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蝸牛のどこで低い音を聴く?コルチ器とトノトピーの仕組み

看護師国家試験 第115午後26

国試問題にチャレンジ

115午後26

蝸牛管頂部近くのCorti〈コルチ〉器で感知されるのはどれか。

  1. 1.高い音
  2. 2.低い音
  3. 3.大きい音
  4. 4.小さい音

対話形式の解説

博士博士
今日は耳の奥にある「蝸牛(かぎゅう)」のお話じゃ。カタツムリのような渦巻状の器官で、内部にコルチ器という音を感じるセンサーが並んでおる。
サクラサクラ
蝸牛って聞いたことはありますが、どこで高い音や低い音を聞き分けているんですか?
博士博士
良い質問じゃ。蝸牛は入口側を「基底部」、奥の頂上側を「頂部」と呼ぶ。基底部で高い音、頂部で低い音を感知する、これが大原則じゃよ。
サクラサクラ
えっ、奥に行くほど低い音なんですか?イメージだと逆な気がしちゃいます。
博士博士
ふむ、なぜそうなるか構造から説明しよう。コルチ器が乗っている「基底膜」は、入口側では幅が狭くて硬く、奥に行くほど幅広く柔らかくなる。これがポイントじゃ。
サクラサクラ
ギターの弦みたいですね。短くて張りが強い弦は高い音、長くて緩い弦は低い音…。
博士博士
まさにその通り!基底膜の物理的特性で、高周波の音波は基底部で、低周波は頂部側で最大に振動するのじゃ。振動した場所の有毛細胞が興奮して、聴神経に信号を送る。
サクラサクラ
じゃあ問題の「蝸牛管頂部近くのコルチ器」が感知するのは…低い音ですね。
博士博士
正解じゃ!選択肢の3・4は音の大きさを問うておるが、音の大小は基底膜の振幅や発火頻度で表される量で、場所で分けている情報ではないぞ。
サクラサクラ
部位は「周波数」を担当して、「音量」は振動の大きさで表現するんですね。整理できました。
博士博士
この、周波数を場所で分けて感知する仕組みを「トノトピー」または「場所説」と呼ぶ。聴神経から大脳の聴覚野まで、この周波数地図はずっと保たれておるのじゃ。
サクラサクラ
臨床ではどんなときに関係してくるんですか?
博士博士
良い視点じゃ。加齢性難聴や騒音性難聴では、まず基底部の有毛細胞が障害される。だから高音域から聞こえにくくなるのじゃよ。
サクラサクラ
だから高齢の方は「サ行」が聞き取りにくくなるんですね。納得です。
博士博士
逆にメニエール病では内リンパ水腫が起きて、低音障害型の感音難聴を呈することが多い。これは頂部側の障害として理解できるな。
サクラサクラ
部位と周波数の対応がわかると、難聴のタイプの違いも説明がつくんですね。看護のアセスメントにも役立ちそうです。
博士博士
その通り。聴力検査の結果を見るときも、高音域が落ちているのか低音域なのかで原因の見当がつく。解剖生理を押さえておくと臨床の理解がぐっと深まるぞ。

POINT

蝸牛のどの部位がどの周波数の音を感知するかを問う基本的な解剖生理の問題。「基底部=高音、頂部=低音」という対応関係を確実に押さえることがポイント。

解答・解説

正解は2です

問題文:蝸牛管頂部近くのCorti〈コルチ〉器で感知されるのはどれか。

解説:正解は 2 です。蝸牛はカタツムリのように渦巻状の構造をしており、内部に並ぶコルチ器(ラセン器)が音の周波数を聴神経の電気信号へ変換しています。コルチ器が乗っている基底膜は、入口(蝸牛基底部)では幅が狭く硬く、奥(蝸牛頂部=管頂部)に向かうほど幅が広く柔らかくなる構造的特性をもちます。この物理的特性により、高周波の音波は基底部で、低周波の音波は頂部側で大きく振動し、その部位の有毛細胞が興奮します。したがって蝸牛管頂部近くのコルチ器では低い音(低周波音)が感知されます。この音の高さを部位ごとに分けて感知する仕組みは「場所説(トノトピー)」と呼ばれます。

選択肢考察

  1. ×1.  高い音

    高い音(高周波音)は蝸牛の入口側である基底部のコルチ器で感知される。基底部の基底膜は幅が狭く硬いため、高周波の振動に共振しやすい。加齢に伴う感音難聴で高音域から障害されやすいのは、基底部の有毛細胞が音刺激の最前線で繰り返し負荷を受けるためでもある。

  2. 2.  低い音

    蝸牛管の頂部(カタツムリの中心側)に近づくほど基底膜は幅広く柔らかくなり、低周波音に強く反応する。したがって頂部近くのコルチ器は低い音を感知する部位となる。

  3. ×3.  大きい音

    音の大きさ(音圧)は基底膜の振動の振幅や、興奮する有毛細胞の数・聴神経の発火頻度として表現される。コルチ器の部位で区別される情報ではないため誤り。

  4. ×4.  小さい音

    選択肢3と同様、音の大小は振幅で表現される量であり、蝸牛のどの部位が担当するという話ではない。小さい音そのものを頂部が感知するわけではない。

蝸牛は約2回転半の渦巻構造で、入口の卵円窓側を「基底部」、奥の頂上側を「頂部(管頂部)」と呼ぶ。基底膜の物理的性質(基底部は狭く硬い/頂部は広く柔らかい)に応じて、高音は基底部で、低音は頂部側で最大振幅となる。この空間的な周波数分布をトノトピー(音の周波数地図)といい、聴覚野まで保たれている。臨床的には、騒音性難聴や加齢性難聴(老人性難聴)では基底部の有毛細胞が先に障害を受けるため高音域から聴力が低下する。逆にメニエール病など内リンパ水腫では低音障害型感音難聴を呈することがあり、頂部側の障害として理解される。

蝸牛のどの部位がどの周波数の音を感知するかを問う基本的な解剖生理の問題。「基底部=高音、頂部=低音」という対応関係を確実に押さえることがポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。