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Wernicke野 vs Broca野 ― 「聞いて理解する脳」と「話す脳」を一発で見分けるコツ

看護師国家試験 第115午後13 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午後13

感覚性言語中枢はどれか。

  1. 1.視覚野
  2. 2.体性感覚野
  3. 3.Broca〈ブローカ〉野
  4. 4.Wernicke〈ウェルニッケ〉野

対話形式の解説

博士博士
今回は言語中枢の問題じゃ。「感覚性言語中枢はどれか」と聞かれておる。さて、どの選択肢が思い浮かぶかな?
サクラサクラ
えーと、視覚野、体性感覚野、Broca野、Wernicke野…。「感覚」とつくから、なんとなく体性感覚野かなって思っちゃいました。
博士博士
ふむ、引っかかりやすいポイントじゃな。ここでの「感覚性」は触覚や痛覚の感覚ではなく、「言語を受け取って理解する」という意味なのじゃ。つまり耳で聞いた言葉を意味としてキャッチする脳の部位、ということじゃよ。
サクラサクラ
あっ、なるほど!じゃあ正解はWernicke野ですか?確か側頭葉にあるって習った気がします。
博士博士
その通り、正解は4のWernicke野じゃ。優位半球の側頭葉上側、具体的には上側頭回の後ろのほうにあって、ブロードマンの22野と呼ばれる領域に当たる。聞いた音声や読んだ文字を「意味のある言葉」として解釈する役割を持っておる。
サクラサクラ
じゃあBroca野は何が違うんですか?
博士博士
Broca野は前頭葉の下のほう、下前頭回後部にある運動性言語中枢じゃ。こちらは「話す」ための口や舌、声帯の動きをプログラムする中枢。だからBroca野がやられると、頭ではわかっておるのに言葉がスムーズに出てこない非流暢性の失語になる。
サクラサクラ
つまり「Broca=話す係、Wernicke=理解する係」って覚えればいいんですね。
博士博士
うむ、その二項対比が国試では最重要じゃ。さらに発展じゃが、Wernicke失語の人は発話自体は流暢でペラペラ喋るんじゃ。ところが内容が「えっと、あれをそれして…」みたいに錯語だらけで意味が通じない。本人は会話が成立していると思っておるから、なお切ない。
サクラサクラ
えっ、自分が変なことを言っているって気づかないんですか?
博士博士
気づきにくいことが多い。「病識(自分の障害への気づき)」が乏しいのもWernicke失語の特徴じゃ。逆にBroca失語の患者さんは「言いたいのに出ない」という自覚があって、もどかしさからフラストレーションをためやすい。看護師はこの心理面のケアも大事じゃな。
サクラサクラ
Broca野とWernicke野って、何かで繋がっているんですか?
博士博士
鋭い質問じゃ。両者は「弓状束」という神経線維束で結ばれておる。この経路が断たれると、理解も発話もできるのに「復唱」だけが苦手な伝導失語という珍しいタイプが生じる。失語の評価は「流暢さ・理解・復唱」の3点セットで整理するのが鉄則じゃ。
サクラサクラ
視覚野や体性感覚野はそもそも言語と関係ないんですよね?
博士博士
視覚野は後頭葉で、目から入った光情報を像にする一次感覚野。体性感覚野は中心後回で、皮膚や深部の感覚を処理する。どちらも入口の感覚処理であって、言語理解の中枢ではない。文字を読むには視覚野→角回→Wernicke野という経路を通るので、視覚野は「入口」ではあるが「理解」自体は担わないのじゃ。
サクラサクラ
臨床ではどんな場面でこの知識が役立ちますか?
博士博士
最も多いのは脳梗塞、特に中大脳動脈領域の梗塞じゃ。発症直後に「言葉が出ない」「言っていることが噛み合わない」患者を見たら、まず失語のタイプを見極める。Broca失語の人にはYes/Noで答えられる閉じた質問や絵カードが有効、Wernicke失語の人には短く単純な言葉とジェスチャー、視覚的な手がかりを使うのが基本じゃ。
サクラサクラ
同じ「言葉が通じない」でも、対応の仕方が全然違うんですね。脳の場所を知っていると看護も変わってくる…奥が深いです。
博士博士
その通り。解剖と機能を結びつけて理解すると、目の前の患者さんの困りごとに合わせたケアが見えてくる。これが神経系を学ぶ醍醐味じゃよ。

POINT

言語中枢の機能局在を問う問題。「感覚性=聞いて理解する=Wernicke野(側頭葉)」「運動性=話す=Broca野(前頭葉)」の対比をしっかり区別できるかがカギ。

解答・解説

正解は4です

問題文:感覚性言語中枢はどれか。

解説:正解は 4 です。感覚性言語中枢はWernicke〈ウェルニッケ〉野と呼ばれ、優位半球(多くの場合は左半球)の側頭葉上側、上側頭回後部(ブロードマンの22野付近)に位置します。この領域は耳から入った言葉の音を「意味のある言語」として理解する役割を担い、相手の話した内容や文章を読んだ際の言語理解の中核を成します。Wernicke野が損傷されると、聞こえてはいるが意味が理解できない「感覚性失語(Wernicke失語)」が生じ、本人の発話は流暢でなめらかであっても、内容が意味不明で錯語(言い間違い)が混じる特徴を示します。

選択肢考察

  1. ×1.  視覚野

    視覚野は後頭葉(ブロードマン17野など)に位置し、網膜から入力された光情報を像として処理する一次感覚野である。文字を「見る」段階には関わるが、言語そのものを理解する中枢ではない。

  2. ×2.  体性感覚野

    体性感覚野は中心溝後方の頭頂葉(中心後回)に位置し、触覚・痛覚・温度覚・深部感覚など全身の体性感覚を処理する。言語の理解や産生には直接関与しない。

  3. ×3.  Broca〈ブローカ〉野

    Broca野は優位半球の前頭葉下部(下前頭回後部、ブロードマン44・45野)にあり、運動性言語中枢と呼ばれる。発話に必要な口や舌の運動プログラムを司り、損傷では「言いたいことはわかっているのに言葉が出にくい」非流暢な運動性失語をきたす。感覚性ではない。

  4. 4.  Wernicke〈ウェルニッケ〉野

    Wernicke野は優位半球の側頭葉上側(上側頭回後部、ブロードマン22野付近)にある感覚性言語中枢で、聞いた音声や読んだ文字を意味のある言語として解釈する役割を担う。損傷時には流暢ではあるが内容が支離滅裂な感覚性失語が出現する。

Broca野とWernicke野は、優位半球(右利きの約95%、左利きでも約7割が左半球)に存在し、両者は弓状束(arcuate fasciculus)という神経線維束で連結されている。この経路が障害されると、聞いて理解もでき発話もできるが「復唱」だけが障害される伝導失語が生じる。臨床では失語のタイプを「流暢性」「理解」「復唱」の3軸で評価すると整理しやすく、Wernicke失語は流暢◯・理解×・復唱×、Broca失語は流暢×・理解◯・復唱×、伝導失語は流暢◯・理解◯・復唱×という鑑別になる。脳血管障害(特に中大脳動脈領域の梗塞)で頻繁にみられ、看護では患者の言葉が出ない・通じない原因をアセスメントし、絵カードやジェスチャー、yes/noで答えられる閉じた質問の活用など、失語タイプに応じたコミュニケーション支援が求められる。

言語中枢の機能局在を問う問題。「感覚性=聞いて理解する=Wernicke野(側頭葉)」「運動性=話す=Broca野(前頭葉)」の対比をしっかり区別できるかがカギ。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。