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意思決定が困難な成人患者の代理意思決定の基本を学ぼう

看護師国家試験 第115午前48

国試問題にチャレンジ

115午前48

意思決定が困難な成人患者の代理意思決定で適切なのはどれか。

  1. 1.意思決定者を医療者が指名する。
  2. 2.患者の意思を推定して判断する。
  3. 3.意思決定した内容は変更できない。
  4. 4.意思決定者に親しい友人は含まれない。

対話形式の解説

博士博士
今日は代理意思決定について一緒に考えてみよう。意識障害や認知症などで本人が自分の治療を決められないとき、誰がどう決めるかという問題じゃ。
サクラサクラ
はい博士。家族が決めるんですよね?でも家族なら何を決めてもいいんでしょうか?
博士博士
いい質問じゃな。実は代理意思決定には大事な順序があって、まず第一に『本人ならどう望むか』を推定することが基本になるのじゃ。これを推定意思とかsubstituted judgmentと呼ぶ。
サクラサクラ
推定意思…つまり本人が普段話していたことや、価値観から考えるということですか?
博士博士
その通り。たとえば『延命治療は望まない』と前から話していたとか、『最後まで自宅で過ごしたい』と言っていた、といった本人の言葉や生き方から判断するのじゃ。
サクラサクラ
もし本人がそういう話を一度もしていなかった場合はどうなりますか?
博士博士
そのときは第二段階として『本人にとっての最善の利益(best interest)』を家族と医療チームで話し合って判断する。あくまで推定意思が優先で、それが無理なら最善利益、という二段階構造じゃな。
サクラサクラ
なるほど。ところで代理人になれるのは家族だけですか?
博士博士
いや、必ずしも法的な親族に限らないのじゃ。本人の価値観をよく知っている親しい友人やパートナーが加わることもある。単身者の場合は特にそうした人の存在が大切になる。
サクラサクラ
では、医療者が『この人を代理人にします』と指名することはあるんですか?
博士博士
それはしない。医療者の役割は話し合いの場を整えて医学的情報を提供することで、代理人を一方的に決めるのは適切ではないのじゃ。
サクラサクラ
一度決めた治療方針は途中で変えてもいいんでしょうか?
博士博士
もちろん変えてよい。病状や状況が変われば、繰り返し話し合って見直すのが本来の姿じゃ。これがアドバンス・ケア・プランニング、いわゆる人生会議の考え方なのじゃ。
サクラサクラ
推定意思を中心に、繰り返し話し合うことが大事なんですね。よく分かりました。

POINT

代理意思決定の二段階原則(推定意思→最善の利益)と、本人の価値観を最重視する姿勢を理解しているかを問う問題です。

解答・解説

正解は2です

問題文:意思決定が困難な成人患者の代理意思決定で適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。代理意思決定(surrogate decision making)とは、意識障害や認知機能の低下、重篤な疾患などにより、患者本人が自らの治療やケアについて意思を表明することが困難な状況において、家族や代理人が本人に代わって医療上の決定を行うプロセスを指します。その基本原則は二段階で考えられており、まず第一に「本人の意思を推定する(substituted judgment)」、それでも推定が不可能な場合に第二段階として「本人にとっての最善の利益(best interest)」を判断する、という順序が国際的にも合意されています。本人がこれまでどのような価値観で生きてきたか、過去にどのような発言をしていたか、リビングウィルやアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の内容があるかなどを家族と医療者が共有し、「本人ならどう選ぶか」を中心に据えて検討することが、代理意思決定における最も重要な姿勢です。

選択肢考察

  1. ×1.  意思決定者を医療者が指名する。

    代理意思決定者は医療者が一方的に指名するものではありません。原則として、本人が事前に指名した代理人や、本人の価値観をよく理解している家族・近しい人が候補となります。医療者の役割は、適切な代理人と話し合いの場を整え、医学的情報を分かりやすく提供して合意形成を支援することです。

  2. 2.  患者の意思を推定して判断する。

    代理意思決定の基本は「本人の推定意思の尊重」です。本人がこれまでに語っていた希望、生き方、価値観、信念などから「本人ならこの状況でどう判断するか」を推定し、その意思に沿った決定を行います。推定が困難な場合に限り、本人にとっての最善の利益を考える二段階の枠組みが取られます。

  3. ×3.  意思決定した内容は変更できない。

    代理意思決定の内容は固定的なものではなく、病状の進行や治療効果、本人の状態変化、新たな情報の追加などに応じて柔軟に見直すべきものです。むしろ繰り返し話し合い、必要に応じて修正していくプロセスそのものがアドバンス・ケア・プランニングの核心であり、一度決めたら変えられないという考え方は適切ではありません。

  4. ×4.  意思決定者に親しい友人は含まれない。

    代理意思決定者は法的な親族に限定されません。本人の価値観や希望をよく理解している親しい友人やパートナーなども、本人が信頼を寄せていた存在であれば話し合いに加わり得ます。家族関係が希薄なケースや単身者では、こうした「本人をよく知る人」の関与が本人の意思推定に不可欠となります。

厚生労働省の『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』では、本人の意思決定を基本としつつ、本人の意思確認が困難な場合は家族等が本人の意思を推定し、推定できないときは家族等と医療・ケアチームで本人にとって最善の方針を慎重に判断するとされています。アドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)は、こうした状況に備えて本人・家族・医療者が繰り返し話し合いを行い、本人の価値観や希望を共有しておく取り組みであり、代理意思決定の質を高める基盤となります。

代理意思決定の二段階原則(推定意思→最善の利益)と、本人の価値観を最重視する姿勢を理解しているかを問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。