくる『アドボケーター(権利擁護者)』としての役割を持つぞ。
サクラサクラ
他の選択肢も気になります。ターミナルケアはどうして違うんですか?
博士博士
ターミナルケアは終末期にある患者の身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛を和らげ、QOLを保つための包括的ケアじゃ。大切な概念じゃが『説明と同意』の仕組みそのものではないから違うのじゃ。
サクラサクラ
ケアリングは?
博士博士
ケアリングはワトソンやメイヤロフが提唱した、対象者を気遣い、その人らしさを尊重して関わる看護の姿勢・哲学を指す。看護の中核ではあるが、自己決定権を制度的に支える概念ではないんじゃ。
サクラサクラ
コーピングは聞いたことあります。ストレスのやつですよね。
博士博士
さすが。ラザルスとフォルクマンのストレス対処理論で、問題焦点型と情動焦点型に分けられる。患者自身がストレッサーへどう向き合うかという心理的プロセスで、医療者からの説明と患者の同意とは別の概念じゃな。
サクラサクラ
ところで、インフォームド・コンセントが成立するには何が必要なんですか?
博士博士
良い質問じゃ。4つの要件があるぞ。①患者に判断能力があること、②医療者から十分な情報開示があること、③患者がその情報を理解していること、④強制ではなく自発的な同意であること、じゃ。一つでも欠けると本当の同意とはいえん。
サクラサクラ
子どもや認知症の人みたいに、自分で判断するのが難しい場合はどうなるんですか?
博士博士
鋭いのう。小児では保護者の代諾だけでなく、本人の発達段階に応じて理解と賛意を得るインフォームド・アセントという考えが重視される。認知症などで判断能力が低下する成人では、元気なうちに本人の意向を確認しておくアドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)や事前指示が活用されるんじゃ。
サクラサクラ
同意したらもう変えられないんですか?
博士博士
いやいや、同意はいつでも撤回できるんじゃ。また治療の経過で状況が変われば、その都度説明し直して同意を取り直すのが原則じゃ。インフォームド・コンセントは1964年のヘルシンキ宣言、1981年のリスボン宣言で国際的に確立された患者の基本的権利なんじゃ。
サクラサクラ
『一度同意したら終わり』じゃなくて、ずっと続くプロセスなんですね。看護師としても患者さんが安心して質問できる雰囲気を作ることが大事ですね。

POINT

患者の自己決定権を制度的に保障する『十分な説明+理解+自発的同意』というプロセス、すなわちインフォームド・コンセントの定義を問うている。

解答・解説

正解は4です

問題文:患者が治療について十分な説明を受け、自己決定する権利の行使を支えるのはどれか。

解説:正解は4のインフォームド・コンセント(informed consent)。医療者が患者に病状・検査・治療方針・予測される効果と危険性・代替手段・予後などを患者の理解できる言葉で十分に説明し、患者がそれを理解・納得したうえで自らの意思で治療への同意または拒否を選択する一連のプロセスを指す。これは患者の自律尊重原則(自己決定権)を制度的に支える概念で、医療法第1条の4第2項では「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と規定されており、法的にも裏づけられている。看護師は患者が説明内容を正しく理解しているかを確認し、疑問や迷いを表出できるよう支援する権利擁護者(アドボケーター)としての役割を担う。

選択肢考察

  1. ×1.  ターミナルケア

    終末期にある患者の身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛の緩和を目的とした包括的ケアを指す。QOLの維持・向上に焦点を当てた終末期医療の概念であり、「説明と同意」によって自己決定権を支える仕組みそのものを示す用語ではないため誤り。

  2. ×2.  ケアリング

    ワトソンやメイヤロフらが提唱した、対象者を気遣い、その人らしい成長を支える看護の中核的姿勢を指す概念。患者との関係性や思いやりに重点を置くものであり、説明と同意による自己決定権の行使を制度的に支える仕組みを表す用語ではないため誤り。

  3. ×3.  コーピング

    ラザルスとフォルクマンが提唱したストレス対処行動の概念で、問題焦点型と情動焦点型に大別される。患者本人がストレッサーへどう対処するかを表す心理学用語であり、医療者からの説明と患者の同意によって自己決定を支えるプロセスとは異なるため誤り。

  4. 4.  インフォームド・コンセント

    「十分な説明を受けたうえでの同意」を意味し、医療者の十分な説明と患者の理解・自由意思に基づく同意(または拒否)を要件とする。患者の自己決定権の行使を直接支える概念であり、医療法・医療倫理の基本原則として位置づけられているため正解。

インフォームド・コンセントの4要件は (1)患者に判断能力があること、(2)医療者から十分な情報開示があること、(3)患者がその情報を理解していること、(4)強制ではなく自発的な同意であること。判断能力が不十分な小児では保護者の代諾に加え本人の理解と賛意を得るインフォームド・アセントが重視され、認知症など判断能力が低下した成人では事前指示(アドバンス・ディレクティブ)やACP(アドバンス・ケア・プランニング)が活用される。説明と同意は一度だけでなく治療経過に応じて繰り返し行うべきで、患者は同意後でも撤回できる点も重要。1964年のヘルシンキ宣言、1981年のリスボン宣言で国際的に確立された。

患者の自己決定権を制度的に保障する『十分な説明+理解+自発的同意』というプロセス、すなわちインフォームド・コンセントの定義を問うている。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。