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EBウイルスとがんの関係 上咽頭癌・Burkittリンパ腫を生む潜伏感染の正体

看護師国家試験 第115午後29

国試問題にチャレンジ

115午後29

Epstein-Barr〈EB〉ウイルスが発生に関与しているのはどれか。

  1. 1.舌癌
  2. 2.喉頭癌
  3. 3.食道癌
  4. 4.上咽頭癌

対話形式の解説

博士博士
今日のテーマはEBウイルス、正式にはEpstein-Barrウイルスじゃ。略してEBVと呼ばれることが多いぞ。
サクラサクラ
EBウイルスって、伝染性単核球症の原因になるウイルスですよね?確か『キス病』とも呼ばれていたような…。
博士博士
そうじゃ、よく覚えておるな。EBVはヒトヘルペスウイルス科の一員で、HHV-4とも呼ばれる。唾液を介して感染し、世界の成人の9割以上がすでに感染経験を持つほどありふれたウイルスじゃ。
サクラサクラ
そんなに多くの人が感染しているのに、なぜ皆発症しないんですか?
博士博士
EBVはBリンパ球や上皮細胞に『潜伏感染』するという性質を持つのじゃ。免疫が正常な人では症状を出さずに体内に潜むが、何らかのきっかけで発癌に関与することがある。
サクラサクラ
発癌!ウイルスががんを起こすって、ちょっと怖いですね。具体的にどんながんと関係があるんですか?
博士博士
代表格は『上咽頭癌』じゃ。鼻の奥、喉の上の部分にできる癌で、特に中国南部や東南アジアに多い地域性のある癌として知られておる。
サクラサクラ
なるほど、今回の国試問題の答えがまさにそれですね。舌癌や喉頭癌、食道癌ではないんですか?
博士博士
うむ、それらは主に喫煙・飲酒が原因の癌で、EBVは主要因ではない。食道癌は特に飲酒で顔が赤くなる体質、つまりALDH2欠損型の人で扁平上皮癌のリスクが上がることが知られておる。
サクラサクラ
同じ頭頸部のがんでも、原因ウイルスが違うんですね。HPVも頭頸部癌に関係するって聞いたことがありますが…。
博士博士
鋭いのう。HPV(ヒトパピローマウイルス)は中咽頭癌や子宮頸癌の原因になる。EBVは上咽頭癌、HPVは中咽頭癌、と部位ごとに整理しておくと国試で混乱しないぞ。
サクラサクラ
覚えやすい対比ですね。EBVは上咽頭癌以外にも関わる病気はありますか?
博士博士
あるぞ。アフリカで多い『Burkittリンパ腫』、『Hodgkinリンパ腫』の一部、移植後リンパ増殖性疾患、NK/T細胞リンパ腫などじゃ。EBVは『リンパ球と上皮細胞に潜伏感染して発癌に関わる』と覚えるとよい。
サクラサクラ
上咽頭癌の診断にはどんな検査が役立つんですか?
博士博士
EBV関連抗体、特にVCA-IgAやEA-IgAの上昇、血中EBV-DNA量の測定が診断や経過観察に有用じゃ。早期発見が予後改善のカギになる。
サクラサクラ
看護師として、こうした地域性のある癌や輸入感染症の知識は患者背景を考えるうえで大事ですね。
博士博士
その通り。発癌ウイルスの全体像として、EBV=上咽頭癌・Burkittリンパ腫、HTLV-1=成人T細胞白血病、HPV=子宮頸癌・中咽頭癌、HBV/HCV=肝細胞癌、HHV-8=Kaposi肉腫、とまとめて覚えるとよいぞ。
サクラサクラ
ウイルスと癌の対応表として整理して覚えます!

POINT

EBウイルスが発癌に関与する代表的悪性腫瘍を選ぶ問題。EBV=伝染性単核球症だけでなく、上咽頭癌・Burkittリンパ腫の発癌ウイルスでもある、という知識が問われている。

解答・解説

正解は4です

問題文:Epstein-Barr〈EB〉ウイルスが発生に関与しているのはどれか。

解説:正解は 4 の上咽頭癌です。Epstein-Barrウイルス(EBV)はヒトヘルペスウイルス科に属するDNAウイルス(HHV-4)で、世界人口の約90%以上が成人までに既感染となるありふれた病原体である。主にBリンパ球と上皮細胞に感染して潜伏感染を成立させ、宿主細胞内で増殖能を保ったまま潜伏する性質を持つ。EBVは伝染性単核球症の原因として知られるが、それだけでなく一部の悪性腫瘍の発症にも関与する発癌ウイルスでもある。代表的なEBV関連悪性腫瘍が「上咽頭癌(鼻咽頭癌)」であり、特に東アジア(中国南部)や東南アジアで多発する地域性を持つ。EBVが上咽頭粘膜上皮細胞に潜伏感染し、LMP1などのウイルス遺伝子産物による細胞増殖シグナルの活性化を介して発癌すると考えられている。

選択肢考察

  1. ×1.  舌癌

    舌癌は口腔癌の代表的なもので、主な危険因子は喫煙、飲酒、口腔衛生不良、慢性的な機械的刺激(不適合義歯や齲歯)などである。一部にヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が示唆される症例もあるが、EBVが主要な発癌因子として確立されているわけではない。

  2. ×2.  喉頭癌

    喉頭癌の最大の危険因子は喫煙で、次いで飲酒が挙げられる。男性に多く、扁平上皮癌が大半を占める。EBVが発癌に関与する代表的な癌ではない。

  3. ×3.  食道癌

    日本の食道癌の多くは扁平上皮癌で、喫煙と飲酒(特にアルデヒド脱水素酵素2型〈ALDH2〉欠損による顔面紅潮を伴う飲酒)が主要なリスク因子である。Barrett食道に伴う腺癌では胃食道逆流症が関与する。EBVが主要な発癌因子ではない。

  4. 4.  上咽頭癌

    上咽頭癌(鼻咽頭癌)はEBV感染と強く関連する代表的な悪性腫瘍である。EBVが上咽頭粘膜上皮に潜伏感染し、LMP1などのウイルス蛋白を介して細胞増殖・不死化に関わると考えられている。腫瘍マーカーとして血清中の抗EBウイルス関連抗体(VCA-IgA、EA-IgAなど)やEBV-DNA量が診断や経過観察に用いられる。

EBVは多彩な疾患に関与するウイルスとして頻出である。代表的な関連疾患には、(1)伝染性単核球症(思春期〜若年成人にキス感染で広がるため『kissing disease』とも呼ばれ、発熱・咽頭痛・頸部リンパ節腫脹・異型リンパ球出現が三徴)、(2)上咽頭癌、(3)Burkittリンパ腫(特にアフリカ型)、(4)Hodgkinリンパ腫の一部、(5)移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、(6)NK/T細胞リンパ腫など。発癌ウイルスとしては他にHTLV-1(成人T細胞白血病/リンパ腫)、HPV(子宮頸癌・中咽頭癌)、HBV/HCV(肝細胞癌)、ヒトヘルペスウイルス8型(Kaposi肉腫)も併せて整理しておくとよい。

EBウイルスが発癌に関与する代表的悪性腫瘍を選ぶ問題。EBV=伝染性単核球症だけでなく、上咽頭癌・Burkittリンパ腫の発癌ウイルスでもある、という知識が問われている。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。