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意識のない患者を寝かせるなら横向き!舌根沈下と回復体位のしくみ

看護師国家試験 第115午後23 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午後23

舌根の沈下を防止する体位はどれか。

  1. 1.仰臥位
  2. 2.膝胸位
  3. 3.側臥位
  4. 4.骨盤高位

対話形式の解説

博士博士
今日は「舌根沈下を防ぐ体位」について学ぶぞ。まず舌根沈下とは何か、イメージできるかの?
サクラサクラ
えっと…舌の付け根が落ち込んで、息ができなくなる状態でしたっけ?
博士博士
その通りじゃ。意識がはっきりしているときは、オトガイ舌筋などが舌を前方に保ってくれている。ところが意識が低下すると筋肉の緊張が失われ、重力で舌が咽頭の後壁に落ち込み、空気の通り道を塞いでしまうのじゃ。
サクラサクラ
だから意識のない人ってゴーゴーとイビキみたいな音を立てるんですね。
博士博士
鋭いの!あのいびき様呼吸(snoring respiration)こそ、舌根沈下のサインじゃ。放っておけば低酸素血症から心停止に至ることもある。
サクラサクラ
では仰向けに寝かせておくのは、けっこう危ないってことですか?
博士博士
意識のない人を仰臥位にしておくと、重力がもろに舌根を後方へ引っ張る。だから仰臥位は舌根沈下を最も起こしやすい体位なのじゃ。
サクラサクラ
じゃあ正解の側臥位だと、なぜ舌根沈下が防げるんですか?
博士博士
横向きにすると、舌も下顎も重力によって側方すなわち床側に落ちる。気道の真上ではなく横にずれるから、咽頭腔がふさがれにくくなるのじゃよ。
サクラサクラ
なるほど、重力の向きを利用してるんですね。さらに吐いたものも口の外へ流れますね。
博士博士
その通り。唾液や嘔吐物が口角から自然に排出されるから、誤嚥予防にもなる。一石二鳥なのじゃ。
サクラサクラ
他の選択肢も気になります。膝胸位や骨盤高位はどんなときに使うんですか?
博士博士
膝胸位は四つん這いで胸を床につける体位で、臍帯脱出時の応急処置や直腸診などで使う。骨盤高位は仰臥位のまま下半身を上げる体位で、ショック時の静脈還流促進などに用いる。どちらも気道確保の体位ではないのじゃ。
サクラサクラ
ところで「回復体位」って言葉も聞いたことがありますが、それも側臥位ですか?
博士博士
よく気づいたの!回復体位(recovery position)は、自発呼吸はあるが意識のない傷病者を安定して横向きに保つ姿勢で、まさに側臥位の応用じゃ。下側の腕を前に伸ばし、上側の膝を曲げて体を支えるのが基本形じゃよ。
サクラサクラ
体位だけでなく、気道確保の手技もありますよね。頭部後屈あご先挙上法とか…。
博士博士
その通り。頸椎損傷の心配がなければ頭部後屈あご先挙上法、頸椎損傷が疑われる外傷患者では下顎挙上法(jaw thrust)を選ぶ。体位と手技の両輪で気道を守るのじゃ。
サクラサクラ
術後の覚醒前やてんかん発作後の患者さんも、気道確保が大事だと聞きました。
博士博士
うむ。麻酔覚醒前、ポストイクタル期、急性アルコール中毒、脳卒中…意識レベルが落ちる場面はあらゆる病棟にある。看護師がベッドサイドで真っ先にできるのが「横向きにする」という体位調整なのじゃ。
サクラサクラ
シンプルだけど命を守る基本ですね。覚えておきます!

POINT

意識低下時に上気道閉塞の原因となる「舌根沈下」を、どの体位が物理的に防げるかを問う問題。仰臥位では舌が後方へ落ち込みやすいのに対し、側臥位では重力で側方へ逃がせるという解剖学的・力学的な理由を押さえることがポイント。

解答・解説

正解は3です

問題文:舌根の沈下を防止する体位はどれか。

解説:正解は 3 の側臥位です。 意識レベルが低下した状態では、舌を支える筋(オトガイ舌筋など)の緊張が失われ、重力によって舌の付け根(舌根部)が咽頭後壁に向かって落ち込みます。これが「舌根沈下」で、上気道閉塞を引き起こし、いびき様呼吸や努力呼吸、ひいては窒息・低酸素血症の原因となります。 仰臥位ではこの舌根沈下が起こりやすいのに対し、側臥位では舌や下顎が重力によって側方(床側)へ落ちるため、咽頭腔がふさがれにくく、気道が確保されやすくなります。さらに、口腔内の唾液・吐物・分泌物が自然に口角から流出するため、誤嚥の予防にもつながります。一次救命処置や災害現場で用いられる「回復体位(recovery position)」も、この側臥位を基本としています。

選択肢考察

  1. ×1.  仰臥位

    あおむけの姿勢では、意識障害や筋緊張低下時に舌根が重力で咽頭後壁に落ち込みやすく、むしろ舌根沈下を最も起こしやすい体位である。気道閉塞のリスクが高いため、意識のない患者を漫然と仰臥位のままにしておくのは避ける必要がある。

  2. ×2.  膝胸位

    膝胸位は四つん這いになり胸を床につけ、殿部を高く突き出す体位で、直腸診や子宮後屈の整復、臍帯脱出時などに用いられる特殊体位である。舌根沈下を防ぐ目的で取られる体位ではない。

  3. 3.  側臥位

    横向きの体位にすることで、舌や下顎が重力で床側に落ちるため咽頭部が開通し、舌根沈下による上気道閉塞を防ぎやすい。同時に唾液や吐物が口角から自然に排出され、誤嚥防止にも有効である。意識障害のある傷病者に用いる「回復体位」もこの側臥位を応用したものである。

  4. ×4.  骨盤高位

    骨盤高位(トレンデレンブルグ体位)は、仰臥位のまま下半身を高くする体位で、出血性ショック時の静脈還流促進や骨盤内手術時の視野確保などに用いられる。下半身を挙上するだけで頭頸部の向きは変わらず、舌根沈下の予防効果はない。

舌根沈下が疑われる場面では、体位の調整に加えて気道確保手技も重要となる。代表的なのは「頭部後屈あご先挙上法(head tilt-chin lift)」で、頸椎損傷の可能性がない場合の標準的な気道確保法である。頸椎損傷が疑われるときは「下顎挙上法(jaw thrust)」を用い、頸部を動かさずに下顎を前方に押し出して気道を開通させる。さらに、自発呼吸はあるが意識のない傷病者には「回復体位」が推奨される。これは下側の腕を前方に伸ばし、上側の膝を曲げて体を横向きに安定させた側臥位で、舌根沈下と誤嚥の両方を予防できる実用的なポジショニングである。臨床では、手術後の覚醒前、てんかん発作後のポストイクタル期、急性アルコール中毒、脳血管障害などで意識レベルが低下した患者に対し、回復体位の知識が広く活用される。

意識低下時に上気道閉塞の原因となる「舌根沈下」を、どの体位が物理的に防げるかを問う問題。仰臥位では舌が後方へ落ち込みやすいのに対し、側臥位では重力で側方へ逃がせるという解剖学的・力学的な理由を押さえることがポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。