なぜ膝の下に枕?ファウラー位の「ずれ落ち防止」を物理で理解する
看護師国家試験 第115回 午前 第35問
国試問題にチャレンジ
Fowler〈ファウラー〉位で膝窩に枕を挿入する理由で正しいのはどれか。
- 1.頸部の前屈を防ぐ。
- 2.上半身のずれを防ぐ。
- 3.脊柱の生理的弯曲を保つ。
- 4.尖足を防ぐ。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
ファウラー位で膝窩に枕を入れる目的を問う基本問題。半座位特有の「身体が足側にずり落ちる」という力学的特徴を理解しているかが解答の鍵。
解答・解説
正解は2です
問題文:Fowler〈ファウラー〉位で膝窩に枕を挿入する理由で正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。ファウラー位(半座位、上半身を約45度挙上した姿勢)は、呼吸や食事、観察などの目的でよく用いられる体位ですが、上半身が起きていることで重力により身体全体が足側へ滑り落ちやすいという欠点があります。膝窩(膝の裏側)に枕を入れて膝関節を軽度屈曲させると、大腿部が支点となって身体が下方へずり下がるのを防止でき、皮膚と寝具の間で生じるずれ・摩擦による褥瘡発生のリスクも軽減できます。これが膝窩枕の主たる目的です。
選択肢考察
- ×1. 頸部の前屈を防ぐ。
頸部の屈曲・伸展を調整するのは枕の高さや頸部用の補助枕であり、膝窩に挿入する枕とは関係がない。膝窩枕は下半身のポジショニングであり、頸部の角度には影響しない。
- ○2. 上半身のずれを防ぐ。
ファウラー位では上半身を挙上しているため、重力で身体が足方向へずり落ちやすい。膝窩に枕を入れて膝を軽く曲げることで、大腿が「ストッパー」のように働き、体幹のずれと皮膚にかかるずれ応力を軽減できる。
- ×3. 脊柱の生理的弯曲を保つ。
脊柱の生理的弯曲(頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯)の保持に関与するのは、主に背部・腰部に当てるクッションや背もたれの形状である。膝窩枕は脊柱弯曲そのものを保持する目的ではない。
- ×4. 尖足を防ぐ。
尖足予防には、足関節を90度に保つフットボードや足底板、足部のポジショニングが用いられる。膝窩への枕は膝の屈曲を生むだけで、足関節の底屈位を直接矯正するものではない。
ファウラー位(fowler's position)は上半身を約45〜60度挙上した半座位で、呼吸困難の緩和、経管栄養時の誤嚥防止、食事介助、観察やコミュニケーションなど多目的に活用される。30度程度の挙上はセミファウラー位、90度近くまで起こした座位はハイファウラー位と区別される。いずれの場合も身体が下方へずり落ちる「ずれ」と、皮膚が寝具に引きずられる「摩擦」が褥瘡の主要な発生機序となるため、膝窩枕で膝を軽度屈曲させると同時に、踵部の除圧、背抜き・足抜き(一旦体を浮かせて圧とずれをリセットする操作)を組み合わせることが重要である。なお、下肢の循環障害(深部静脈血栓症リスクが高い場合)や膝関節の拘縮が強い患者では、長時間の膝屈曲は弊害となるため、目的と禁忌を考えて使い分ける必要がある。
ファウラー位で膝窩に枕を入れる目的を問う基本問題。半座位特有の「身体が足側にずり落ちる」という力学的特徴を理解しているかが解答の鍵。
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